ヒッチハイクの思い出〜北海道から八丈島まで
日本でヒッチハイクが盛んになる数年前の話。まだまだ20代で若かった頃…
1990年代始め、初夏。
当時付き合っていた(現在の旦那)がいきなり、八丈島に行こうと言い出した。なんでも数年前に行ったことがあって楽しい思い出があるらしい。
行ったことないし、東京にも寄れるから軽い気持ちでOKしたのが間違いだった。
もちろん私は飛行機で行くつもり満々。でも奴はこう言った「ヒッチハイクで行こう、お金がないから」と。
私は奴のいつものくだらない冗談だと思っていた。
チケットもすべて手配してくれるんだろうなと、なぜか思い込み、何もかも奴に任せてしまっていた。なんでだろ?いつもなら自分が率先してチケットの予約や計画を立てるのに…
この時だけはなぜか任せっきりだった、なんか言われたのかな、僕に任せてとか。
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出発日になぜか、私は急に法事に苫小牧まで行かなくてはならなくなり、(本当にだいぶ前のことだから記憶が曖昧)JR苫小牧駅で待ち合わせ。
札幌から千歳までは車で約45分ほど。それから苫小牧までは40分の距離。それなのに、苫小牧までわざわざ迎えに来てくれるんだあと何も考えずに、単純に優しい奴だと思っていた私。
そして苫小牧駅で落ち合い、進む先はもちろん千歳空港
ではなく、苫小牧フェリー。
フェリーで青森まで向かうことに。
しかし、この時もまだ私の頭の中ではヒッチハイクという文字はインプットされていない。
ああお金がないからフェリーで青森まで行って、そこからJRなのか、とのんきに思っていた。
だって誰がヒッチハイクなんて本気にする?
フェリーは約8時間ほど、夜に出発なので青森には早朝着く。でもフェリーに乗った記憶は一切なし。
多分、次の日の朝の出来事があまりにショックだったんだと思う、フェリーの記憶がなくなるほどに…
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そしてフェリーが八戸についた早朝。
奴はどっかへ消えた、私はすごく眠たかったから、ベンチに座り目をつむっていたら、奴は画用紙とマッキーを持って笑顔で一言。
「これヒッチハイク用のサイン書いて」と…
寝ぼけていた私はまだ冗談だと思い無視。
でもしつこく書けと言ってくる。
ここで、やっと一気に目が覚めた。
ヒッチハイクは冗談じゃなかったんだ、とやっとヒッチハイクという言葉が頭にインプットされた。
とりあえず、ここから駅までタクシーでJR駅に行こうと説得を試みたが、聞く耳持たず。
なぜ今更そんなことを言い出すと逆に怒られた…
諦めた私は、とりあえず画用紙にでっかく八丈島までとサインを書く。
サインを書いている間に奴によくよく話を聞くと、予定ではここ八戸から八丈島までのフェリーが出るターミナルまで1日で着くようにヒッチハイクをするとのこと。
たった1日で?
今調べると、八戸フェリー場から八丈島行きのフェリーが出る東京の竹芝まで距離にして約650km、車で約8時間強。鉄道だと約4時間、約4万円ほどかかる。確かに4万円あればいろんなことが楽しめるが…
今と変わらず1日に一回しか八丈島行きのフェリーはない。そして夜の10時過ぎ出発。それまでに間に合うように、ヒッチハイクでフェリー乗り場まで行けるのか?
八戸についたのはまだ早朝5時かそれぐらい6時前だったのは覚えている。
リミットは16時間。
ヒッチハイクで16時間以内でフェリー乗り場まで着けるのか?
ヒッチハイクの旅が始まった。
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