見出し画像

股関節と痛みと

皆様、歩いていますでしょうか?
二本足で立っていますでしょうか?

そうですよね。当たり前に立って歩いていますよね。
当たり前の質問を失礼いたしました。

我々人間はいつからか二本足で立ち、四足歩行から二足歩行へと進化を遂げました。手を自由に使えるという利点を得ましたね。
話が脱線しますが、この辺りについて調べてたらなかなか面白くて!
二足歩行になったメリットとデメリットの話で、

【メリット】
・手が使える
・言語コミュニケーションを得た
・脳が大きくなった

【デメリット】
・骨格を利用した強力なバネを失った
・頚椎症、ヘルニアなどの神経疾患のリスク
・股関節症、膝関節症などの変形性疾患のリスク
・内臓疾患のリスク
・痔

デメリットが目立ちますが、、、
これらを差し置いても二足歩行になるメリットの方が大きかったんですね。
それは今の自然界を見れば一目瞭然です。
ちなみに、、メリットの代わりにデメリットを得ることを「トレードオフ」というらしいです。
※これらは確定した事象ではなく、そのように推測されるものです

まあ話は逸れましたが、明らかに二足歩行になったことで関節にかかる負荷は増しました。負荷が増したという事は破壊に近づく、あるいはその過程で痛みを誘発するでしょう。

今回は股関節(特に前面)に注目して解釈していきましょう。

安定した関節『股関節』

股関節の他に肩関節もそうですが、可動域が大きい関節は関節が外れないようになっています。
寛骨臼と関節唇という組織です。

股関節(大腿骨頭と寛骨臼)

このようにそもそも関節臼が大腿骨を覆うようにがっちりしています。
体重を支えないといけないため安定性は群を抜いています!
ですが、関節だけに安定を頼ってしまうとどうなるでしょう?

圧がかかれば組織は損傷していきます。
これこそ関節軟骨がすり減って起こる「変形性膝関節症」です。

ただ、安心してください。
本来はそんなことにはなりません!
大きく強い筋肉が股関節の安定性をサポートしているためです。

股関節前面
股関節後面



これらの筋肉が各方向に対して安定性をもたらすために、関節が安定して重さを支え、動くことが出来るんです。

なぜ痛みが起こるのか

これは股関節に限った話ではないので、知っていて損はないと思います。
まず痛みとは、

「実際に何らかの組織損傷が起こったとき、あるいはそのような損傷の際に表現されるような不快な感覚及び情動体験」

国際疼痛学会 痛みの定義


感覚は分かりやすいですが、情動体験も、です。
情動体験とは、動かすことで「嫌だな」とか「うっとうしいな」とかを感じること。これすごく大事です。

痛みの種類には3種類あって、

  • 侵害受容性疼痛

  • 神経因性疼痛

  • 心因性疼痛

この中のどれか一つだけが関係している、てことは無いです。
基本的にすべてが関係します!
痛みって厄介なんです…

で!
定義にもあるように組織損傷が起こった時に痛みがあるわけですが、損傷した際に痛みを感じる侵害受容器という組織があるのが、

  • 皮膚

  • 筋肉、筋膜

  • 関節(関節軟骨は除く)

  • 内臓

このいずれかが損傷した場合に痛みが起こります。
股関節に関してだと内臓以外が関係しますね。

股関節前面の痛み

痛みの要因からみれば、
・侵害受容性の場合
⇨皮膚、筋肉、筋膜、関節
・神経因性の場合
⇨神経
・心因性の場合
⇨「動かすと痛い、痛いんじゃないか」という情動

が関係してきます。

まず痛みがある場合に考えないといけないことは、
『その痛みはこちらで対応できる痛みかどうか』
その鑑別は大切です。
行き過ぎた変形など手術適応に思われるものは病院の受診を促すこともあります。

そうでない場合、前面に痛みが生じる可能性のある事象は、

・股関節前面の筋肉の過剰な緊張
⇨腸腰筋、恥骨筋、長内転筋、外閉鎖筋
・関節負荷の増大
⇨不良姿勢、骨、臼蓋形成不全、殿筋群筋力低下
・神経の伸張、圧迫、絞扼、炎症
⇨大腿神経、大腿外側皮神経、腸骨鼠経靱帯、腸骨下腹神経
これが起こるときは、不良姿勢や腰部疾患などが絡むことが多い

まあ様々な原因になりうる組織がありますね。

痛みを改善していくには

鍼灸師ですので<(_ _)>
はい。
鍼灸をおススメします!

というのも、ただ鍼灸師だからって訳でもなく、鍼灸のことを詳しく知っているから。という事を添えておきます。

鍼灸には、

  • 下降性疼痛抑制

  • 内因性オピオイド

  • ゲートコントロール

  • 軸索反射

  • アデノシンによる局所鎮痛

などの鎮痛作用があるために痛み改善にはおススメなんです。

ちなみに書籍「標準整形外科学」には、

痛みの治療では、侵害受容性疼痛は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果が期待できる場合が多いが、神経因性疼痛ではNSAIDsの効果はあまり期待できない場合がほとんどであり、その病態や発生機序の多様性からNSAIDs以外の多様の薬剤を病態に応じて使用する必要がある。欧米のガイドラインでは、神経障害性疼痛に対する第一選択薬は脳内GABA量の増加やGABAトランスポーターの活性化作用を有するガバペンチンや、三環系抗うつ薬、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬などとなっており、オピオイド系薬剤は第二選択薬として挙げられ、これらの薬の併用が勧められている。

標準整形外科学 第8章 痛みの生理学

炎症を抑えること、オピオイド系を使うなど鍼灸と似ている点もあります。

鍼灸、良いんじゃないでしょうか?


あと必須だろうと思うのは、「運動」です。
やっぱりと言いますか、めちゃくちゃ大事です!
先ほど挙げた

・股関節前面の筋肉の過剰な緊張
⇨腸腰筋、恥骨筋、長内転筋、外閉鎖筋
・関節負荷の増大
⇨不良姿勢、骨、臼蓋形成不全、殿筋群筋力低下
・神経の伸張、圧迫、絞扼、炎症
⇨大腿神経、大腿外側皮神経、腸骨鼠経靱帯、腸骨下腹神経
これが起こるときは、不良姿勢や腰部疾患などが絡むことが多い

原因によっては運動のみでもアプローチすることが可能です!

特にピラティス

・姿勢改善
・筋肉の使い方の再教育
・自分自身で身体をコントロールする
という点に優れているため、上記の問題点を変えることが出来ます。

まとめ

  • 二足歩行になったために関節の疾患が増えた

  • 股関節はかなり安定した関節

  • 痛みは3種類(侵害受容性、神経因性、心因性)

  • 皮膚、筋肉・筋膜、関節、内臓に痛みを感じる組織がある

  • 股関節前面は筋肉、関節、神経の影響を考える

  • 鍼灸は鎮痛に働く

  • 運動は超大切


ですです。

痛みを抱えている方。
諦めるのはまだ早いかもしれませんよ!



公式LINEはこちらをクリック

詳しく情報を見る

予約の空きを見る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?