二組の親子

今目の前に二組の親子がいる。
どちらも小学生の女の子とお母さんの二人でボックス席に座っている。どうもこれからテストに向かう前に時間を潰しているらしい。

右の子はおいしそうにフレンチトーストを頬張って、DSをしたり折り紙をしたり本を読んだりしている。お母さんはそれをにこにこと眺めながらスマホを見たりぐでぐでしている。「あとでクーポン使うの忘れてたら言ってね」などと言っている。

左の子は「算数」を持って入ってきた。ずっとお母さんに命令されて勉強している。これしかできないのか、やれ、時間がない。ストップウォッチを持ったお母さんは険しい顔をして叫んでいる。ドリンクバーを頼むも飲む時間も与えられない。

あまりにも両極端でとてもおもしろい。どちらがいいとも悪いとも言い切れない。どうしてもこの先二人にはどんな未来が待っているのか想像してしまう。

私はこの両方を合わせたような感じで育ったからちょうどよかったのかもしれない。

しかし、やりたくないことをやらされた、経験はどっしりと心に残っている。親いわく、続けることで自信を持たせたかった、そうだ。

やりたくないことを無理やり続ける練習は必要なのだろうか。

ちなみに私は続けることでどんどん劣等感を持った。やりたくてわくわくしてやっている子に勝てるわけがないからだ。今思えば当たり前なのに自分は何をやってもだめなんだな、と思っていた。他の子よりもできない私の姿に親が悲しそうな顔をしているのにも気づいていた。

簡単に答えは出せないけれど、私だったら子供にはやりたいことを嗅ぎ付ける練習をしてもらいたい。そうしないとやらされる体力だけはついていくが、やりたいことはどんどん無くなっていくからだ。

私はやりたいことを見つける力が弱すぎて、なんでも我慢で解決しようとする。これから嗅ぎ付ける力を自分で鍛えていかなきゃと思っているそんな朝だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?