サンタさん

あなたにとってサンタさんはどんな人ですか?

私は毎年サンタさんにお手紙を書いてツリーにくくりつけていた。
親には、いい子じゃないと来てくれない、と言われたのでクリスマスイブの夜には慌てて散らかった部屋を片付けた。(遅い)
でも、夜更かしする子にも来ないよ、と言われたので、遅くまで片付けをしていてもうだめか、と思ったりした。

それでも次の日枕元にはプレゼントが置いてあった。ちょっとどきどきしながら確認して、わくわくしながら袋を開けるとちゃんと頼んだものがあった。うれしくてにやにやした。

でもある年、カバンが欲しい、と手紙に書いていたのに、クリスマスイブになって、やっぱり別のものがいい、と言って手紙を書き換えた。親には本当に?カバンの方がいいんじゃない?と言われたけれど、譲らなかった。

次の日袋のなかにあったのはカバンだった。私は泣き叫んでこんなのいらない、と言った。(ひどい)そして母が悲しそうにカバンを押し入れにしまうのを見て、気がついてしまった。

そのあとどうしたのかはあまり覚えていないけれど、気がついたら枕元に図書カードが置いてあるようになった。クリスマスの朝、母に何かもらった?と訊かれるので、なんとなく目を伏せながらもらったよ、とだけ答えている。

私はきっとサンタさんを神様のように思っていた。普段の行いをいつも見ていて、直前に変えたって何でも準備してくれるような。

今になって私は、何か信じられるものがあった頃を懐かしく、戻りたいと思ってしまう。強く信じることは、他のことを考えられなくなってしまう危険性もあるけれど、生きる支えになるものだ。自分だけを信じるのはとてもむつかしい。

根拠なんか何もなくても、信じられるものがある、って幸せなことだなあ。あなたにサンタさんはいますか?

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