経管栄養 胃ろう編

経管栄養について前に簡単に述べましたが、今回は胃ろう(胃瘻)について掘り下げて説明してみます。

胃ろう(胃瘻)

胃ろうとは、お腹から胃に直接穴を開けて管を繋ぎ、管から直接胃に栄養を注入します。

胃ろうの目的

嚥下(飲み込む)機能に問題があり、誤嚥やそれによる肺炎などの危険性が高いものの、胃や腸の消化管には問題がない人に適した方法です。

胃ろうの管(カテーテル)は、体外固定板、胃内固定板、カテーテルで構成されていて、体外固定板には『ボタン型』と『チューブ型』があり、胃内固定板には『バンパー型』と『バルーン型』があります。
体外固定板と胃内固定板の組み合わせによって『ボタン型バルーン』『ボタン型バンパー』『チューブ型バルーン』『チューブ型バンパー』の4通りがあります。
患者の状態や家庭環境など、個人によって最適な組み合わせを選んで使用します。


メリット

鼻から胃にチューブを通す経鼻経管栄養よりも患者の負担が少なく、胃や腸などの機能を生かして栄養補給が可能です。
口から食道にかけての消化管に何らかの障害がある場合、直接栄養を胃に入れられるので、誤嚥や肺炎の危険性を下げることができます、ら
また、カテーテルの接続部分は洋服で隠れるので、見た目には胃ろうが分かりません。


デメリット

胃とお腹に穴を開けるための手術が必要です。
穴を開けた部分は皮膚トラブルを起こすことがあるため、消毒などを行い清潔に保つ必要があります。
カテーテルは消耗品のため交換が必要です。物によりますが、半年に一度など定期的に交換する手間と費用がかかります。
認知症の人の場合は、何に使うものか分からずに、自分でカテーテルを抜いてしまうことがあるため注意が必要です。
カテーテルが抜けてしまった時には病院に行かなければならず、直ぐにカテーテルを洗って再度挿入するか、代わりのチューブなどを挿入しないと穴が塞がってしまい、胃ろうの再挿入が難しくなってしまいます。
人によっては胃ろう造設術後に胃ろうが受容出来ずに抜いてしまう人もいます。


介助時の注意点

洋服の着脱の際にチューブが抜けないように注意が必要です。
入浴は可能なため、入浴時に胃ろう挿入部をきちんと洗い、皮膚の清潔を保つと共に、胃ろう挿入部の状態をきちんと観察しましょう。
肉芽や潰瘍などがある場合は必要に応じて受診しましょう。
誤嚥性肺炎予防のために口腔ケアはしっかりと行って下さい。



私の体験談
介護施設での夜勤の最中に介護職員から抜けちゃいましたと報告を受けました。
ん?何が?と確認すると、手には胃ろうのチューブが。
おやおやおや〜?これはまずいぞー。
当時の私は対応方法が分からなかったため直ぐに病院に電話をしました。穴が塞がらないようにチューブを入れてテープで固定。翌日、受診をして胃ろうを再挿入しました。
 胃ろうの利用者のオムツ交換や入浴時にはチューブにお気をつけ下さい。


次回は『腸ろう編』となります。
本日もお付き合い頂きありがとうございました。



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