人工肛門(ストーマ)

先日の便秘から腸閉塞になり、手術で腸を切り人工肛門を造設すると説明しました。

今回は人工肛門(ストーマ)について簡単に説明します。

人工肛門造設とは読んで字の如く、人工的に肛門を造ることを言います。

どこに肛門を造るのかと言うと、横になって頭を上げてヘソを見た時に一番出っ張っている腹筋のある場所になります。

一番出っ張っている場所に人工肛門を造るのは、人工肛門周囲に排泄物を受け止める袋を貼り付ける土台が皮膚としっかりとくっつき、隙間から排泄物が漏れにくくするためです。


肛門や尿道には括約筋(かつやくきん)という筋肉があり、自分の意思で排泄物を出したり我慢したりコントロールをしています。しかし、人工肛門は括約筋がないため排泄のタイミングを自分の意思でコントロール出来ません。そのため、ストーマ装具を腹部に装着して排泄物やガス(オナラ)を受け止めます。ストーマ装具は、排泄物を受け止める袋(パウチ)と、パウチを取り付ける土台(面板、皮膚保護剤、フランジ)からなります。

排泄物やガスはパウチに溜めすぎると漏れる原因となるため、溜まったら排泄物を捨てるか、ガスを出すようにします。


ストーマケア

ストーマ造設術後はストーマは紫がかった赤色をして、むくんでいるので大きく見えますが、徐々に血液の循環が改善し、鮮やかな赤色に変化していきます。また、数週間でむくみも落ち着き、本来の大きさになります。

はじめのうちは看護師がパウチ交換を行いますが、体力の回復状況やその人の能力によりご自身で出来るようになってもらいます。

ストーマ装具の交換方法

1.使い捨ての手袋を装着する
2.ぬるま湯、石鹸や洗浄料、ガーゼもしくはティッシュ、剥離剤、ゴミ袋、新しいストーマ装具を用意する
3.皮膚を刺激しないように、土台の縁を静かに少しずつはがしていく。剥がしにくいときは剥離剤を使用する
4.土台が付いていた部分とストーマ周囲の皮膚を石鹸をよく泡だてて優しく丁寧に洗う
5.濡らしたガーゼやティッシュなどで石鹸分を完全に落とし、乾いたガーゼやティッシュで水分を拭き取り、よく乾かす
6.ストーマやストーマ周囲の皮膚を観察する
7.剥がした装具の皮膚接着面を観察し、ふやけ方や溶け方を確認する。溶け具合で装具交換時期の目安とする
8.ストーマに合わせて装具を貼り付け、周囲を押さえて密着させる
9.パウチの排泄物出し口から空気を抜き、出し口を折り、留め具などで固定する

交換するのが大変。心配だと思う人は退院後に訪問看護やデイケアなどを利用してプロに交換してもらうこともできます。


日常生活における留意点

基本的に制限されることはありません。
ストーマ装具を装着した状態で湯船に浸かることもできます。
施設などでは湯船から上がってから土台を剥がして、ストーマ周囲を洗い、脱衣所で装具交換をしています。
湯船の中でパウチから排泄物が漏れるのが心配、家族に迷惑をかけると思っている人は、一番最後に入浴する。もしくは、パウチを外してよく洗った後に、プリンやヨーグルトの容器でストーマを保護しながら入浴するなど工夫してみて下さい。






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