あつ森・オブ・ザ・デッド

身体が動かない。
もう6月31日になってしまった。6月も最終日である。まだ何一つ課題をやっていないが、きっと1時間後の私がなんとかするから大丈夫だ。これから身体を動かす。もう31日だけど、まだ6月を挽回できる。

友達に、私のあつ森はまだキャンプだから!と豪語(?)したのもあって、何年かぶりに、あつまれどうぶつの森を開いてみた。

早速しずえさんのアナウンスで、私の島が「かりん島(とう)」だということを知る。なんでそんな阿呆な名前をつけたか覚えていない。ただ自分のことだから、由来もなにもないことだけはわかる。そんな島名に愛着が湧いているはずもなく、未開の地に招待された気分だ。まるで赤の他人の中古のセーブデータを遊んでいるようで、笑えた。

実は発売当初から3ヶ月間くらいはかなり遊んでいた。でも、新しいSwitchにデータを移行しようとしたら全部データが吹っ飛んでしまった。やる気を失った私と、そんな私の可哀想な島は、キャンプ、つまりチュートリアルから進んでいないのだった。

…と、思っていたのだが。
しずえさんのアナウンスが終わって、"私"が出てきた家は、なんか、かなり立派なサイズをしていた。

記憶が抜け落ちているが、私は、チュートリアルを終わらせるどころか、家を立派にするくらいには進めていたようだ。

島を一通り走る。金の成る木ばかり植わっている。私の島の特産品は金なんですか?記憶にないので謎だらけだ。

島の奥に高台があった。坂もある。坂もあるってことは島クリエイトもやっていたのか。あまりにも記憶がなさすぎる。これじゃあタイムカプセルだ。
高台には竹林があり、そこにでかい檜風呂が置かれていた。なんだこれ、と思ったが、側に竹でできた和風の家具やら机やらが地べたにそのまま置かれていて、旅館を作ろうとしていた片鱗が垣間見えた。にしても地べたって…。癒やされたかったことだけは薄っすら思い出した。

謎に置かれたハロウィンの家具、フラミンゴ、キャンディマシン。カオスな島は一言で言うならば物置だった。当時の私は何をしたかったのだろうか。皆目検討もつかない。

自室に戻る。私のことだから、せめてインテリアはしっかりしていることだろう。
少しワクワクしながら入った部屋で、真っすぐに目に飛び込んだのは、バランスボールとプロテイン、リングフィットアドベンチャーだった。
画面が見やすいように高い位置に設置されたテレビ、床には運動用のマット。
まじか。これが私のあつ森か。

当時このゲームを遊んでいた私は、残業続きのしわくちゃな生活を送っていた。
そういえば、"なんでリアルの生活で大変なのに、ゲームの中でも生活しなきゃいけないんだ"という理由で、あつ森を封印したことを思い出した。

そりゃそうだ。こんな面白みもない、リアルの(当時の)私の部屋と同じような家具ばかりならべてたら頭おかしなるわ。馬鹿だな。

馬鹿だな、と思いながらそのまま電源を落とした。生きるのが不器用すぎるのは、今も昔も変わらん。タイムカプセルと化したゾンビ島に別れを告げる。
さようなら私の6月。

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