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自主ゼミ「社会変革としての建築に向けて」

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2021年8月の記事一覧

異なるネットワーク観を解きほぐす ──自主ゼミ 「社会変革としての建築に向けて」レポート 寺内玲・松岡大雅

建築家・連勇太朗が、ゲスト講師を訪ね、執筆中のテキストを題材に議論する自主ゼミ 「社会変革としての建築に向けて」。 2021年8月10日に行われた第1回、建築家・能作文徳との議論のレポートです。 執筆者は、「人間的である、ということへの追求から社会を拓く」を目指す共同体とZINE『HUMARIZINE』を主宰・制作する寺内玲と松岡大雅。 異常に暑かった日の夕暮れ時、私たちは「西大井のあな」を訪れた。自主ゼミが行われた3階には、生まれて半年の子どものためのベビーベッドが置かれ

自主ゼミ「社会変革としての建築に向けて」開講を前に 連勇太朗インタビュー

変化が迫られている時こそ理論を ──いま、建築の方法論を考え、書くことのモチベーションについて聞かせてください。 先行きが見えない時代に確信を持って戦略を立てるために、その方向へ向かう道筋となる理論が必要です。「先行きが見えない」というのは、あらゆる状況について言えることですが、誰にとっても身近な事象としては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックがあります。半年後のこともはっきりと見えていません。日本国内であれば、史上かつてない超高齢化や少子化、格差拡大が進んでいます。

【参加者募集】 自主ゼミ 「社会変革としての建築に向けて」 連勇太朗

社会変革としての建築に向けて 変化が迫られている時こそ理論を。 観念的な思想やイデオロギーの提唱ではなく、リアリズムとヴィジョンに裏打ちされた方法論とその実装についての本を執筆中です。 グローバル資本主義が全世界のあらゆる空間を覆い尽くすなか、建築家の理念や実践はスタイルと化し、利潤の最大化や消費と欲望の拡大、不都合な構造の不可視化に利用され、従属的な存在となっています。この複雑化した社会においては、物(=ビルディング)だけを設計対象とするのではなく、その領域を拡張していかな