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年末の魔法

年末がやってきた。実感は、…あるか。

今年を振り返ると、いやあ私、よく生きてきた。

年末はあちこち景気が良い。テレビもネットも赤と白と金で眩しい。足取りが絶妙に浮ついているこの感じ。それと冬景色。

今年一年で更に景色やそれに浸る瞬間を味わうのがうまくなった気がする。

冬休みに突入し、2日ほどだらけて用を済ませるため再び学校に。1時間拘束されて開放。時刻は11時半。この時間に外に出るの、いつぶりだろう?こないだの大雪でもうすっかりアスファルトは行方をくらましてしまった。これで根雪かな。ツルツルしないほど厚く積もった雪の道を歩く。空は真っ青。見上げても邪魔するものはなにもない、あるけど、ない。湿気も、高い太陽も、体を気怠く押しつぶす暑さもないから、空は果てしなく澄んでいる。しっかしわけがわからないくらい寒い。けど寒い寒い〜〜って結構大きな声で言っても誰にも聴こえないくらいがらんとした路地を進むのは悪くない。影が7割を占める地面。日なたはあったかい。

冬景色は濃く、写真に収めるのが難しい。雪とかそれだけじゃ冬景色は成立しない。その場に立って、息を吸って、鼻が凍るような、肌が凍てつくような感覚に包まれる。あたりを見回しつつサクサクという音を聴きながら雪の上をすり足気味で歩く。そうやって初めて”冬景色”は成立するのだと思う。風情がある。だから人間はわざわざクソ寒い北国に冬に旅行しに来るんだなあなんて思う。

あと、冬は夏より”確か”だ。夏の思い出は全部幻想のように記憶されるし、儚い。うっすらしか残らないし、わやわやしているうちに過ぎ去るし。だけどその時の感覚だけがやたらと糸を引くから、みんな夏を尊ぶのだ。冬の記憶はしっかり残る。一瞬一瞬の感情まで残る。幸せはより強く。早く授業が終わった金曜日、寒い手をスタバの新作で温めながら大好きな友達と歩いたイルミネーションが光る街。あまりにも幸せで理想的な瞬間だと思ったし、今もその感覚が一瞬にして蘇ってくる。夏の思い出が私達に「戻りたさ」を与えるのならば、冬の思い出はひたすらに満ち足りた気持ちを与えてくれる。「ああ、こんな瞬間があったな、幸せだったな」という記憶にちゃんと満足できる。全身で感じた冬景色があまりにも確固たるものだから、自分が幸せであったという事実に心が支えられる。けれど人は切なさを愛してしまうので、夏に思いを馳せて後悔することはやめられない。


冬はつとめて。清少納言はよく言ったものだ。1000年経ってもそれは変わらない。7時の朝の光を浴びて、今日一番の幸せを感じるのだ。今日がまだ17時間残っているのにも関わらず。


路地を進み、いつもの道を曲がらずまっすぐ進む。寄り道だ。人通りの多い道に出る前に一瞬マスクを外して息を吸う。はあああ、新鮮。鮮度抜群。排気ガスの匂いを感じたところで、マスクを元の位置に戻した。

うちの近所の良いところは、服装が誰も彼もゆるいところだ。少しでもおしゃれすると浮いてしまうくらいゆるい。行き交う人のもっこもこの厚着が季節を感じさせる。そして皆はちきれんばかりの買い物袋を持っていた。

あ、年末。

みんなどこか浮かれていて、せわしなくて、いつもどおり。

あ、年末だ。それにここは大きい郵便局の前。皆はがきを掴んで歩いていて、時々三個くらいの小包を抱えているひとが視界に入る。

私も郵便局に用があったため中に入る。さっきまで冬景色の中独立していた私は、一瞬にして年末に溶けていく。入り口には、まず左側に年賀状用のでっかいポストがあった。


「正月に確実に配達できるよう、年賀状は12月25日までに投函をお願いします」


と目立つフォントで横長のポストの上にかなり大きく書かれている。

ふーん25までか、早く出さな


もう過ぎてるよ。


はあまだ四枚しか書いてないや、終わんねー。

ポストゾーンをくぐり抜けもう一枚自動ドアを開けると、人、人、人。

あ、郵便局の匂いがする。

平日のご飯どきだから、まだ人は少ないほうか、窓口に並ぶのも苦じゃなさそう。やっぱりみんな服装はゆるいし、どこか慌ただしいのに、余裕のある時間が流れている。5分ほど待って郵便物を出し年賀状用のシールを買った。

郵便局ってすごい年末圧縮版だな。

また冬景色を噛み締めて、家まで歩いた。日陰続きだなあ、寒いよ。冬の太陽は低いから、歩けど歩けど日陰だ。マンション多すぎるよ。

あ、隙間。

いつだってわたしたちがほしいのは───


光。


温もる雪をさくりと踏んだ。

それで私の冬の小冒険は終了。

帰宅時、妙に気分が晴れやかで、また年明けに嫌な用事が入ったばかりというのに清々しかったから、一旦言葉にしてみたのだけれど…掴みどころもないし別に何も特別じゃない。

もしかして、これが冬の魔力?何気ない瞬間、どうでもいい出来事まで全て白い息が幸せに代えてしまう。

特筆すべきは、「その人にとって」でしかないということである。傍からみたらなんてことないのに、本人だけが浸って浮かれている。

あ、だからみんな浮ついてたのか。

てっきり私だけが空間から浮いているのかと思ったら、みんな浮いてたんだ。


みんなばらばらだったんだ。


それって、最高じゃない?




とりあえず、結論はこうだ。冬は午前。散歩は心を浮つかせて、をかし。寒さは私たちを自惚らせて、わろし。しかしこれより楽しいこと、冬に、他になき。



…てなわけで、いい感じの年末空気も吸ってきたし、年賀状残り一枚書いて出してきます。25日過ぎてるんだから「25までが望ましかったですが皆様忙しいのは承知なので大丈夫です。でも私達も忙しいので正月に配達できるかわからないけど怒らないでください。けどがんばります。」とかでいいですよ、郵便局さん。毎日お疲れさまです。


と、どこか他人事なのも、冬の魔力のせいである。



今年も色々あった。

大豆田とわ子に生活を支えられた。松田龍平フィーバーが久々に起こったため探偵はBARにいるを全部見た。高田がかっこよかった。ツイッターを始めた。星野源が結婚した。TREASUREを好きになって人生が変わった。今年もクソコロナのせいで夏はグッバイ。やりたくない役目押し付けられて疲れたパート1発生。その間もどんどん好きなKPOPアイドルが増えていった、嬉しい。TREASURE初の単独公演にオンライン参戦して鼻詰まるくらい泣いた。泣きまくった。スローモーションのヨシくんは神々しかったしウムのハルトさんはぶちかましすぎてて最高だったしアサヒさんは汗だくだったしラストのおジョンはかわいかった。そして人生で一番体力的にしんどい一週間を乗り越えた。あとテストいっぱいやった。松田龍平さんが結婚した。菅田将暉も結婚した。みーんな結婚した。あともう未婚の好きな俳優さん綾野剛さんしかいないよ、今年で4分の3結婚するとかまじかよ。TREASUREのドラマが始まった。そんでもう最終回だよ、つらいよ展開。てかアイドル推すなかでドラマの考察する日が来るとか誰が思ったのよ。あとは…人生で一番精神的にしんどい一週間も乗り越えたけど、また更につらい日々が目に見えていて怖い。8月から書いていたTREASUREの紹介記事をアップしたら、伸びた。バズる、ってああいうことか…。嬉しすぎて五分に一回スマホ見てる。


今ここ、五分に一回スマホ見てる。依存か?

(大好きな大御所のオタクの皆様から反応いただけて小規模垢のしがないオタク、嬉し泣きしています。てかとにかく、読んでくださった方全員ありがとうございます…みーんな大好き…トレジャーメーカー最高…)

で、レコ大も見届けた。完全に日本の音楽シーンに置いていかれてしまったKPOPのオタクがここにいます。

さあ、明日は大晦日だ。今年一年もざっくり振り返れたし、ごちそうも用意したし、実感も十分だ。ひとまず朝起きたら即郵便局まで走ろう。

では一旦ここまで。大晦日を迎えた自分が大晦日の空気を感じながら書いた文を残しておきたいので、30日の文章はここまで。



31日です、いやぁ、外寒い。年賀状を出してきた。相変わらず行き交う人々の服装は緩かった。

NHKの12時のニュースの音を聞きながら蕎麦をすする。そのあとすぐベッドに横になって寝た。

幸せの極み。


とりあえず今からイカゲーム完走して男子校怪談一気におさらいするという非常に精神負担のかかる行為をしていこうと思います。

今日になって感じたこと、それは


「Life goes on」


年が明ければありとあらゆることが解決されるような、そんな気がしていたけれど違う。日々は続く。何事もなく続いていく。だからどうせすぐ地獄の日々は訪れる、嫌なこともやってくる。大晦日、目の前にあるのは絶望である。けれどそんな先の絶望に怯えていては今を無駄にする。しかしそこで、今日くらい休んでいいよね!の免罪符となった大晦日が、助けてくれるのだ。サンキュー。

皆様、今年ももう時計の短針が一周しないうちに終わりますね。

なにはともあれ、人生は続いていきます。

一日一日を潰しながら生きて、月末、月末、そしてまた年末に会えるように。ひとまず春を目標に駆け抜けます。


私は今年の3月にnoteをはじめました。K-POPのことも思ってることもつらつらかけてとても幸せでした。

そして最後にはTREASURE紹介でかなりの反響をいただけるという結果も残せた。悔いはありません。

トレ沼入門、70スキ、500いいね突破しました、カムサ!!!!


では皆様、美味しいものを食べて、テレビを見たりためていた映像を見たり、せめて今日だけは思うがままに過ごされてくださいね。

真夜中のオタク堂は、来年も変わらず皆様の生活の中に開店しております。

さあ、いつもよりほんの少し強い覚悟を決めて、明日へ。



今年1年ありがとうございました。

良いお年を!!!