見出し画像

Hedwig2024 ヨンドウィグ、ついに総マッコン 〜6/23観劇レポ〜

Hedwig2024 ヨンドウィグの、そしてヘドウィグ公演全体の千秋楽を観に行ってきました。
その前日の公演も観たのですが、あまりにも千秋楽のインパクトが強すぎたので記憶が飛んでしまい…今回は千秋楽公演についてレポしようと思います。

最後なので、今更ですが細かいヨンドウィグならではのアドリブたちについて書き残そうと思います。長くてうんざりしたら、どうぞ飛ばしてください(笑)

ヨンソクさんにとって40回目の公演。
いつもにも増して会場には早い時間から人波が押し寄せていました。3ヶ月の公演期間中、顔馴染みのファンの皆さんそれぞれが自分のスケジュールに合わせて行ける日にチケットを取っていても、千秋楽だけは全員集合!グッズのTシャツを着ている率も高くお祭りのような熱気です。

席について、すっかり見慣れたステージを見渡します。ミュージカル『怒りの疾走』が開幕した途端にポシャってしまい、空いた劇場を丸ごとヘドウィグが借りたという設定のセット。背後には廃車になった車が高く積み上げられ、その手前にはヘドウィグが住んでいるトレーラーハウス、上手には最新式オーブンが仕込まれた車のボンネット、それらの前にはアングリーインチバンドの楽器たち、そして中央にはヨンドウィグの有線マイク。足元にはストローが刺さったビール瓶(中身はお水)、そしてネタのコロナビール。

どれもこれも愛おしくてたまりません。

会場案内アナウンスにつづいてヨンソクさんのアナウンス。あぁ、始まる。はじまっちゃう!

アングリーインチバンドのメンバーとイツハクがステージに登場しました。千秋楽スタート。

いつものように客席最後方からヨンドウィグが登場し、歓声の中ステージまで歩いて行きます。いつもならその動線のどこかで立ち止まり、かけていたサングラスを客席のひとりにプレゼントするのですが、この日は立ち止まらず。ステージに上がる階段を上がって振り返ると、サングラスを外して客席に投げ、落ちて行った先の客席からは無数の手が伸びていました(笑)

スタンドマイクの前に立ったヨンドウィグが客席をゆっくりと見まわしてひと言。

「覚悟しなさい、あんたたち」

鳥肌。そして歓声。客席の私たちと同じように、いえそれ以上に今日この日を名残惜しんでいるのはヨンソクさんでした。このひと言にその想いが詰まっているのが伝わっていきなり泣きそうになります。

『Tear Me Down』

ヨンソクさんの歌声はいつにも増してキレも伸びもよく気持ちよく耳に突き刺さります。
曲の終わり、イツハクとシャウト対決をするのですが、いつもならイツハクのマイクを奪うところをこの日は正面対決!客席からの歓声も一段と大きくなります。

曲が終わり、客席とのコールアンドレスポンス。

「いつも私が舞台に上がるたび、こんなにも熱く!」 「キャーーーー!」
「熱狂的に!」 「キャーーーー!」
「狂った子みたいに!」 「キャーーーー!」
「こんな風に歓待してくれるから、どこに身を置いたらいいかわからないわ」

1曲目が終わるとすぐに遅延客が入場するのですが、この日も例外ではなく。
「早く座りなさいよ!早く早く!(for女子)」
「あなたは慌てなくていいわ。車混んでたでしょ?いいのよゆっくり息を整えてからで。(for男子)」

「さすがニューヨークなだけあって各国からお客さんがいらしてるわね…とはいえなんでほぼ韓国人なの?!何乗ってきたの?コリアンエア?アシアナ?ジンエア?」
毎度お馴染みのやり取り。ひとつ聞かれるたびに客席からは「ネー!」はい、という返事が多数上がります。

普段の公演ではその回によって歓声や、やり取りの声もそんなに上がらない事もあるのですが、何しろ千秋楽。今まで通い詰めたお客さんの集大成なので慣れたもの。次に放たれる台詞も全部把握しているので、ヨンドウィグが言うより先に、「2号線!」という声が(笑)。

「2号線って言ったの誰よ!まるで予想したみたいに2号線って!」ヨンドウィグも負けずに答えます。

続いて各国の言葉であいさつ。

「Hello!Hola! こんにちは!你好!Guten Tag!Bon giorno!Bonjour!สวัสดีคัพ!」

全ての挨拶に客席も全力で応えます。
笑い出すヨンドウィグ。
「あんたたちやるわね!」客席からは歓声と拍手。

「ナマシッテ!」
「あ、なんかちょっとエッチな感じ。ナ、マシッテ!(나, 맛있대 私が美味しいって)」
鉄板ネタも今日が最後(泣)

「How do you do!」 「ヒューーー!」
「ハジメマシッテ!」 「ヒューーー!」

いつもはここで客席がドン引きしたというフリで、雰囲気を盛り上げるためにもう一度はじめから!という流れになるのですが、あまりにも客席からの反応の声が大きいので、

「反応がすごくいいわ。でも初めからもう一度始めるわよ!Come on!!」とTear Me Downのエンディングが流れ、コールアンドレスポンスのアンコール。

「あんたたちもやる気で来たのね。いいわ、誰が勝つのかやってやろうじゃない!」 

「私の名前はヘドウィグ!私の名前は?」と会場に振ると「ヘドウィグ!!」と全力で応える客席。

アングリーインチバンドに続きイツハクを紹介すると、客席からイツハクに向けて最大級の歓声が上がります。

「ちょっと!主役は私よ!私は嫉妬深い女なのよーー。私にだけ集中しなさい!集めて集めて〜集中♡」
客席からの歓声に「わかった!わかったから!そんな興奮しないで!まだいっぱい残ってるんだから(笑)」

ひとつひとつのやり取りが、楽しくて幸せで大切で。
舞台の上には多分同じように感じているであろうヨンソクさんの幸せそうな表情。

客席にグミを投げたイツハクもいつになく遠くに(客席3列目くらい?)投げ、よくやったと褒めるヨンドウィグ。どっちが遠くに届くかやってみよう!と投げたグミは2階直前で届かず1階後方に。

イツハクが前髪を整えるヨンドウィグのために差し出した手鏡越しに「わたし綺麗?」とヨンドウィグが問うと、いつもとは違って「綺麗だよ」と目を逸らしながらも応えるイツハク。

トミーの交通事故を告げる記者、ハイミドル氏の鉄板ネタ、「그런데 말입니다. 상중씨가 마시는 커피 사이즈는? 그란데말입니다!」(そこで、です。サンジュンさんが飲むコーヒーのサイズは?グランデです〜)というくだりも、いつもならヨンドウィグがひとりで話を進めるところ、この日は客席から「グランデ!」と多くの声が上がります。その通り!と嬉しそうに続けるヨンドウィグ。

「そうよ!ここまで来たらサンジュン先輩が来てもいい頃じゃない!!」
2017シーズンからずーっとやり通してきたこのネタ。本当にそろそろ1回くらい、ホンモノをご招待してもよかったのに(笑)

いつもの何倍もの客席の歓声とやり取りをしたあと、だんだん本編に集中していきます。

『Origin Of Love』
この世を創造した神々の物語。歌をはじめる前、寝しなに母親がこの話を聞かせてくれたと説明をするヨンドウィグ。

「まるでちゃんと合っていないパズルのかけらのように重なり合ったふたり…」と両手の指を交互に合わせながら空を仰ぎます。
そして天に向かって神の悪戯を責めるヨンドウィグ。

「ねぇ。ねえったら!貴方たちが私にどんな事をしたかわかってるの?!」
直前までの明るさとは真逆の、誰に訴えたらいいかもわからない、天に八つ当たりするしかない心の傷。

キャーキャー盛り上がっていた客席を一瞬にして集中させるこの演技力と吸引力に千秋楽でもまた感嘆します。

ルーターとの出会いを回想する場面では、いつもルーターがヨンドウィグを誘惑するためグミベアを一つ一つ投げてはそれをヨンドウィグが口でキャッチしていましたが、この日はふたつ目のグミベアを手で掴んだヨンドウィグ。

「ルーターにも私が食べさせてあげたわ」
と言いながらルーター(=イツハク)の口へグミを入れます。予想外のグミ攻撃に笑ってしまうルーター。してやったりのヨンドウィグ(笑)

スリップバックでルーターから逃げ出すヨンドウィグ。完成とはほど遠いステップに、「今世では無理っぽい」と匙を投げました(笑)

『Sugar Daddy』

カーウォッシュはこのところ安定の、ヨンソクさんのお知り合いご招待席。顔を両手で覆って下を向いたまま耐え忍んでいらっしゃいました(笑)

お前が素敵な女性の服を着たところを想像したら最高だと思う、と迫ってくるルーターに「どうしよう、女の子の服なんてお母さんのエプロンくらいしか着たことないの」と身悶えするシーンでは、マイクを持たない方の手の甲を舐めてからルーターの頬になすりつけるのが最近の定番(どんな定番w)。ルーターが逃げないように足を踏みつけて抑えるのですが、「最後までどうしてもこうしなきゃダメなのか?!」と泣きそうなルーターに、したり顔で手の甲をなすりつけていました(笑)。

ルーターが提案してくれた結婚だけど、プロポーズはヨンドウィグから。
『オットケソング』をひざまづきながらそれはそれは可愛く歌います。

「ルーターがとっても好きなの オットケオットケ」
最大限の愛嬌を振りまきながら歌い終わって、
「はぁ…食べるために稼ぐのは大変」とため息混じりに呟くと会場からは歓声があがります。

今年の1月、ヨンソクさんの日本ファンミでこの歌を歌ってくれたのを覚えているでしょうか。あの時はあんなに照れてたのに…ヘドウィグの舞台で40回も披露したことになりますね(笑)

続くナンバー『The Angry Inch』

難なくトレイラーハウスの屋根に上り歌い始める姿もこれで最後。有線マイクの赤いコードで性転換手術の傷と血を表現するのも最後。

まだ痛む手術の傷跡を抑えながら、希望に瞳を輝かせてアメリカに旅立つヨンドウィグ。

ヨンドウィグがいなくなったステージで一曲披露するイツハクへも、最大級の歓声と拍手が沸き起こります。
通称ジャンツハク、ジャン・ウナさんの歌唱力はそれはもう素晴らしく。魂を感じるというかエナジーの震えが半端ないというか。毎回公演を見るたびに3人のイツハクそれぞれに魅了されましたが、ウナさんとのペアが今回の私の最愛でした。

衣装を替えたヘドウィグが舞台へもどり、次のナンバーへ。

『Wig In A Box』

結婚、渡米後1年で離婚しルーターに捨てられたヘドウィグ。悲しみ溢れる曲のはじまりから、自分は自分、私は誰よりも素敵で、唯一無二の存在!と自信で輝くヨンドウィグ。

ステージから客席へ降りて一周駆け抜けると、そこには希望でキラキラしたエナジーが充満します。

ひと息ついて水を飲み干し…たかと思ったらシャワーのように吹き出し「ロックンロール&パンクロックジェスチャー」タイム。

いつもは口に大量の水を含んでは吹き出してステージの端から端まで行くのですが、最終日は秘密兵器、大きな水鉄砲が登場しました。おかげでかなりステージから離れた席までしっとり濡れたはず(笑)

白いフェイクファーコートを着てエルサになり
「Do you wanna build a snow man?」とイツハクに振れば、いつもなら「No~~~!!」という答えが返ってくるのに、最後は「Yes」をもらいご満悦のヨンドウィグ。

トミーとの真実を全部話す、と舞台はDr.エスプレッソバーへ。

Queen ‘Love Of My Life’

甘く切ないヨンソクさんの歌声で私の心に残ることになるこの曲。もちろんQueenのオリジナルも大好きだけど、ヨンソクさんの声で紡がれるメロディは何にもかえられません。何年後かわからないけれど、いつかHedwigのステージに戻ってきてくれたらその時にまた聴けるのかな…ㅠㅠ

ギターのスンジャオンニの振りで歌ってくれた

Richard Marx ’Now And Forever’

ドラムのヨンジャオンニの振りで叩いてくれたドラム。

最後もやっぱり꽁꽁 얼어붙은 한강 위를 헤드윅이 걸어갑니다! カチカチに凍ったハンガンの上をヘドウィグが歩いていきます。からの、こんな暑い季節に何言ってるんだか、と自らツッコミ。

ギターのヨンスクオンニは、さっきと同じNow And Foreverの旋律を弾いて客席が駄々をこね(笑)

Sting ‘ Shape Of My Heart ‘

これもまた、ヨンソクさんの声で心に刻まれてしまったメロディ。これから先どうしたらいいのーーㅠㅠ

18才のトミーをライブに招待し歌った

『Wicked Little Town』

ヘドウィグのライブに感動し、自分の部屋にヘドウィグを招待したトミー。トミーに惚れ込んだヘドウィグは自分の全て、自ら作詞作曲した曲たち、ギター、眉毛のお手入れ方法まで。何もかもを注ぎ込みます。一緒に音楽活動を始め人気を得だしたふたり。

トミーとの最後の日。
ヘドウィグの提案で新曲の練習をはじめるトミー。
自分の失ったかたわれがトミーだったと悟るヘドウィグ。トレイラーハウスの中ふたりきり、高まる感情と熱い吐息。初めて交わしたキスと、次の瞬間ヘドウィグの導きで触れた、残された1インチに衝撃を受け逃げていったトミー。

この場面の感情線、間違いなくヨンソクさんがひとりで演技をしているはずなのに、息が詰まるような2人の鼓動まで聞こえてきそうな緊張感。逃げていったトミーの姿に傷つき、卑怯者!私のこと愛してるって言うなら全てを愛してよ!と訴えるヘドウィグの火傷しそうな絶叫。何度観ても、その爆発するようなエネルギーに圧倒されます。

『Hedwig’s Lament』
『Exquisite Corpse』

ボロボロになった身体と心を剥き出しにし、身につけていたカツラも服も靴も。すべてを脱ぎ捨てるヨンドウィグ。

スタジアムのステージではヘドウィグへの胸の内を告白するように歌うトミー。

『Wicked Little Town (Reprise)』

空中に浮かぶ裸のトミー。泣きながら歌い、贖罪するその姿もこれで最後。

その姿をミレニアム劇場から見守っていたヘドウィグの足元を見ると、やはりまだテーピングをしていました。
怪我をしてから約1ヶ月。頑張ってくれたヨンソクさんに心の中で拍手を。

自らが脱ぎ捨てたカツラを再び拾い、愛おしそうに抱きしめて泣くヨンドウィグ。そして…

『Midnight Radio』

あぁ…本当にもう終わっちゃう。
束縛し続けたイツハクを解放し、負けるな。諦めるな。とメッセージを歌う姿に。その力強い歌声に。涙が止まりませんでした。

歌詞のとおり、弱気になって当然な状況に陥った瞬間にも「負けずに、諦めずに」舞台に立ち続けてくれたヨンソクさん。なんてかっこいい人なんだろう。心は震えるばかりです。

美しい女性の姿になって戻ってきたイツハクの肩に、いや最後はほっぺだったかな。愛おしそうにキスをしてステージを去っていくヨンドウィグ。カッコよすぎて、眩しすぎて、愛おしすぎて。40回目の公演をついにやり切ったその背中を見つめました。

カーテンコールでステージに戻ってきたヨンソクさんは深々とお辞儀をしたあとこれでもか!という強さで投げキッスを客席に贈ります。

ああ、遂に本当に終わったんだなぁ!とボロボロに泣きながら(笑)喉が詰まって声にならない歓声と拍手でヨンドウィグを見送りました。


.

わぁ…これ一体何文字書いたんでしょう。
長くなりすぎたので、アンコールは次の記事に記すことにしますね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?