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#6 Wicked Little Town 歌詞訳 ミュージカル『HEDWIG』より

네 눈엔 태양이 있고
비구름 하늘까지 머물고 있어
맑았다 흐린 날처럼 오르고 내리는 인생
우리네 삶은 돌고 또 돌지
길 잃고 헤매는 당신
따라와 나의 속삭임
건너요 차가운 도시
Wicked little town

あなたの目には太陽があり
雨雲の空までとどまっている
晴れては曇る日のように
上がっては下がる人生
私たちの人生は巡りまためぐる
道に迷い彷徨うあなた
ついてきて私の囁きに
渡って 冷たい都市
Wicked little town

운명이 널 시험해도
힘들어하지 말고 헤쳐나가길
미움과 증오에 지쳐
원망과 좌절에 빠져
뜨겁고 차가운 바람 세차게 몰아쳐
길 잃고 헤매는 당신
따라와 나의 속삭임
건너요 차가운 도시
Wicked little town

運命があなたを試しても
苦しまずに乗り切ってほしい
憎しみや憎悪に疲れ
怨望と挫折に溺れ
熱く冷たい風が強く吹きつける
道に迷い彷徨うあなた
ついてきて 私の囁きに
渡って 冷たい都市
Wicked little tiwn

아-아-

세상은 잔인한 무대
후회는 패배자의 넋두리일 뿐
존재의 가치도 몰라
서있는 위치도 몰라
더 이상 뒤돌아 갈 수 조차 없다면
길 잃고 헤매는 당신
따라와 나의 속삭임
건너요 차가운 도시
Wicked little town

この世は残忍な舞台
後悔は敗者の言い訳なだけ
存在の価値も知らず
立っている位置もわからない
これ以上戻ることすら出来ないのなら
道に迷い彷徨う貴方
ついてきて 私の囁きに
渡って冷たい都市
Wicked little town

6曲目は『Wicked little town』です。

ヘドウィグはルーターと離婚したあと、いくつものアルバイトで生活をつないでいましたが、その中のひとつがベイビーシッターでした。

スペック将軍の子供を任されていた時に出会ったのが、その子の年の離れた兄だったトミーでした。トミー・スペック、当時18歳。
ニキビ跡がある顔に眼鏡をかけ、キリストに夢中になって魚マーク(イクトゥス)までベタベタつけて回る(ヘドウィグ曰く)セクシーな子だったと。

ヘドウィグは、トミーを自分のライブに招待します。
The Angry Inch Bandの元になった、米軍人下士の韓国人妻達を集めたメンバーと演奏活動していたヘドウィグ。舞台はその場所Dr.エスプレッソバーへ。

そこでまずはじめに、ヘドウィグが一曲披露します。今期の公演ではJourneyの『Open Arms』を。
ちなみに2017年の公演では、約3ヶ月の公演期間に何回か曲が変わりました。Stevie Wonderの『Latery』、Robert Parmerの『Bad Case Of Loving You』、Richard Marxの『Now And Forever』。

1曲歌ったヘドウィグが客席の真ん中にトミーを見つけ、スペック将軍の息子さんが観にきてくれたと紹介して2曲目を歌います。
それが、#6 『Wicked Little Town』です。

ヘドウィグが初めて男性ボーカルのために書いたというナンバー。この曲のあと、『ヘドウィグ』の名物イベントがあります。
ヘドウィグが自らの顔を拭いたハンカチをトミーに手渡すのですが、受け取るのは実際の客席の1列目に座るお客様。ここが通称トミー席です。

ヨンドウィグはハンカチを渡す際、セクシーな声で「キス(しなさい)』と手の甲へのキスを要求し、お客さんが躊躇している間にはハンカチをくれません。(笑)見るたび思いますが、手の甲にキスをしたお客さんは、その後の内容が頭に入ってくるのでしょうか…。

ハンカチには歌舞伎の隈取りのようにヘドウィグのメイクが写っています。(これはグッズとしてMDブースで販売もしています)

『邪悪な小さい都市』という題名のように、内容は世間の厳しさと冷たさに打ちのめされた主人公に救いの手を差し伸べ導くような内容のこの曲。

ライブを観たトミーはヘドウィグのつくる音楽に心酔し、ヘドウィグを自分の部屋に招待します。トミーがかわいくて仕方ないヘドウィグは、トミーに自分の全てを惜しみなく伝授します。

ギター演奏から眉毛の整え方やロック音楽の歴史、歌詞の書き方まで。自分が作った曲も全てトミーに教えます。『トミー・ノーシス』という芸名もヘドウィグがつけてあげました。『ノーシス』とはギリシャ語で「知識」という意味。ロックスター トミー・ノーシスのトレードマークである眉間に描いたシルバークロスもヘドウィグが描いてあげたのがはじまりです。

二人は一緒に歌い始め、デュエット曲がヒットしてシズラーと一年間契約し、サラダバー前のステージで公演するようになります。掛け持ちしていたバイトを辞めて音楽に専念できるようになったヘドウィグ。人生で一番といってもいいくらい幸せな日々を過ごします。

そんな中、トミーとの別れが突然やってきます。

ヘドウィグが自宅のトレイラーハウスでモルトウイスキーを楽しんでいると、泣きながらトミーが訪ねてきます。

どうしたの?と尋ねるヘドウィグに、トミーは「おかあさんが、お父さんが、両親が…」と言葉が続きません。トミーをぎゅっと抱いて慰めるヘドウィグ。するとトミーはヘドウィグの腕をすり抜け背後にまわり、ヘドウィグの背中に抱きつきました。

2人は互いに好意を抱きながら、その時まで一度もキスをした事がありませんでした。そう、トミーはヘドウィグの前面についてそれまで興味を持っていませんでした。

新曲の練習をトミーに促しながら、愛について話し始めるヘドウィグ。愛とは何だと思うか、というヘドウィグの問いにトミーは冗談めかした答えを返すばかり。
ふざけるトミーとは反対に真顔のヘドウィグは、トミーのおでこに太いシルバークロスを描きます。何度練習しても上手く弾けなかったトミーのギター。外してばかりだったギターのコードが合った瞬間、ヘドウィグは気づきます。失った私の半分はトミーだ、と。
二人はキスをします。強烈で甘いくちづけに高揚し、ヘドウィグは耐えきれずトミーの手をとり自分の1インチのそこへ。

それに触れた瞬間トミーが驚き我にかえります。
「ヘドウィグ、これは何?」。「私が解かなきゃならない…宿題」ヘドウィグが答えます。言い訳をはじめるトミー。「お母さんが僕を探してると思うんだ」。「臆病者!なんて卑怯なの!」。
「ヘドウィグ、愛してるよ」取ってつけたように言うトミー。「私を愛してるなら…私のこれも愛してよ…」。トミーはこたえず、家を出ていきます。

次のナンバー#7 『The Long Grift』を歌おうとするも涙で歌うことができないヘドウィグ。そのまま舞台裏に消えていきます。


あまりにも強烈なこのシーンは、すべてヘドウィグの独白で進みます。
息をするのも忘れ、のめり込んで見入ってしまう演技。こんなにも濃密なシーンを一人で演じ切るヨンソクさん。ちょっと前まで親父ギャグに命を賭けていた(笑)その人とは思えないくらいの吸引力。圧巻です。

Open Arms / Journey

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