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『私と、まきじゃく。』特別編(後編)

「劇団まきじゃく」スポンサー企業決定記念で行われた
株式会社DOKOSOREの代表さいかいさん×劇団まきじゃく主宰の川上創平さんの対談の後編をお届けします。
運命的な出会いを果たし、似たような考えをもつお二人。
後編ではそんなお二人が考える演劇界のビジョンについてお話していただきました。

前編はこちらから。

二人が考える演劇の未来

―――「劇団まきじゃく」が掲げる目標はありますか?

かわかみ:「5年後に本多劇場の予約を取れる劇団になる」っていう目指してるところがあるんだけど。本多に立つのが目的ではなくて、このサステナブルなやり方で本多に立つと、小劇場界隈に一石が投じられるかなと(笑)「はっ!」と言わせることができるっていう。

さいかい:なかなか昼に他の仕事をやりながら、演劇をやって大きくするのは、難しいことなんやけど方法があるはずなんよね。

かわかみ:そうそう、そういうこと!いまもたどり着いたわけじゃないんだけど、それを探さないとダメだろうと。補助金頼りみたいな小劇場が多いけど、それありきは違くない?って思うわけですよ。チケットノルマとか、、、そのせいでみんな大学卒業したら演劇辞めちゃうから。そういうの無しでやった方が楽しいじゃん?

さいかい:だから演劇の新しい道を探すと!ここですよね。

かわかみ:まじでそれやりたい!

さいかい:できると思ってるからね。

―――いろんな人が気軽に演劇を創ることに参加できる未来を演劇界隈にぶっこむ!ということなんですね!

さいかい:ぶっこむぞ!!って感じですね、ほんとに(笑)

かわかみ:やってる人数は多い方がいいからね。量が質を生むから。
いまやってる人も選ばれし人ではなくて、優秀な人ほど続けないんだよ。
演劇が無くなることは無いんだと思う、3000年以上続いているから。

さいかい:目標にしてる本多劇場はずっと昔からある劇場だけど、新しく建つことは今ほとんど無いわけじゃないですか。

かわかみ:少ないね。どんどん減ってる。

さいかい:そこは、なにか出来るんじゃないかなと。例えば飲食店舗でやってみるとか!

かわかみ:カフェとかの1席に急にスポットライトが当たって、急に物語が始まりだす的ね!

さいかい:そうそう!そういう新しい形が想像できるから、とにかくいろいろ試してみたいですね。

フリーカンパ制で踏み出す一歩

―――今回の公演で実現したいことはありますか?

さいかい:プロデューサー的にはあるんですか?(笑)この春公演はこれです!的なものは。

かわかみ:俺的にはフリーカンパ制。チケット収入に頼らない形をつくることができれば、お客さんが自分で金額を決めて払うってことができるわけですよ。

さいかい:はいはい。それは実現できるね。究極売上が0円でもいいわけだから、お客さんが感動した分だけ払ってくれたら。それを今回試すことができたら、新しい風になる気がする。

かわかみ:めっちゃいい、、、!
演劇ってやるハードルも高いけど観るハードルも高いから。
交通費は100%かかるわけで、それプラス観劇代6000円とかなったらそりゃ観ないよ!って。しかも面白いかどうか分からない。だから一個ずつハードルを下げていくしかないんだよね。そうなるとフリーカンパ制の方が正しい。商品(劇)を見せた後に金額決めてもらった方が正しい金額になると思う。

さいかい:そうね。結局行かなかった俺から言うのはあれやけど(笑)行ったら感動するんよ!終わった後は感動して満足度高い状態だけど、行く前って正味分からない。俺だって創平くんに言われてなかったらチケットすら買ってないわけだから。行く前に負担をかけずに満足しているときにお金を払ってもらうってことをすると、もしかしたら伸びるかもしれないしね。

かわかみ:そうそうそう!!それを実験できる機会って社会人劇団はほぼないからね。
チケットノルマだして最低これだけ売らなきゃだめっていうのもつくってるし、売れなきゃ役者が自腹っては?って思うじゃん(笑)出演してもらってるのにその上お金を徴収するって、そんなに偉いのか主宰側はってなるから。それは嫌だなと。


さいかい:いまってちょっとさ、下北とかで売れないバンドのライブに行くみたいなのが流行りだしてる、再燃してる感じがしてて。あの感じがなんでバンドだけなんやろうって思うわけよ。それって演劇が知られてないのと、いろんな理由があると思うけど、演劇でも同じことできるんちゃうかなって。

―――バンドと劇団、何が違うんでしょうか。

さいかい:バンドとかだったらインスタとかで見て、いい曲かもって思ってライブに行く、っていう行くハードル低いし、路上ライブやってたらそこで興味持つとか、行くきっかけが多い気がしますね。演劇って行くきっかけあるのかね、、、?

かわかみ:知り合いが出てるとか、元々有名かどっちかってことはあるかも。

さいかい:最近、SNSでショート演劇とかはあるかもしれんけど。

かわかみ:あれは観に行く客層じゃないんだよね。

さいかい:そうなんよね。だからまだ演劇は見つかってない感じがあるけどね、俺からしたら。

かわかみ:やっぱり値段も大きいと思うけどね。

さいかい:演劇は値段高いもんな。

―――なるほど。そこを、、、

さいかい:変えていく!!!(笑)

かわかみ:その発想はあるはず!(笑)

さいかい:その最初がフリーカンパ制だね。

かわかみ:あとは無料でYoutube公開!みんな出さないんだよね。

さいかい:それはこだわりなんやろうなあ。生で見ないと価値ないと思ってるから。

かわかみ:じゃあ無料で見せればいいじゃんって思うけどね。宣伝でしかないからさ。
ネットで見つけた脚本とかを使うと、配信は期間限定にしてくださいとか、あるんだよね。いつでも見れた方が絶対いいのに。

さいかい:それはほんまにそう思う!

―――そういうのがあるので、見つかるきっかけがどうしても減ってしまうのでしょうか。

さいかい:そうそう。結局最終的に人数取れなくなっちゃてるから、首しめちゃってるところはあるんかなと思うけど。
あと思うのは、配信を見据えた上だったらちゃんとカメラあてれるやん。
いろんな視点から個別のカメラあてたりとか!確かに引きの絵だけYoutubeとかで見せられてもよく分からんこともあるかもだけど。ちゃんと準備すれば生配信とかもね!

かわかみ:ノウハウがないのかもね。金持ち劇団はやってるんだよね。
技術とお金が小劇団までおりてきてないんだと思う。

さいかい:なるほどね。ファンをつけていけば出来るやろうから、ファンを獲得するために小さいものでもいいから、世に出していかないとね。

スポンサーが考えること

―――お二人は考えが似ているからこそ、さいかいさんはスポンサー企業の代表でありながら、とてもいい形で協力してくれる存在という風にお話を聞いていて感じます。

かわかみ:そう!!!

さいかい:それが出来たら最強だなと。

かわかみ:理想を超えた理想!(笑)

さいかい:スポンサー企業っていう言い方をしちゃうと、パワーバランスがあるように見えるんですよね。スポンサーに対して不都合なことをやるとお金を出してもらえないってすごく不健全で、スポンサー企業になったとしても不健全な状態で。
自分たちも、いいものを創ってもらうことによってメリットを享受できる上で、音楽に関してはこの人がやった方が一番いいものができますよね、舞台演出に関しては創平くんがやったら一番いいものができますよねっていう状態がちゃんと作れたら、そんな不健全な状態って起こらないと思うんですよね。スポンサーが圧をかける必要がないわけだから。
そういう関わり方ができればいいなと思います。

かわかみ:そんな不健全な状態にはならないと思ってます(笑)

さいかい:自分たちからすると、とにかくいいものを創ってもらって、企業が演劇から得られるメリットってなんだろうという研究の意味合いが大きいので。そういう意味では、起きるはずがない!と思ってますね。

―――メリットに繋げる道筋などは見えているのでしょうか。次の公演で実践することは何かありますか?

さいかい:次に関してはクライアント的なうちの会社じゃない人を招待してみようと思ってて。あとは自分たちが採用したいと思っている強い人たちも呼んでみたいなと。
その方たちに観劇してもらって何を感じたかは聞いてみたいと思いますね。それであんまり刺さってなかったら、方向性が違うんだなって分かるし、刺さったら狙い通りで。うちでこういうことできますよ、って誘っていきたいです。

かわかみ:招待しやすいね、フリーカンパ制って。

さいかい:カンパ制のいいところはここですよね!金払えって言ってるわけじゃないから、一回見てみなよって気軽に声をかけやすい。

新しい環境で挑戦する意味

―――スポンサーがつくと劇の規模感も変わったりするんですか?

かわかみ:金額はいつもと一緒ですね。集め方が違うって感じかな。前までは劇団員のみんなから集めてたから、絶対に黒字にしてみんなに返そう!っていう責任感があったんだけど。今回は返さなくていいって言われてるから、完全に乗っかれるからいろいろ実験できるって感じ!

―――なるほど、より自由に挑戦ができるわけですね。

かわかみ:そうですねえ。毎回その時の最大のいいものを創ろうと思ってるから挑戦はしてるんだけど。でも今回は準備の段階で人を呼ぶ範囲は増やしてて。前回まではサークル仲間の同期会っていう意味合いが強かったんだよね。属人化しちゃうとどうしても続かないっていうのがあるから、それはどうにか排除したいと思ってる。

さいかい:劇を見た会社のメンバーの反応とか見てると、演劇やってない人が見たときの反応が気になるよね。演劇やってない人に刺さっていけば伸びるんだろうなと思いますね。

―――今回はフリーカンパ制で観客を呼びやすいだけでなく、創る側の人にも声がかけやすく、参加しやすい環境になっているんですね。

かわかみ:そうだね。だから今回めっちゃ聞いてる!前回までは「これやってほしい!」って言ってたけど今回はまず「これやれる?」から聞いてて。
ずっと照明を担当してくれてたあべ(インタビュー#3)が今回参加できないってなって、おぉどうするってなったけどこういうのを越えていかないとな、と。
あと松下っていうほぼ出てくれてる、看板俳優っぽくなり始めてた人がいるんだけど、看板俳優作っちゃうと良くない。作品ファーストじゃなくなっちゃうから。今回は松下が役者で出ないっていう方法を取ったりとか。
DOKOSOREの人出してみたりとか「出てみたい!」って人は出すし。
それをひとつにまとめるっていう挑戦は自分の中でしている。

さいかい:難しい挑戦ですね。

かわかみ:新しい役者も3人呼んでるし。

さいかい:すげえな。それは楽しみだ!

―――集まってる人が違うと場の雰囲気も変わってきそうですね。

かわかみ:それが人とやる意味だしね。同じ人とやり続けるとそれはそれで波がないんだよね。人とやる意味っていうのは予想を超えてくれるっていうところで。自分の範囲内で終わるなら指示系統を完全に作っちゃえばいいんだけど、人と一緒にやって楽しいのは自分の想像してたよりどんどん成長してくれることなんだよね。

さいかい:想像超えてくるやつね!

かわかみ:そう!演劇のプロデューサーとか演出って本番では何も出来ないんだよ。ここまで創り上げたら、あとはお客さんとして見る。その瞬間が一番楽しいんだよね。それを見るために、いま頑張ってます!
今回、どんな感じになるか僕も全然想像つかないんだよね。
演出も役者も脚本も新しい人に入ってもらってて、松下は出ないけど出たいっていう人には出てもらって、スポンサーもついて。この中でどうなっていくか、、、。
半分以上新しくなっているので楽しみであり、挑戦ですね。

演劇界に新しい風を

―――最後に意気込みをお願いします!

さいかい:とにかく今出せる最大出力の美しいものを創りあげたいですね!それを創るための諸々がスポンサーだったりするので。いま創れる一番美しいものを、創りたい。

かわかみ:全員が社会人になる最初の公演になるんですよ。今まではできるからやってたんですけど、今回は「やっていくぞ!」という演劇に対して能動的になる公演になると思うので、ちゃんとそういう「俺は演劇をやっていくんだぞ」という宣誓になるような公演を創りたいなと思ってます。

さいかい:宣戦布告ですね!!(笑)

かわかみ:そうそう(笑)あんまそう書いてほしくないけど、宣誓であってほしいけど(笑)

さいかい:演劇界へのせ・ん・せ・ん布告!!

かわかみ:言うな!!(笑)

―――なるほど(笑)みんなが演劇に参加しやすい環境を創っていく第一歩になるわけですね!

さいかい:まちがいない。

かわかみ:幕開けですよ!演劇ともかけて、、、(笑)

さいかい:素晴らしい!!!(笑)

―――演劇界に新しい風を吹かす幕開け。とても楽しみです!!



🌸公演案内🌸
『回り道』
日にち:2024年5月5日(日)/6日(月・祝)
会場:下北沢東演パラータ入場無料(フリーカンパ制)です!

全4編の盛りだくさんなオムニバス短編集です。
皆さまの日常のモヤモヤを晴らして、背中を押せるような演劇となっています😊
ぜひお越しください!
↓下のフォームからご予約いただけます↓
https://t.co/yPrzZEjfyx

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