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夏になると観たい映画

サマーウォーズだと思ったそこのあなた!
残念!!
でも半分正解です。





正解は「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」です。

この作品、タイトル通りデジモンのアニメシリーズ劇場版第二作目です。
…デジモンって今もあるのか?
まあアラサー世代ならだいたい名前ぐらい知ってるでしょう。
今年アニメ25周年らしい。

この映画、単にアニメ映画としてかなりの名作なんです。

というのも、細田守氏の監督作品なんです。
一作目の映画もそうなんですが、二作目のウォーゲームの方が圧倒的に評価が高い。


なぜ冒頭でサマーウォーズに触れたかと言うと、このデジモン映画が実質的にサマーウォーズの原案になっています。
というかプロットはほぼ同じです。
サマーウォーズの話をする時に絶対に外せない作品。


簡単にあらすじを書くと、ネット上に現れた新種のデジモンがデータを食い荒らしながら成長し、その影響が現実世界にも及ぶ。
そして究極体にまで進化した時、ペンタゴンをハッキングして核ミサイルを発射。
主人公はPCの前でパートナーデジモンと共に戦いミサイル爆発を阻止する。
という話。
サマーウォーズとほとんど一緒でしょ?

田舎の描写もサマーウォーズと共通する要素。


何が凄いってこれが2000年公開の映画なんですよ。
それなりにITが発達し始めた頃とは言え、まだPCも携帯も今ほどは普及してない時代です。
そんな時代にネットの世界で戦うという話をかなりリアルに描いているのが凄い。
そもそもTVシリーズ時点で主人公たちは「デジタルワールド」というデジモンの世界を冒険するという下地が出来ているのですが、今作ではそれをファンタジーに振り切らずにPCの中の世界として描いているのが上手すぎるし、作品の親和性が高すぎる。

TVシリーズや他の映画版ではデジタルワールドのデジモン達が現実世界に現れる展開もあるんですが、今作だけは完全にネット世界と現実世界で線引きがされていて、基本的に互いに行き来できないものとしてリアルに描かれているんですよね。(終盤主人公たちはネット世界に入る展開があるけど)
主人公である子供たちは実際に自分のパートナーデジモンに指示を出して敵と戦っているわけですが、周りの大人から見ればPCゲームにでも熱中しているようにしか見えない、という独特のシュールさも魅力です。

現に主人公の母親はニュースを見ながら「今日は色々変な事が起こっているわねえ」(実際はデジモンが引き起こしているが気づかない)と言いながらケーキを焼いたりお茶を持ってきてくれたり、普段通り生活しているわけです。
その辺の子供と大人の対比的な描写が凄く面白い。

またTVシリーズでは中心となるキャラクターが8人いるんですが、この映画、その中の3人だけにスポットを当てて物語が進行します。
その他のキャラクターは基本的に思い思いの春休みを過ごしており、大変な事が起こっているという認識すらしていません。
しかし、ここまでバッサリと描写する部分を絞っているからこそ、40分という短い時間でテンポが良く纏まりのある物語になっています。


当時のWindowsのGUIを忠実に描いていたり、NTTやBIGLOBEというワードが出たりなど、そういう面でもかなりリアリティを意識しています。
デジモンという下地が上手く作用していて、正直サマーウォーズより話が綺麗にまとまっています。




サマーウォーズを見た事があればピンと来ると思いますが、現実パートとネット世界パートで作画の仕方を変えています。
ネット世界パートは輪郭線を赤で書き、ベタ塗りのような独特のタッチになっています。
これもサマーウォーズと全く同じ。

現実世界から来た主人公たちは輪郭線を描かない事で別の存在だと強調している点も上手い。

このデザイン、現代でも余裕で通用するスタイリッシュさですよね。

サマーウォーズの名シーンである「よろしくお願いしまーす!!(Enterキー ッターン!!!)」も、セリフは違いますが全く同じシーンがあります。(あそこまで大袈裟じゃないけど)


サマーウォーズはよりリアル寄りの作風なため、良くも悪くもご都合展開やなって思ってしまう部分もあるんですが、ウォーゲームはデジモンという要素が上手く働いてあまりその辺が気にならないんですよね。
まあデジモンだしね、と脳が勝手に納得してくれるというか。
しかも40分の映画なのでコンパクトに纏まっていて気軽に観られるのも良いポイント。


デジモンのアニメを全く知らないとキャラクターの関係性などのベースの部分が分かりづらい気はしますが、普通に名作なので万人にオススメしたい作品です。



個人的な思い出で言えば、この作品はリアルタイムで映画館で観ていて、当時小学生なのでネットがどうこうとかほぼ理解出来てないはずなんですが、なんか印象に強く残ってたんですよね。

基本的に僕が子供の頃は映画に行くと言えば家族総出か父親と一緒だったんですが、珍しくこの映画は母親が連れて行ってくれたんですよね。
しかもたぶん自分から観たいと言った覚えはないので、母親の方から誘って連れて行ってくれたんだと思います。
それで記憶の片隅に印象強く残っていて、初めてサマーウォーズを観た時に「これデジモンじゃん!」と思ったのを強く覚えています。
で、後から調べたら監督が同じだったと。

それから大人になって改めて観てみると、今観ても面白いし今だから理解出来るストーリーだなという事で改めて感銘を受け、好きな映画の一つになりました。
ちなみに同時上映していたワンピースの映画第一作は1ミリも覚えていません。


なんとアニメ25周年記念で今週再上映があるとの事なので、劇場でまた観たいと思います。
観た事がない方も是非。


最後に、この映画春休み公開だったからか、劇中の設定も春休みなんですよね。(つい最近まで夏休みだと思っていた)
なのに圧倒的夏休み感が漂っているのは細田監督の作風なのか…。
本当は夏休みの設定でやりたかったのが公開時期の都合で春休み設定になり、本来の夏休み設定で大衆向けに作り直したのがサマーウォーズって感じですね。


二作品を見比べてみても楽しいですよ。


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