ホッとした3:45
3:45。寝ている私の元に、母から電話があった。
こんな夜中に。嫌な予感がした。
眠たい体を起こし、恐る恐る出た。
「どうしたの?」と尋ねると「琴がかけてきたんじゃん!」と。
はて。寝ていた私が母に電話を?
すぐに察した。
「あー、ごめん。寝ている時におささっちゃったのかも。」
※"おささっちゃった"は"押しちゃった"の意味
スマホをロックしている状態で、緊急連絡先に登録している人にのみ電話をかけられる機能が、寝ている間に私の寝相のせいで起動してしまっていたらしい。
母は眠そうな私の声を感じとり
「何も無いなら良かった。舞台頑張ってね。
お金、大丈夫?少し手伝えるけど手伝おうか?」
去年頃まではお金のことを頼れば「実家に帰ってくるか」と脅し文句のように言っていた母親。
上京して1年間は家賃を少し負担してもらっていた。
けど、20歳になってバイトも沢山して、頼ることはほぼ無くなった。
脅される度に嫌気が差した。
母親の事が嫌いになりそうだった。
だから、頼るのを辞めた。
母の口から嫌な言葉を聞きたくなかったからだ。
でも、母から「手伝おうか?」なんて言って貰えるなんて。少し泣きそうになった。
起きる前、夢を見ていた。
共演者の方々と雨の中歩き、駅の構内に入っていった。
その時に、4~50代のおば様数名に声をかけられ、Suicaのチャージの仕方が知りたいと。
皆に置いていかれるという焦りの中、拙い説明をしていたのだけれど、何かの操作でチャージ機から駅員さんに電話をかける機能が作動したように思えた。
電話のコール音が鳴り、機械の向こうから女性の声がした。
おば様はチャージすることが出来たため、その場を去っていった。
向こう側の女性も、私たちからの応答がないため、電話を切った。
その直後、私のスマホが現実で鳴ったのだ。
誤作動ではあるが、母に電話をかけていた。
こんな時間なのに電話に出て、私からの応答がないから1度電話を切り、直ぐに折り返してくれていたのだ。
何かの偶然か、必然か。
電話中、私は確かに安心していた。
照れくささもあったけど、母の声を聞いてホッとしたのだ。
本能的に母を求めていたのかもしれない。
手伝おうか と言われた時、目頭が熱くなった。
頑張っている事が認められたような気がした。
「こんな夜中にごめんね。ありがとう。
お金は、まだ大丈夫。」
「何かあったらすぐ言うんだよ。舞台頑張って。」
そう言って電話を切った。
いつだって母は偉大だ。
もう少し、頑張ろう。
母の口から聞きたくない言葉を出させないように。
3:45 / 3:47 / 4:25
電話終了 1:26
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