「籠の鳥」を語るだけのnote

お世話になってます。國分。と申します。
先日、「東方ステーション」様が開催された「この東方アレンジがすごい2022」という企画、番組にて僕の東方アレンジ楽曲「籠の鳥」がノミネートされました。この曲はたくさんの人に制作を手伝って頂きましたし、たくさんの場所で紹介して頂きました。製作者各位、企画を用意して下さった運営の方々、そして何より曲を聴いてくれた方々に改めてお礼させて頂きたいです。ありがとうございました。

さてお堅い挨拶はここまで、今回はこの曲について思いついた、思い出したいろんな話をしていきたいなと思います。お手隙の方はよかったらお付き合いくださいまし。


・賢者と巫女と結界の話

この曲の概要欄に「賢者と巫女と結界の話です」と明記しております。映像制作の関係でイラストレーター様には「八雲紫と博麗霊夢を描いてください」とオーダーしたのですが、歌詞の内容的に登場人物は「八雲紫」「博麗霊夢」と固定してないです。

っていうのもこの曲は僕なりの解釈で「博麗大結界の誕生と存在理由」を歌った歌詞に仕立てておりまして、そうなってくると「先代の博麗の巫女」だったり「幻想郷を作った賢者」も対象になってくるわけですね。ですので原曲に秘匿されたフォーシーズンズを採用したりしてました。

制作途中、色が被ってしまうので見送ってしまいましたがイラストを依頼する際の初期案で「霊夢の髪を紫色にする」ってのも実はありました。旧作に寄せた感じですね。

・歌詞の世界観

この曲の世界観、クッソ平たく表現すると「ヤンデレ紫さんが博麗大結界を口実に巫女を自分だけのものにする」って感じです。平たい。
歌詞を書く際キャラクターについて掘り下げたりする作業を最初にやるんですが、八雲紫ってどんな人?って考えたら「何もなかった」んですよね。僕の勉強不足かもしれませんが。

原作の劇中ではちょくちょく登場する機会があるのですが所謂舞台装置としての立ち回りが非常に多く紫さん自身の話ってまあ原作遊んでてもあんまねぇなってなりました。なんかありますかね。是非教えてほしい、、、
なので「じゃあなんで博麗大結界なんて面倒なシステムを作ったのか」ってところにフォーカスを当てて調べ物してもこれまた具体的なお話を見つけることが出来ませんでした。なので「ここの部分創作しちゃえばいいじゃん!」って出来たのがこの曲ですね。

・歌詞の元ネタと解説

ここからは歌詞に散りばめられた言葉のニュアンスと引用させていただいた元ネタの紹介をさせて頂ければと思います。

1B
黒だけでえがいたキャンバスじゃつまらないから
たくさんの「物語」を招いて受け入れたの

前作「夜明けと徒桜」にて人の一生のことを「物語」と表現した描写があったので今回も採用した感じですね。たくさんの物語を受け入れる→幻想郷に新たな人や神を呼ぶってニュアンスです。

好きな色を集めたら黒に変わってしまうの

これは実は元ネタがありまして「戦極MC BATTLE 2019.5/25戦極令和杯 SKRYU vs BATTLE手裏剣」のSKRYU様の3verse目「好きな色を集めたら黒に変わる」ってパンチラインをサンプリングさせていただきました。カッケェので良かったら是非

2A
美しくも残酷な
楽園の様な場所で

こちらは東方緋想天での名ゼリフ「美しく残酷にこの大地から往ね!」の引用です。この歌詞を歌ってる段階ではまだ幻想郷も結界も出来ていないことになっているので、幻想郷予定地を「楽園のように美しいけど残酷な場所」とセリフのサンプリングを織り交ぜて表現してます。

2サビ
空を飛ぶ
あなたが私から離れてしまわないように

「空を飛ぶあなた」は霊夢及び博麗の巫女の事、最初に書いた歌詞は「ひらり舞うあなたが私から〜」ってワードだったのですが「空を飛ぶ程度の能力」からこちらに変更しました。

想いの中
幻の中にあなたを閉じ込めた。

幻想郷は幻でありあなたの思いの中にあります(思想が強い)
そして「『想』いの中、『幻』の中に」の頭文字を入れ替えると「幻想」になるベタな小ネタもあったり。

C
逢いたさ見たさに怖さを忘れて
暗い夜道をただ一人で歩いた

ここの部分は東海林太郎様が1967年にリリースしたアルバムに収録されていた楽曲「籠の鳥」から引用させて頂いています。

水底に浮かぶ月が眩しすぎるの
それならばいっそ消してしまおうか

こちらは麻雀の海底撈月の言葉の意味から歌詞を書いています。月には良い思い出ないですからね紫さん、病んで切羽詰まってたら次にもブチギレてそうだなって思って書きました。ストーリー的に大切なニュアンスはここにはないです笑。

ラスサビ
神様が
ここにいないのなら私が世界を創るわ

妖々夢、さらには結界が出来たタイミングで幻想郷に神様はいなかったはず、、、ですし、ここでの神様ってのは位とか立場的な神様ではなく「八雲紫を救ってくれるもの」なので「誰も助けてくれないから私が幻想郷(世界)を創ってやるよ」って意味です。

・終わりに

この曲はどこにも行けない女の子の歌だったはずなのに、これをきっかけに僕の曲を聴いてくれる方が凄い増えたし、今までじゃ考えられないくらい沢山の場所で取り上げてくれたり、なんていうか「いろんなところに連れてってくれた曲」になりました。この曲を、僕達を選んでくれた方々には本当に頭が上がりません。改めてありがとうございます。

少し早いですが、来年はVOCALOIDオリジナル楽曲に力を入れたいなと考えつつも東方アレンジのネタは着々と仕込んでいますので、僕達のことをふと思い出した時にTwitterやニコニコなどの各種SNSを覗いていただけたらなと思います。

それでは良いお年を、次の幻想でお会いしましょう。

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