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はじめから自由だった僕ら

「この曲良いから聞いてみて」

ぼくが彼らと出会ったのは、仲の良い友人との些細な会話での一コマだった。


「ここの歌詞と歌詞の間に空白があるんだよ」

「なんか良くね?」

そんなことを言われてぼくは、適当に相槌を打ったものの、正直何が良いのかわからなかったと思う。

暗くて、テンポが遅くて、歌詞が難しい。

なんでぼくにこの曲をおすすめしたのだろうか。

素直にそんなことを思った。


"きっと"というか"絶対"に、話す内容がなくなってしまったから話したのだろうけど、

なんかこの曲の良さがわかるよね!と強要されているような、

おまえにこの曲の良さがわかるかな?と挑戦状を勝手に持ってこられて、わからないでしょ?と言わせたいような、そんな感じがした。

(絶対そうではないのだけど)


わからない恥ずかしさと、謎のムカつき。

そんな中、イヤホンでは歌詞のわからない洋楽が、ぼくの脳内をこだわりもなく流れていた。


「聞こえないように」

初めてハンブレダーズを知ったこの曲は、ぼくにとって今でも特別な曲となっている。



そこから約一年後。

何も予定がなく、ベットの上でぐうたら過ごしてしまった日を肯定するため、三つ隣の駅にあるサウナへと向かった。

いつも通り、サウナに入り、水風呂に入り、外気浴を行う。

朝起きて、仕事に行って、仕事から帰ってきて、寝る

くらいルーティンとなった流れを行い、なんとかその日を肯定する。


そんな帰りの電車。

自分のプレイリストに飽きてしまい、適当にシャッフル再生していると、「聞こえないように」が流れてきた。

いつもだったら飛ばしてしまうはずなのに、その日はなぜか車窓から見える雨の風景とともに、ぼくの体内へと入っていった。

この時も歌詞の意味とか曲調とか、正直あまりわからなかったと思う。

だけど、

「他にどんな曲があるのだろう」

ふとそんなことを思い、Apple Musicで"ハンブレダーズ"と検索し、上位に出てきた曲を順番に聞いていった。


「ファイナルボーイフレンド」

「BGMになるなよ」

「銀河高速」

いま思うと、どれも名曲ではあるが、

その時は特に「ファイナルボーイフレンド」からの「BGMになるなよ」は"ヤバすぎる"って思った気がする。(語彙力)

「聞こえないように」というしっとりした曲しか知らないところに、

「ファイナルボーイフレンド」というしっとりした曲を聞いたため、

しっとり曲しか歌わないバンドなんだと思っていた。

(んなわけないだろ)


そんな二曲を聞いた後の「BGMになるなよ」

もう一回記憶をなくして、あの場面に戻りたいくらい衝撃的だった。

"愛と平和を歌っても相変わらずな世界で、変わらず愛と平和を歌うのが僕の戦いさ"

初っ端なのこの歌詞と、それに呼応して叫ぶように鳴り響くギターの音。

完全に心を奪われてしまった。


前にも書いた気がするけど、

わかりそうで、わからなそうで、少しわかる

みたいな感じで、聞けば聞くほどわかってくる気がするし、今思うと"ハンブレダーズ"っぽいなとも思う。


ここからである。

ぼくがハンブレダーズに夢中になり、流す曲にこだわりを持ち始めたのは。



彼らの音楽って、

最高に"クサくて"

最高に"カッコいい"

大人になると恥ずかしくて言えなくなってしまうこと言ってしまう感じだったり、

自分が自分として生きることを諦めていない感じだったり、

明日を生きるための希望になっていたり、

ハンブレダーズの鳴らす音楽には、色々な顔があり、色々な人に刺さるものだと感じる。


ぼくが思うに、ハンブレダーズは、

優しく寄り添うというよりも、

"おれらがここにいるから大丈夫"

というのを音楽で表現している気がする。


学校で嫌なことがあっていきたくないとか、

仕事が上手くいかなくてしんどいとか、

もう何もかも投げ出したいとか、

生きていればそんな日なんて、たくさんという言葉では表せないくらいたくさんある。


そういった時、

そっと隣で優しく寄り添うのではなく、

おれらがここで音楽を鳴らしているんだから大丈夫だよ!

と足元から叫ばれている気がする。

現状に向き合うのもいいし、嫌になって逃げるのもいい、

ただ、"都合の良いBGM"にだけはなるなよ!

そんなことを足元から言われている感じがする。


なんだかしんどい

なんだか逃げたい

なんだかやめたい

そんな時は、

ヘッドホンをして、彼らの作り出す音楽を聞き、"宇宙"へ旅するのもいいかもしれない。

きっと、それが自分の歌だとはっきりわかるだろう。

先日、東京で開催された蚤の市に行ってきました🏃‍♂️
ローカルって感じで、店の人がすごく温かったです〜
地元に帰ってきた感😮‍💨

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