名無し

 はじめに
 この物語はまだ名前がない。名前をつけるほどの器でもない。内容も薄い、魅力的な登場人物なんて1人も出てこない。人間の無様な姿だけを描いた物語だからだ。
 登場人物の全員がぼくの心の中で飼っている無様な人間たちを擬人化させただけのもので、見ていて本当に滑稽だと思うに違いない。
 けれど、ぼくはそんな登場人物だからこそ書ける物語があると信じたい。いや、信じてこの物語を書く。
 手短に語るつもりが、長くなってしまうのもぼくらしい、ということにしておこう。

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