名無し3

 最初はなんとも思っていなかった。入学式の日、うちの隣は空いていた。仲のいい友達は誰1人いなかった。喋れる男子数人と、幼なじみの男子と、あまり喋らない女子1人。他は全員他校から来た人たち。
 喋りかけることなんてできるわけない。帰りも1人で車に乗り込んだ。

 次の日。隣は埋まっていた。無駄に身長が大きいのに猫背で、驚くほど細くて、暗そうなイメージ。でもかえってそれぐらいの人の方がうちには合っているかもしれない。無駄に干渉しなくて済むから。
 中学校初めての授業はもちろん自己紹介。その子の自己紹介は本当に解釈一致で、誰とも目線を合わせず、控えめに語っていた。
 かと言う最後から3番目のうちの自己紹介も控えめで、多分誰も覚えてなんかいない。

 思ってもいなかった。そんなあなたを、今こんなに好きなんて。


                                                          美空(みそら)

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