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【J NOTE】観光・地方創生コラム

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観光や地方創生政策について書いたコラムをまとめたものです。1記事はそれぞれ大体2500~3500字ほどあります。
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#地域

#0 「J NOTE」について

はじめに 「J NOTE」では地方の市町村にスポットを当てて、過疎化の現況や地方創生に関する行政の取り組みなどについて取り上げます。 主に、大学生のレポート課題の題材探しや、通勤通学の電車内でサクッと読めるようなコラムにすることを目標に、なるべく客観的かつ中立的な立場から書いていきたいと思います。 もし、「J NOTE」を読んで興味のあるトピックが見つかった時は、このnoteの内容を全て鵜呑みにするのではなく、必ず自力でそのトピックについて調べることをおすすめします。そう

#24 私立大学の公立化と地域貢献 ―山口県周南市と周南公立大学を例に―

はじめに『J NOTE』第24回は、山口県周南市を取り上げます。 周南市は、山口県中部に位置する人口約13.5万人の市です。かねてから重化学工業が盛んな街で、トクヤマや東ソー、日本ゼオンなどの総合化学メーカーが市内に生産拠点を置いています。 また、山陽新幹線徳山駅や山陽自動車道徳山東インターが市内に立地しており、下松市や光市など周辺地域への玄関口としても栄えています。 そんな周南市では2022年、市内に立地している私立徳山大学の運営が市に移管されたことで、新たに「周南

#20 かつて四国への窓口だった街 ―岡山県玉野市の産業と街のありかた―

はじめに『J NOTE』第20回は、岡山県玉野市を取り上げます。 玉野市は、岡山県南部に位置する人口約5.4万人の市です。瀬戸内海に面する港町で、明治時代には市内の宇野港から香川県の高松港まで宇高連絡船と呼ばれるフェリーが就航するなど、玉野市は本州と四国を結ぶ交通の要所として近代以降に大きく発展してきました。 しかし2023年現在、宇野港から四国本土行きの定期船は運行されておらず、代わりに瀬戸大橋が通る隣町の倉敷市児島地区が「四国への窓口」という重要な役割を担っています。

#17 都市部からめちゃくちゃ遠い街 ―和歌山県新宮市の産業振興―

はじめに『J NOTE』第17回は、和歌山県新宮市を取り上げます。 新宮市は、和歌山県南部に位置する人口約2.6万人の市です。新宮市は昔から熊野詣の拠点として栄えた街で、市内には「熊野速玉大社」や「権現山」など、世界文化遺産に登録されている神社や史跡が立地しています。 また、かねてから紀伊山地の豊富な森林資源を生かした林業が盛んであり、製紙業や木材加工業などが新宮市の基幹産業であるといえます。 そんな新宮市は、都市部からは非常に離れた場所にあります。 市街地にある新宮

#16 富山県南砺市のなんとびっくり!な芸術産業について

はじめに『J NOTE』第16回は、富山県南砺市を取り上げます。 南砺市は、富山県西部に位置する人口約4.6万人の市です。市内の南北には東海北陸自動車道が通っており、北陸新幹線の新高岡駅にも程近い立地であることから交通アクセスにも優れています。 南砺市は、2004年に平野部の5町村と山間部の3村が合併して誕生した市です。行政の中心は、警察署や市役所(2020年に福野地区から移転)などが置かれている福光地区ですが、平野部の福野・井波・城端地区にも市街地が分散しています。

#14 京都市における歴史文化に頼りすぎない「観光」づくり

はじめに『J NOTE』第14回は、京都府京都市の観光について取り上げます。 京都市は京都府南部に位置する、人口およそ144.8万人の市です。京都市は中世から近世にかけて1000年以上もの間、都が置かれていた日本随一の歴史を持つ街です。市内には清水寺や嵐山、伏見稲荷大社などの観光地が点在し、風光明媚な街並みと伝統文化が色濃く残っています。 また、京都市は外国人観光客からも人気の観光地であり、コロナ禍前年の2019年には延べ886万人が京都市を訪れるなど、日本を代表する国際

#13 福島県会津若松市における観光産業と新たな観光資源の発掘

はじめに『J NOTE』第13回は、福島県会津若松市を取り上げます。 会津若松市は福島県西部の会津地方に位置する、人口約11.4万人の市です。 会津若松は、江戸時代以前から会津地方の政治経済の中心都市として栄えてきました。現在でも、市内には会津地方の46.3%の人が住んでおり、県の出先機関や金融機関が置かれるなど、会津若松は会津地方を代表する都市であるといえます。 また、会津若松市は交通の要所でもあり、市内の東西南北すべてに国道が伸びています。加えて、市内の東西を磐越自

#9 愛知県西尾市は産業のほぼすべてを兼ね備えている街

はじめに『J NOTE』第9回は、愛知県西尾市を取り上げます。 西尾市は名古屋の中心部から南東へおよそ40kmほど離れた所にある、人口約17万人の街です。 西尾市が属する西三河地域は、自動車産業や機械産業などが堅調なことから全体的に非常に財政が安定しています。国から普通交付税の交付金を受け取らず、地方税のみで運営できている自治体(不交付団体)は、西三河地域全9自治体のうち7自治体に上っています(2022年度)。 西尾市は交付金の不交付団体ではありませんが、財政力指数が「

#8 長野県伊那市の観光振興と地方創生政策 ―地域活性化と知名度アップを目指して―《後編》

前編(観光振興)については、下記のリンクから見ることができます! 伊那市による地方創生事業続いて、伊那市による地方創生事業についてみていきたいと思います。 伊那市では、2020年3月に「第2期伊那市地方創生総合戦略」が策定され、「人口減少対策」と「経済縮小対策」の2つの地域政策に取り組んでいます。そして、人口減少と経済縮小問題に立ち向かうために、 という4つの基本目標が掲げられており、その基本目標達成に導くためのいくつかの事業(リーディング・プロジェクト)が示されていま