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ダブルサイズのラテ、液面の葉

いつものカフェ。
大体いつも同じようなテーブルに着く。

古い木のテーブル。
初めて来たとき、「将来はこんな家に住みたい」なんて。今考えると気恥しいようなことを話した記憶がある。

あの日一緒にいたのが誰だったかも思い出せないような、数年前の話。

月に一度ほど来るこのカフェで、ラテはいつもダブルサイズで届けられる。
ダブルサイズのラテボウルに、きれいな葉っぱが咲いている。

程よい温度にあたためられたラテに口をつけながら、自分が息を吹き返していくのを感じる。

この時に気づく。自分は少しずつ枯れていたんだ。

日々の生活で、僕は僕を少しずつ削りながら生きているような感覚がある。

薄く、薄く。リネンほどに向こう側を透かす薄さで削った自分を風に置き去りにして。

それだから、僕には僕を取り戻す時間が必要だ。
そうしないと自分を見失って、自分では自分を制御できなくなる。

そんな重要なことにようやく気付いたのだった。

これだから必要なんだ。一人の時間は。

こんな大事なことには、1人にならないと気づけない。

これだから必要なのだ。
週に一回行くあの場所も。
月に一度座るこのテーブルも。




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