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"一目"でわかる、買い相場

株にしろFXにしろ、みなさんはトレンドを把握するのにどのような指標を用いていますか?私は一目均衡表が大好きです。でも、チャートがごちゃごちゃになるので避けているという方が意外と多いのもまた事実です。

今日は一目均衡表をどのように見れば良いか、そしてどこに注目すれば良いかを簡単にご紹介します。

まずは一目均衡表をみてみよう!

まずは実際のチャートを見てみましょう。これは私が先日紹介した、「ユーザーローカル (3984)」の株探でのチャートです。
https://kabutan.jp/stock/chart?code=3984

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うん、ごちゃっとしていますね(笑)なんせローソク足以外に線が5本もあって、さらに塗りつぶされている領域まであるんですからね。。。

この一目均衡表は、日本人の一目山人氏が研究に研究を重ねて作られたものです。一目氏は「一目均衡表は日足で見てこそ意味がある」と仰っていたそうなので、以降の解説では日足チャートを前提とします。また、一目氏は一目均衡表に用いられる日付は9日、26日、52日がベストであると結論付けています。簡便のため、本記事ではそれらを短期、中期、長期と呼ばせていただきます。

まずユニークな点を挙げると、一目均衡表はテクニカルチャートとしては珍しく未来にデータをプロットするんです!塗りつぶされている領域が、現在のローソク足から少し先にはみ出しているのが分かりますね。プロットされたデータから少し先のトレンド予測を行えるというのは、結構面白いですよ!

それでは、実際にどんな線がプロットされているかをみていきましょう!

一目均衡表の構成要素を知ろう!

多分数字アレルギーの方も多いと思いますので、可能な限り言葉で説明します(笑)もしきちんとした定義を知りたい熱心な読者さんがおりましたら、ぜひ以下のリンクを参考にしてください。
https://kabu.com/investment/guide/technical/04.html

まずはお名前だけを先にご紹介しますね。構成メンバーは以下の通りです。

・転換線
・基準線
・遅行線
・先行スパン1
・先行スパン2

慌てないでください、ちゃんとお一方ずつご紹介します(笑)先ほどお見せした図に、分かりやすいように構成員の皆様のお名前を書き足しましょう。株探、プロットの色を変えられると便利なのにな。。。

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ちょっとローソク足が被っていて見辛いかもですが、これが一目均衡表の対応図です。では構成員の特徴を一言でまとめますね。

- 転換線:短期での株価の平均線
- 基準線:中期での株価の平均線
- 遅行線:株価の中期的な成長
- 先行スパン1:過去の短期と中期の平均線
- 先行スパン2:過去の長期的な平均線

まあ落ち着いてください。まだ自己紹介が済んだだけの段階じゃないですか(笑)彼らの人となりは、これからじっくりと見ていきましょう。投げ出したい気持ちはグッと我慢して、もう少しだけ私にお付き合いください。

ここでまずは皆さんに一つ朗報です!一目均衡表では、5本すべての線を同時に見る必要はありません。ですので、今から見るべき線だけをピックアップして、それ以外は無視をしてください!

ただ、一点だけ注意があります。一目均衡表においては、これがこうなったらトレンド転換のサインだ!という指標がいくつもあります。しかしながらそれら一つ一つは必ずしも確実なトレンド転換を意味するとは限りません。ですので、いくつものトレンド転換の指標が同時に揃ってこそ相場の大きな流れを見ることができる、という点にはご留意ください。これは最後のまとめで詳しくお話しします。

では、一目均衡表のどこをどう注目すべきかを一緒にみていきましょう!

転換線と基準線

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これらは短期と中期のトレンドを表しています。移動平均線と同じようなものだと思ってください。繰り返しますが、転換線が短期、基準線が中期となります。

見分けがつきやすいように初めに述べておきます。転換線と基準線を比較すると、短期平均の方が値動きが現れやすいので転換線がちょこちょこ動いている方です。逆に中期平均はちょっとの変化では微動だにしないので、基準線は真横に伸びていたりするなだらかに変化している方です。もしどっちがどっちか分からなくなったら、「こっちは小刻みに変化している。ということは、平均している期間が短いから転換線の方だ!」と思い出してくださいね。

まずは中期トレンドを表す基準線を見てみましょう。もしこれが真っ平らに長く伸びていたら、それはトレンドが中期的に変化していないことを表しています。逆にいうと、基準線が上向いている場合は中期的に買いトレンドに入っていることを表しています。今は少し下がっていても長期的な成長に期待・・・という場合でなければ、可能な限り基準線が上向いている銘柄を選びましょう。

次に転換線です。これは短期トレンドですね。これが上向いていれば、短期的にはイケている銘柄ということです。数日以内のデイ・トレードを考えている場合、あるいは早く売ってしまいたいけど明日上がるかもな・・・でもどうかな・・・??と悩んでいる場合は参考になると思います。

そして移動平均線と同様に、転換線と基準線の位置関係もまた重要になります。まず分かりやすいのがゴールデン・クロスです。一目均衡表においても、転換線が基準線を下から貫いた場合は買いトレンドへの転換と言われています。まあ中期的な平均に対して、ここ最近バカ売れしているということですから分かりやすいですね。

ただ、これをもって完全に買いトレンドに転換したと捉えるのは注意が必要です。なぜならばこれは短期で売れているというだけであって、決して今が買い相場であるということは保証していないのです。ですので、ゴールデン・クロスに注目するのではなく、転換線と基準線の位置関係に注目してください!もしゴールデン・クロス後に長い期間にわたり転換線が基準線を上回っているようであれば、それは常に短期で中期的期待値を上回っている証拠です。これはつまり、あなたが今買いに入ったとしても、強い買いトレンドのサポートによって中期的な期待を上回るパフォーマンスを示す可能性が高いことを示唆しているのです!!

以下に基準線と転換線についてまとめます。

・基準線は中期トレンドを表しているので、可能な限り基準線が上向いている銘柄を選びましょう
・短期的なパフォーマンスを知りたい場合は転換線の向きを見ましょう。
・短期トレンドである転換線が基準線を長く上回っている場合は、その銘柄が買いトレンドであることを示唆しています。
・基準線と転換線は移動平均線と同様な指標であるので、移動平均線が上向いているかなども併せてチェックするとより確実性が増します。

遅行線

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次は遅行線です。正直あまり目立たないし、大概の場合ローソク足と被っていて見にくいので、割と注目を浴びない不遇の存在です。

でも侮るなかれ!なんと一目均衡表の作者である一目山人氏は、「遅行線こそ一目均衡表において最も重要である」とのお言葉を残しています。ただ、一目氏による一目均衡表の解説書は7冊あるのですが、残念なことにその一部はすでに絶版となっております。そのため、現在では一目均衡表を完全に理解している人はほぼいないとされています。。。

この遅行線も本来は様々な情報を持っていたのでしょうが、現在では割と単純な分析に利用されているのみです。しかしながら、過去と現在をつなぐ遅行線には単純ながらも相場の方向性に関する重要な情報が秘められています。一目均衡表を見る際には遅行線も必ずチェックし、現在の相場の方向性についてきちんと見極められるようにしましょう!

まずは軽くおさらいです。遅行線とはなんだったか覚えていますか?・・・そうです、「株価の中期的な成長」を表す指標ですね!具体的に言うと、現在の株価を26日前に遡ってプロットしたものが遅行線です。ですので、遅行線を26日分だけ前にずらすと、ローソク足とぴったりと重なるんですよ。

では、この遅行線をどう見れば良いかを考えていきましょう。遅行線の先端は、現在の株価を26日前に持っていったものです。遅行線の先端と、26日前当時のローソク足の位置関係を比べてみましょう。これは一体何を意味するでしょうか?

もし遅行線がローソク足を上回っている場合、それは現在の株価が26日前より高いと言うことを示しています。ですので、26日前にこの株を買った人は現在ウハウハなはずです!つまり、中期的にそれだけ株価を上昇させる買い相場が形成されていたと言うことがわかりますね。逆に遅行線がローソク足の下にあると言うことは、それだけ中期的にその銘柄が売られたと言うことを意味しています。また、遅行線がローソク足から離れているほど中期的に強く買われたり売られたりしているとも言えます。

そして基準線・転換線の時と同様に、遅行線がローソク足を下から貫いた時はトレンドが好転したと捉えられます。ですが貫いた直後にすぐ買いトレンドが形成されたと判断するよりは、やはり長い期間にわたり遅行線がローソク足を上回り強い買い相場が形成されているかを見た方が確実だと思います。遅行線がローソク足を下回っている場合は売りが強いので、可能であれば遅行線がローソク足を長い期間上回っている、最低でもそろそろ下からローソク足を貫きそうな銘柄を買うようにしましょう。

遅行線についてまとめます。

・遅行線は中期的な株価の成長を表しています。
・遅行線がローソク足を上回っているということは、中期的にその銘柄が買われていると言うことを表しています。
・ローソク足を上回る期間が長く、かつローソク足から大きく離れているほど方向性が強い買い相場であると言えます。このような銘柄を選ぶと良いですが、乖離率などにも注意して買われすぎていないかもチェックしましょう。

先行スパン1、2

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先行スパンは現在までのデータを基にして26日先にプロットします。ですので、現在の先行スパンは過去の相場や値動きの様子が現れていると言えます。捉え方によっては、先行スパンとは過去のしがらみの反映ですね(笑)

先行スパン1は過去の短期と中期の平均的な値動き、先行スパン2は過去の長期の平均的な値動きをそれぞれ表しています。ですので、より短い期間の値動きが現れている先行スパン1の方が細かく変化している方で、長期平均である先行スパン2が真横に伸びていたりする変化の小さい方です。

先行スパンは線としてみると言うよりは、先行スパン1と2の間を塗りつぶしたに注目します。ローソク足と雲の関係は一目均衡表においてとても重要ですので、次のセクションで詳しく見ていきましょう。

先行スパンだけで判断できることも1つあります。それは、先行スパン1と2の交差です。これは「雲のねじれ」とも呼ばれています。雲のねじれがトレンド転換のサインとも言われますが、やはり雲単体というよりはこれもローソク足との関係で見た方がよいでしょう。

このセクションは短いですが、先行スパンについてもまとめておきます。

・先行スパン1は過去の短中期平均を表すので細かく変化し、一方で先行スパン2は過去の長期平均なので変化は小さいです。
・先行スパン1と2で囲まれた領域を雲と呼びます。雲とローソク足の関係は一目均衡表において極めて重要です。
・先行スパンが交差することを雲のねじれと呼びます。

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さあ、いよいよ雲です!一目均衡表で重要な役割を担う雲の見方をマスターして、一目で相場トレンドを掴めるようになりましょう!

では話の核心から入りましょう。雲は株価変動の「抵抗帯」を表しています。よく雲を文字通り空に浮かぶ雲に見立てて、ローソク足を飛行機として例えることがあります。雲の上空を飛んでいる飛行機が雲に突っ込むと、雲によって反発を受けてまた上空に戻ります。逆に、雲の中を飛行中の場合はなかなか雲から抜け出すことができません。

このように、ローソク足が雲の上側にある場合は支持帯となり雲を割って株価が下落しづらく、逆に雲の下にローソク足がある場合は雲が抵抗帯となり、なかなか雲を超えて株価が上昇しづらいのです。ローソク足が雲の中を動いているときは、相場の方向性がまだよく見えない状態です。

そしてこの雲を突き抜けることがトレンド転換の一つとされています。もともと雲の下にあったローソク足が雲を突き抜けて上昇したということは、抵抗を跳ね返すくらいの強い買い相場に転換したというロジックです。逆もまた然り、雲を突き抜けて下落した場合は、せっかくの反発虚しく過度に売られたということを意味しています。また、これまでに出た他のトレンド転換と同じように雲を突き抜けた瞬間もいいのですが、安定して雲のはるか上を飛び続ける飛行機の方が安心して買えるというのもご理解いただけると思います。

さらに雲の厚さにも注目しましょう!雲が厚いということは、それだけ突き抜けるのが難しいということです。ですので、現在ローソク足が雲の上側にあり、かつ少し先を見たときに比較的厚めの雲が形成されていれば、株価はちょっとやそっとじゃ雲を突き抜けることはないのです。株価の大まかな最低ラインとして雲の上限を意識して、買うかどうかを検討しましょう!

あと少し難しいのですが、どちらの先行スパンが雲の上限を形成しているかというのも重要になります。先行スパン1は先行スパン2と比較して短期的な平均ですので、先行スパン1が先行スパン2よりも下にあるということは、長期平均に対して短期平均のパフォーマンスが悪いということを意味します。よって、ローソク足が雲の上側にあっても雲の上限が長期の先行スパン2であれば、比較的雲を貫いて下側に戻ることが多いとされています。このような理由から、買うのであれば極力先行スパン1が上限の雲を形成していて、ローソク足がその上空を飛んでいる銘柄を選びましょう。あるいは、少し先の雲でねじれが生じていて、もう少し頑張れば先行スパン1が上限の雲が形成される銘柄でも良いと思います。少し先のトレンドを予想できるというのは、一目均衡表の大きな強みだと思います!

さて、雲についてもまとめましょう。

・先行スパン1と2で囲まれた領域である雲は、チャートにおける抵抗帯を意味しています。ローソク足が雲の上部にある場合は支持帯として、逆に下部にある場合は抵抗帯としてそれぞれ機能します。
雲の厚さは抵抗の大きさです。雲が厚く、なおかつその上をローソク線が飛んでいるような、極力下落するリスクの小さい銘柄を選びましょう。
雲はローソク足に近い方が先行スパン1となっている場合に大きな威力を発揮します。仮に雲の上空を飛んでいても、雲の上限が先行スパン2であれば比較的反発は小さいので注意しましょう。

トレンド転換についてのまとめと三役好転

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ここまで、一目均衡表の5本の線がそれぞれどんな情報を教えてくれるかについて見てきました。その中で、いくつものトレンド転換のシグナルがでてきましたね!忘れるといけないので、ここで振り返ってみましょう。

一目均衡表において、トレンド転換のサインとされるものは以下の通りです。

・転換線が基準線を下から貫く
・遅行線がローソク足を上回る
・雲でねじれが生じる
・ローソク足が雲を下から貫く

ただ、私はこれらのシグナルが出た瞬間よりは、これらが継続しているものが良いと伝えてきました。それは、これらのサインが出たとしてもそれ単体では確実に買いトレンドへ変わったということが言えないからです。それよりなら、継続して買いのシグナルが出ている方が安心できますよね、という理屈です。

しかし、複数のシグナルが同時に出たのなら話は別です。一つ一つでは不完全でも、それらが組み合わされることによって強いトレンド転換のシグナルが発せられたと言えるでしょう。

雲について2つ項目があるので、それらをまとめて以下の3つに注目しましょう。

・転換線が基準線の上に存在する
・遅行線がローソク足の上に存在する
・ローソク足が、先行スパン1が上限を形成する雲の上に存在する

これら3つのシグナルが揃うことを、「三役好転」と呼びます。三役好転となった銘柄は強い買い相場が形成されたと言えるでしょう。

ファンダメンタル分析で優良企業がピックアップできたら、あとは三役好転となった銘柄、あるいはこれがしばらく継続している銘柄を選定すると良いでしょう。これに加え、基準線と転換線が上向いていること、そして目先の雲が十分に厚く、ねじれの心配がないかにも注意するとより完璧です!

最後に

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以上が一目均衡表の基礎と、私が一目均衡表を見る際にチェックしている項目についてのまとめでした。やはり一番目につくのはチャートの大きな部分を占めている雲ですので、雲をパッとみて大まかな判断ができるようになると色々と便利ですよ!

あと忘れてはいけないのは、移動平均線なども合わせてチェックすべきだということです。一目均衡表は9日、26日、52日を用いているので、カバーできる範囲もおおよそこれくらいです。ですので、200日移動平均線などをみて大局的な動きもチェックすることは忘れないでくださいね!

一目均衡表は日足を前提としています。ですので、分足を使うようなトレード(FXのスキャルピング・トレードやデイ・トレード)で果たして有効なのかは私には判断しかねます。株の場合も大体の相場の方向性を掴むことはできますが、5分後、1時間後といった限られた時間での動きまでは予想できないです。一目均衡表は翌日のデイ・トレードで入る銘柄を決めるのには有効だと思いますが、入った後の値動きを考えるには分足での移動平均線をみて判断するのが良いと思います。

実は一目均衡表ってまだまだ奥が深くて、波動論、水準論、時間論なんてものもあったりします。言葉のセンスがまるで量子力学みたいですね!まあそこまで知りたいというマニアックな方はいないと思いますが、もしかしたらまた記事にまとめるかもしれません。

とても長くなってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございました!一目均衡表があなたの強力な武器となることを祈っております。