見出し画像

【花様年華BU】別離と、再会と、

花様年華BUストーリーのユンギとジョングクは、少年期の不安定さや焦燥感をそのまま具現化したようなキャラクターに加え、2人の重たい関係性も相まって、それはそれは深い沼ペアなのはみなさん御承知の通りだと思います。

わたしもNOTES1を読み終えたころには沼の奥底まで沈んでいました。


人に関わるのはうんざり(というポーズ)なユンギと、どこにも居場所がなくいつもひとりぼっちのジョングクは、互いに心を通わせながらもじんわり壊れていて、実はそれぞれの気持ちが一方通行なところがたまらない(しかも本人たちそこにあんまり気づいてない)。

さて、今回は"同じまなざしをしていた"2人が出会い、離れるきっかけになった日、そして再会する日を深掘りしながら、いかにエモ倒してるかを書きたいと思います。

小説版とマンガ版とゲーム版すべて参照しちゃいます。

彼らの幼年期や家庭環境についてはここではくわしく触れませんが、生き方や精神状態に重大な影響を及ぼしているので、まだご存知ないかたはぜひ履修していただきたいです。
ユンギのピアノをめぐるエピソードについてもたくさん書きたいことがありましたが、また別の機会に、、。

というわけで、前回に引き続きまたしてもBUオタクしかわからない内容になってしまったかもしれません。申し訳ございません。

心よりお詫び申し上げます


19年6月12日 出会い

7人が出会ったのは遅刻した罰として倉庫の教室を掃除した日ですが、本当の意味でユンギとジョングクが出会ったのは7人で初めて海へ行った日だと思います。

爪を噛むクセがあるジョングクに「それ、やるなよ」と声をかけたユンギ。

ユンギは「こんなふうになる」と指を広げ傷を見せた。ジョングクはユンギにも同じクセがあると知るのでした。

ユンギにお前の夢はなんだ?ときかれ、分かりませんと答えると「まあ、それもありだな」と返ってくる。そして「夢なんか持つな。面倒になる」とユンギは言った。

この時ジョングクはまだユンギとはほとんど話したことがなかったから、自分のことに関心を向けてくれたユンギの存在が、ジョングクのなかでどれだけ特別な意味を持ったか。

「兄さんも世の中が重いですか?」僕は聞いた。
地軸を揺らすようなドリルの音の中で僕の声が聞こえるはずもなかった。兄さんはやはり聞こえないという表情を浮かべた。僕はもう一度、叫んだ。「兄さんも世の中をあきらめたいですか?」今度は兄さんが何か答えたが、僕の方が聞こえなかった。僕が首を横に振ると、兄さんはまた何か叫んだ。


19年6月12日 ジョングク

花様年華 THE NOTES1
[すべてはここから始まった]

質問の内容も重いけど、「兄さん」ときいているんですよね。

ユンギ、自分の父親と同じように「生きるのがとてもつらくて世の中の重さに耐えられない」と思ったのかな。それとも父親のその言葉を理解したくて、ユンギならわかると思ったのかな。

岩を砕くドリルの音がうるさくユンギにはきこえなかったが、ジョングクはそれもわかってて聞いたのだった。
それほどジョングクは切羽詰まった目をしていた。

その様子を見ていたソクジンは、2人は同じ目をしていたと気づきます。
『ジョングクは知ってたんだ。ユンギが自分と同じだってことに』

20年6月11日 別離

花樣年華Pt.0〈SAVE ME〉7話

授業参観日でもあったこの日、ソクジンの密告により2人が倉庫の教室でサボっていることがバレてしまう。

生活指導の教師がジョングクを殴りつけたそのとき、ユンギが教師の肩を押しのけジョングクの前に立ちはだかった。

花樣年華Pt.0〈SAVE ME〉7話

「ミン・ユンギ、覚悟しておけ」教師は意味深な言葉を残し教室を出ていくのだった。

だれかにかばってもらったのは初めてだったジョングクは、殴られて頬が痛いのにもかかわらず笑みがこぼれる。
そのあとも隣に座り一緒にいてくれたユンギ。

兄さんともっと近くなれた気がしてその日は1日中浮かれていた』とジョングクはうれしさが天空突破します。

7人で海に行った日、まだほとんど話したことのなかったユンギが自分の指を見せながら爪噛むのを注意してくれたときも

手すりに乗って遊んでると「やめろ」とユンギが腕を引っ張ってくれたときも

テヒョンにスケッチブックを奪われたときユンギが取り返してくれたときも

倉庫の教室で「ジョングク、弾いてみるか?」とユンギに誘われピアノの椅子に並んで座ったときも

全部ユンギと近くなれた気がしてうれしかったと思うんだけど、それらを更新しちゃう出来事だったよね〜〜きっと。

(一方のユンギは後日、焼身自殺する直前に『ジョングクをそばに近付けたのは失敗だった』とこの日のジョングクの笑顔を思い浮かべたのでした)

しかし、翌日からユンギは学校に来なくなり、2週間後に退学処分となる。

そう、この日以来、2人は会うことがなくなったのです。

20年6月25日 退学通知


ユンギの退学処分が通知された日。

ジョングクは、この日も倉庫の教室にいた。ユンギが退学したのは自分をかばったせいだとこの先ずっと思いつづけることになる。

もう一度、ピアノの鍵盤を押してみた。兄さんが弾いていた曲を真似して弾いてみた。兄さんは本当に退学させられてしまったのだろうか。二度と戻らないのだろうか。何発殴られたり、何回蹴られたりするくらいは、兄さんにとってよくあることだと言っていた。もし僕がいなかったら、兄さんは先生に歯向かわなかっただろうか。もし僕がいなかったら、兄さんは今もここでピアノを弾いていただろうか。

20年6月25日 ジョングク

花様年華 THE NOTES1
[夏の終わり、1人の始まり]


そしてユンギが二度とピアノを弾かないと誓った日でもある。

20年6月25日

退学が通知された日。
俺はプレハブ教室を目指して一心不乱に走った。
そして誰もいないその場所で狂ったようにピアノを弾いた。
よく分からない怒りは一向に鎮まらなかった。
俺はかばんの中から楽譜を取り出し、 ピアノの中に押し込んだ。
そして誓った。 もう二度とピアノを弾かないと。

BTS UNIVERSE STORY 花樣年華〈I’M FINE〉
視線の先 7[1人ではない理由]


NOTES1の20年6月25日は"その日"の気持ちが書かれてるのでこれまた重要だが、NOTES2の回想のほうが心情吐露としてまとまっている。

あの日の夜の記憶が浮かんだ。ここに急いで走ってきた日は、退学が決まったその日だった。もうこの教室に出入りできないと言われた日。俺は酒を飲んでさまよい、焦ってここに走って来た。何を焦っていたのか、あの時はわからなかったような気がする。それは、ここを失えばもう思い切り音楽に没頭することはできないのではないかという恐れだった。そうではないと確認したい切実さだった。あの日の俺は、息をせき切ってこの教室の扉を開け、中に入った。
(中略)
あの夜、俺がどんな気分だったのかは思い出せない。絶望したかもしれないし、自暴自棄な気分かもしれなかった。俺は家に戻り、燃えた家から持ってきた母のピアノの鍵盤を窓の外に投げ捨てた。二度とピアノを弾かないと決心した。
考えてみれば、バカみたいな話だった。母の鍵盤を投げ捨てたからといって変わることはなかった。ピアノを弾かないわけでもなく、音楽を完全に捨てることもできなかった。ただ、あの日から今まで俺はその音を一度も弾かなかった。俺が作ったどの曲にもその音はなかった。
そういえばそうだ、作業室に来たジョングクにあんなにひどいことをしたのは、ジョングクがその音ばかり弾いたからだった。ジョングクはどうしてあの音を弾いたのだろう。何も知らないくせに。

22年6月13日 ユンギ

花様年華 THE NOTES2
[僕の居場所を見つけること、
互いの居場所を残しておくこと]

退学=この教室に出入りできない
っていうのがすべてを物語ってると思う。
ユンギにとって音楽に没頭できるこの場所が、どれだけ大切だったことか。

二度とピアノを弾かないと誓ったものの、結局はその後もピアノを弾いていたユンギ。
ただひとつ変わったのは、あの頃は気の向くままに使っていた"あの音"を弾かなくなったことだった。
"俺が母のピアノで壊した音、あの日以降俺の世界から消えた音"

作業室でジョングクにひどいことしたと自覚するくらい、この音がユンギにとっては強いトラウマになっていた。

22年4月7日 再会

そして月日は流れ、ついにユンギとジョングクが楽器屋で再会する日がやってきました。

会えなくなってから2年!

まず言いたいのは、ピアノを弾く姿を時間差で互いに目撃し合うっていうシチュエーションがエモすぎんか?!??

天才!!!!ほんとに〜〜天才。

THE NOTES1とミニ版では、ユンギが楽器屋から一度立ち去った後、ピアノの音が聴こえてきたところから始まる。

下手なピアノの音に足を止めた。 真夜中のがらんとした工事現場では、誰かが置いていったドラム缶の中で焚き火だけが音を立てていた。 さっき俺が弾いていた曲だということは分かったが、だから何だと思った。 酔った足取りがふらついた。目を閉じてわざと、さらに適当に歩いた。火が噴き上げる熱気が強くなるにつれ、ピアノの音も夜の空気も酔いもかすんでいった。

突然のクラクションの音で酔いが覚めると、車がかすめて通り過ぎた。ヘッドライトのまぶしさと車が舞い上げた風、酔いの中で俺はどうしようもなくふらついた。 暴言を吐く運転手の声が聞こえた。 足を止めて罵声でも浴びせようとしたが、ふとピアノの音がもう聞こえないことに気づいた。
火花の音、風の音、通り過ぎる車の音だけで、ピアノの音はなかった。
やめたようだった。なぜやめたんだろうか。誰がピアノを弾いていたのだろうか。

ドラム缶の中から火花が暗闇の中を突き上がった。その姿をしばらくぼんやりと眺めた。熱気で顔がほてった。バンと拳でピアノの鍵盤を叩きつける音が聞こえたのはまさにその時だった。反射的に振り向いた。あっという間に血が激しく巡り出し呼吸が荒くなった。子どもの頃の悪夢。あそこで聞いた音のようだった。

次の瞬間、俺は走っていた。 俺の意思ではなく、俺の身体が勝手に楽器屋に向かって走った。 何度も数え切れないほど繰り返してきたような気がした。それが何なのかは分からないが、切実な何かを忘れていたように思えた。

ガラス窓の壊れた楽器屋のピアノの前に誰かが座っていた。数年が過ぎていたが、すぐに誰だかわかった。泣いていた。拳を握り締めた。誰かの人生に関わりたくなかった。誰かの寂しさを慰めたくなかった。誰かにとって意味のある人にはなりたくなかった。その人を守れるとは自信がなかった。最後までそばにいる自信がなかった。 傷つけたくなかった。傷つきたくなかった。

俺はゆっくりと歩き出した。引き返すつもりだったのに思わず近寄った。そして、間違った音を直してやった。ジョングクが振り返り見上げた。「兄さん」高校をやめてから会うのは初めてだった。

22年4月7日 ユンギ

花様年華 THE NOTES [O]
(LOVE YOURSELF 承 'Her')

NOTES1とほぼ同じ内容だが、『顔をそむけた。』になっているところが、このミニ版では『泣いていた。拳を握りしめた。』に。
なにそれ……………(語彙消滅)

数年が過ぎていたが、すぐに誰だかわかった
いや〜〜最高か!!なんか見覚えが、、てレベルではない、すぐわかったのはヤバい。ここよく覚えておいてください。出ます。

ジョングクだとわかった瞬間、情緒がぐちゃぐちゃになるユンギ。
ほんとクソデカ感情だよな〜!!

強烈なフラッシュバックのなか、俺の意思とは関係なく身体が勝手にジョングクのほうに向かってしまうという現象が2回も起きてるし。
相当だよ。

そしてユンギに気づいたジョングクが「兄さん(ヒョン)」と呼ぶくだり、NOTES1の日本語版にはないんだけど、なんで省いたの?!
「兄さん」と呼んだのも呼ばれたのもあの日以来なんてエモすぎるよ!!

さて、このユンギサイドを踏まえつつ、ゲーム版のジョングクサイドを見てみると、さらにエモ感情が突き抜ける。

22年4月7日

いつものように夜の街を徘徊していた。
すると、どこからか聞き慣れたピアノの音が流れてきた。

ジョングク(まさか...)

僕が音の方に進んでいくと、
ショーウインドウが割れた楽器店の中でユンギ兄さんがピアノを弾いていた。
教室でいつも聴いていた演奏だった。
やがて、演奏をやめた兄さんはしばらくその場に座っていた。
やっと立ち上がったかと思うと、危なっかしい歩き方で店を出ていった。僕はユンギ兄さんがいたピアノの前に座った。

記憶を探りながらたどたどしい手つきで ピアノを弾いていると...
いつの間にか兄さんが戻ってきていた。
まるであの教室のように。

BTS UNIVERSE STORY 花樣年華〈I’M FINE〉
境界上の少年 4[境界線]


聞き慣れたピアノの音』ってのがやばい。
2年もブランクがあるのに、"聞き慣れた"って。誰が弾いてるのか、音を聴いた時点でもうわかっている。

さらにゲーム版の最終話でふたたびこのシーンが登場する。

いつものように夜の街を徘徊していた時だった。
どこからか聞き慣れたピアノの音が流れてきた。

ジョングク(...まさか。)

音のする方へ向かうと、 ショーウインドウが全て割れている楽器店が見つかった。

ユンギ(…)

よく見るとピアノの前に誰かが座っていた。

ジョングク(...ユンギ兄さん?)

数年が経っていたが、一目で分かった。
いつの間にか音楽は止んでおり、 ユンギ兄さんはしばらく鍵盤を見つめて 楽器店を後にした。

ジョングク(絶対にピアノを弾いてた。)
今にでも泣き出しそうな表情で...

ユンギ兄さんを見るのは2年ぶりだった。
声をかけたかったが、 勇気が出なかった。
僕は兄さんがいたピアノの前に座った。
何気なく鍵盤を撫でてみると、一度も演奏されたことなどないかのように冷たかった。

ジョングク(ユンギ兄さんに何があったんだろう?)
兄さんの様子は相変わらず不安定だった。

僕は記憶を探りながら鍵盤を叩いてみた。 先ほどまで兄さんが弾いていた曲だ。
そしてそれは、あの教室で兄さんが演奏していた曲でもあった。

たどたどしい手つきでピアノを弾いているといつの間にか兄さんが僕の隣に立っていた。
そして、あの時のように間違えた音を教えてくれた。

UNIVERSE STORY 花樣年華〈I’M FINE〉
悪夢:エピローグ 3[居場所]


『数年が経っていたが、一目で分かった

出たーー!デジャヴじゃないよね!ユンギと同じこと思ってる!!やっぱりお互いにすぐわかるんだね!
しかも先にユンギがピアノ弾いてるところを見てたという事実はゲーム版であかされるわけです。

『今にでも泣き出しそうな表情』までわかったなんて、、けっこう近づいて見てたぽい。

声をかけたかったけど勇気がでなかったのは、自分のせいで退学になったことをうしろめたく思っていたからなのかな。
もしくは単にあの雰囲気にいろいろ凄みを感じただけかもしれない。

たしかに声かけづらいよなぁ

『兄さんの様子は相変わらず不安定』ということは、学生時代に荒れてる一面があったことをジョングクはすでに知ってたんだね。

思わず鍵盤をなでちゃうなんてさ………そこにユンギがいただけでなくピアノも弾いてたってことに情緒が爆発したのだろう。揃いも揃ってクソデカ感情か(最高)。

このとき弾いてた曲には"あの音"も使われていたはずだが、ユンギはその音を弾くことができず、しばらく鍵盤を見つめてたのではないだろうか。

見られてますよ

そしてジョングクはというと、きっとためらいもなく"あの音"が使われているパートまで弾き続けたかもしれない。

…………もう、言わずもがなですね。


"ジョングクがピアノを弾いていたら、ユンギが間違った音を教えてくれた"

これが再会の瞬間なのだ!!!!!!!
いや〜〜〜〜エモい!!!!!!!!!!

ユンギを導いたのはジョングクのピアノの音で、ジョングクを引き寄せたのはユンギのピアノの音だった。


しかも"まるであの教室のように"って……
とんでもなくエモい、え、なに??
すごくない???
しかも偶然なんだよ。
久しぶり〜とか言わないんだ??!!
こんな展開、誰が思いつくの??
ほんと花様年華ってすごい。

そしてさらにWINGSツアーVCRでのこのシーンである。

そんなに笑うことある?と毎回思うのは内緒

ユンギの服装がshort filmと同じ、つまり、あの日の可能性が高いとわたしは思っております。
(しかもピアノも作業室でなく楽器屋にあったほうに似てないか?と思ったり……)

さっきから画像挿入してたけどさ、フツ〜にshort filmが楽器屋再会のワンシーンだったことに震えたよね……

これとか間違った音を直してあげてるとこにしか見えないし、、。

こうして2人にとって最高のシチュで再会し、ジョングクはその後ユンギに会いに行ったりもしたんだけど、

花樣年華Pt.0〈SAVE ME〉6話

こんなこと言われちゃう。
ゲーム版でも、ユンギ兄さんに電話したらウザがられたりしないかな?て思ってる。
なにがツライかって、これ、4月7日に再会してまだ数日しか経ってないんだよね、、、、、、
でも、これこそがBUヤンコチなんだ、、、

そして22年4月11日。
本当の現実で2人はこの日、それぞれの場所で自ら命をたつ。

…………………………。
偶然同じ日に死ぬとかなに???????

ってのはソクジンが痛いほど思ってるので、わたしはこれ以上言いません。

今回タイトルを「別離と、再会と、死」にしようとしたんだけど、あまりにも……だったのでやめた。

ほんとにさ、ソクジンがタイムリープしてくれたおかげでだれも死なないけど、まだまだ2人のあいだにはいろんなことが起きるわけです。5月2日とか5月12日とか5月22日とか6月13日とか6月15日とか…………(多いな)

でも22年4月7日は2人の記憶のなかにしっかりと刻まれている。
なぜならタイムリープで塗り替えられることのない日だから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?