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【雑記】Agust Dの解放


Agust Dのアルバムが発売されたので備忘録として書こうと思う。

Agust Dペンのわたしは新譜が聴けるよろこびに日々沸いていた。

MVもめちゃくちゃたのしみだし、その世界観込みで曲が表現されてるのは百も承知だけど、先に映像を見るとイメージが固まってしまうので、とにかく楽曲を聴きたかった。

わたしには音楽を聴くときや絵を観るときなど、一番大事にしていることがある。
それは一切の情報や先入観なしに自分がどう感じるかを最優先すること。

よく"雷に打たれた"と表現されたりもするが、わたしにはそういう経験が何度かある。

20歳の時だった。世界の名画100選みたいな番組を流し見していたそのとき、アンリ・マティスのロザリオ礼拝堂が紹介された。
その瞬間、身体中の水分が沸き立った。そして涙が出た。「ここに行かなければいけない」と思った。
アルバイトして貯めたお金で、数ヶ月後ひとりで初めてフランスに行った。すぐだった。
海外も初めてだったけどなんとか辿り着いた。まるで導かれたようだった。
無宗教なのに、1時間礼拝堂でずっと涙を流してた。理由はわからない。
マティスの晩年の作品だということや、この地に彼が住んでたこととか、そんなことはすべてあとから知った。

Agust Dの音楽を初めてちゃんと聴いたとき、久しぶりにこの感覚が再来した。

わたしは弱っていた。この世界にたったひとりで、深い底へどこまでも沈んでく気分だった。

歌詞の意味なんて知らなかった。
"Agust D"では銃の応戦で穴だらけになっても怯まず突き進む舌使いに骨抜きにされ、
"people"を聴いたときは心の中にあるだれにも触れられない静かの海に、さざなみがたったような感覚だった。

ただその音と彼の声だけで、暗い夜から目覚めることができた。

もちろん歌詞の意味を知った後もより深くその音楽に没入できた。彼の伝えたいことや彼の想いなどがどれだけ込められていたかを知った。

それでも、わたしだけが立ち入れる場所にひっそりと彼の音楽を閉じ込めて、ひとりぼっちでたのしんだ。だれにも触れさせない、わたしだけが知る場所で。

ついにD‐DAYが"解禁"した。 

カムバックをリアタイする醍醐味を味わいたくてついついプロモーションの一部を見てしまったので完璧に無の状態から聴くのはむりだったけど、発売日はTwitterもインスタもログアウトし、ドキュメンタリーも見ず、あらゆる情報を遮断して、飛び込んだ。

※これから先は、わたしが勝手に感じたことであり、実際の歌詞や意図とはかけ離れています。この時はMVも見ないまま聴いたので。でも、あえてここに記録しておきたくて書きました。

アルバムタイトル曲D-DAYは、Dを抹消するための最後の抗いのようだった。"俺"だけが生き残るための決断という感じ。

HaegeumはDの反逆だった。"お前"に従順な俺はもういない。

強烈なHUH?!は2人のDが争っている。
そして続くAMYGDALAはレクイエムだった。
Dをこの世から送り出す歌。このアルバムで一番すきな歌。


前作までは外に向けるディスだったが今回のシャウトは内に向けてるようだ。内にある記憶や憎悪を消そうと銃口を向けるが、過去は変えることができない。

長い永い闘いの末にDは葬られ、やがて愛されることを知り愛することを知った新たなDが現れる。SDLはこれまでのAgust Dを残しながら、やさしくこちらに微笑む。確実な変化。

people pt.2を初めてきいたとき、とても意外だった。あのpeopleがこんなふうに変わるんだ、と。愛の力ってすごい。

Polar Nightは、わたしの好みすぎてどうにかなりそう。AMYGDALAはAgust Dらしくてすき、でもこの曲はもうかつてのAgust Dの面影がなくなった。
これは彼の新たな旅立ちの歌なのだろう。

Interlud:Dawn、Snooze
美しく儚い終わりの歌、別れの歌、、、ついに訣別した。
でもかなしくはない。死ぬわけではないから。

Life Goes On、そして人生はつづく。
終わりは新たな始まり。


かつての怒りにまかせた狂った王は消え果てた。彼が欲しかったもの、彼の夢、なんでも飲み込んだAgust Dが自分自身を消してでも選んだもの、それは音楽という名の未来だった。

Agust Dはなんて純粋なひとなんだろう。
純粋ということは、ときにやましくいやしい姿だったりする。それすらもさらけ出してしまえる純粋さ
音楽がすきで、音楽を愛する人々のために、彼は音楽を選んだんだね。


わたしも自由になりたい。

Agust Dツアーが発表されたあの夜、あの感覚が再来した。
マティスのロザリオ礼拝堂を見たあの瞬間とおなじだった。
「ここに行かなければいけない」
ただ、それだけだった。

わたしはもうすぐD-DAYと旅に出る。

#AgustD  #D_DAY #SUGA_AgustD_TOUR

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