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【花様年華BU】その絶望を"HOPE"と名づけた

海からの帰り道だった。ホソクと音楽の話をしていると、ジョングクが何も言わずに俺たちを追い越して走っていった姿が最後だった。

ユンギ 22年6月13日

花樣年華 THE NOTES2

ユンギとホソクは普段からよく音楽の話をしてたのかな。
今回は花様年華BUストーリーのユンギとホソクについて書いてみようと思いました。

※注意※
これから書く内容は、BUストーリーの話なのですべてフィクションです。本名と役名が同じで混同しちゃいますが、現実に起きたことではありません。

それではれつごー!


それぞれの母親の存在

ユンギは幼い頃、母親の厳しいピアノのレッスンを受けていた。ときどき反抗的な態度をとることもあった。
母親から浴びせられた「あなたさえいなければ」という言葉が心に深い傷をつくり、燃えさかる家を見ながら母の死を目の当たりにしたことで周りで起こる不幸はすべて「俺のせいだ」と思い込むようになる。

ホソクは母親に連れられて行った遊園地で、チョコバーを握りしめ10を数えてから目をあけてといわれる。数え終わるとそこにはもう母親の姿はなかった。
養護施設で暮らすようになってからも母親とは一度も会えないままだ。母親の存在を強烈に思い出すとナルコレプシーを引き起こすこともあった。

母親の影に苦しめられているユンギと母親の面影を追い求めるホソク。
お互いどう映っていたのだろう。

ふたりの性格

素行不良だったユンギは学校にも馴染めず倉庫の教室でいつもピアノを弾いていた。6人とは楽しくすごしてたが、あまり自分からは輪に入ろうとしない。

一方ホソクは7人のなかでもとくに明るく誰とでも関係が良好でムードメーカー的な存在だ。
倉庫の教室ではときどきユンギの弾くピアノで踊ったりしていた。

19年3月20日

ジミン「それじゃあホソク兄さんは部活の部長になったんですか?」

ホソク「ふふ、そう!」

テヒョン「おお~、部長!」

ホソク「そう呼びたいなら入部をしないと、入部を」

ナムジュン「部員はどれくら集めたんだ?」

ホソク「そこまで多くないからもっと集めないと。ユンギ兄さん、うちの部に入りませんか?
兄さんならと・く・べ・つ・に!試験なしで入部を許可しますよ


テヒョン「兄さん、ユンギ兄さんに部長の言うことを聞けってパワハラしてませんか?」

ホソク「あれ、バレた?」

ユンギ「またふざけてるのか

みんなと笑っていたユンギの顔が鮮明に蘇ってきた。

花樣年華 <I'M FINE>
視線の先 4.思い出の考察

ホソクは持ち前の明るさと機転の良さで場を和ませ、ユンギも笑顔にする。

prologueではホソクが踊り出すと真っ先にユンギが飛び込んでいくシーンがある。もしやホソクの影響でダンスもすきになったのかな?と思ってしまう。尊い。

22年4月11日、ソクジンがタイムリープしたとある世界線で不幸は起きず、ソクジンとジミン以外の5人はナムジュンのコンテナに集まる。
もともとはホソクがユンギに電話をし、しぶるユンギに「ジョングクにも電話しといてください」と半ば強引に持ちかけることでふたりとも誘い出すことに成功する。これもホソクのキャラクターだから成せる技だろう。

(あの"大胆で率直な性格"なヨジャもそうだが、ユンギは意外と押しに弱いとこがあってかわいい〜)

ホソクはナムジュン、テヒョンと会うことにしたから、俺にも来いと言い添えた。分かったと言ったが、本当に行くつもりはなかった。人に関わるのはうんざりだし、それはホソクも知っている事実だった。あいつらも俺が本当に現れるとは思わなかっただろう。

ユンギ 22年4月11日

花樣年華 THE NOTES1  

ここまでいいながらジョングクを連れてコンテナに行って、ちゃっかり居心地良く過ごしたユンギ。ツンデレなのかな

そうそう、prologueでは寝ているホソクとツーショ撮ろうと駆け寄ってた。

たぶんだけどホソクが起きてたらこんな行動してなかったと思う。やっぱツンデレなのかな
ソクジンに撮って〜と急かしてるかんじも良い。でもこのあとジョングクが割り込んでくるんだよね笑
ぜひ本編でご確認ください。

NOTES1 22年7月25日
ふたりにとって最大のハイライト

ソクジンがタイムリープで過去を変えたおかげで7人であの海へ行くことができた。しかしその帰り道ジョングクは事故に遭い重傷を負う。

事故の知らせを聞いたユンギもすぐに病院へ駆けつけるが、病室でジョングクが横たわる姿を見てあまりのショックに半ば錯乱して病院を飛び出してしまう。
このことを知らないホソクは、お見舞いに来ないユンギの様子を見に作業室まで行くが応答がなかった。

NOTES1の世界線ではホソクが企画したジョングクの退院パーティーにもユンギは現れない。一緒に作業してたヨジャも連絡がとれないとホソクをたずねてくるのだった。

そして退院パーティー翌日、ホソクはユンギとバッタリ会う。

ずっと音信不通で何してるかと思えば酔ってふらついてたユンギを見て、ついにホソクの中でなにかがプツリときれた。

「一体、いつまでこうしてるつもりですか」兄さんはぼんやりした目で僕を見た。「世の中がつらいのは兄さんだけだと思ってるんですか?僕は幸せな人生で愉快に笑って過ごしてると思てるんですか?正直に言ってください。一体、何が不満なんですか?兄さん、音楽に才能があることは皆が認めてるし、兄さんがそんなふうに好き勝手をしても皆は喜んでます。分かってます。
兄さん、お母さんが亡くなってつらかったでしょう。僕も分かってます。でも、いつまでこうしてるんですか。兄さん、音楽をやらないで生きるつもりですか?それで生きていけますか?音楽があったから幸せだったことは一度もありませんでしたか?ジョングクにはなぜ会いに行かなかったんですか。待ってること、知らないんですか?僕たちが傷つかないとでも思ってるんですか?つらくないとでも思ってるんですか?」

ホソク 22年7月25日

花樣年華 THE NOTES1

ホソクは足を怪我して踊れないこともあって苛立っていた。しかしこんな状況でもホソクは逃げなかった。"踊らなければならなかった"から。なのにユンギは…………
そしてトドメの一言を放った。

「逃げるのもいい加減にしてください。行くなら姿を消して、戻らなければいいんです」


この言葉はユンギに深く突き刺さるのだった。

それぞれの印象、それぞれの気持ち

ユンギ兄さんとは中学校以来の知り合いだった。母親がどんなふうに亡くなったのか、それが兄さんにどんな傷を残したのか、そのためにどれほど悩み、つらい思いをしたのか、全て知っていた。だから、いつも一緒にいて楽で頼できる弟になろうと努力した。とげのあることを言われても笑い飛ばし、面倒くさがっても外に連れ出した。だが、兄さんにとって僕たちは何でもない存在だった。

ホソク 22年7月25日

花樣年華 THE NOTES1

瞬間的に、ある感情がぐっとこみ上げた。うれしさのようでもあり、安堵感のような感情でもあった。あいつなら、俺自身にも理解できない混乱と恐怖を分かってくれる気がした。

ユンギ 22年7月25日

花樣年華 THE NOTES1

ホソクが俺に怒りをぶつけたのは、初めてではなかった。あの日のように鋭い非難ではないが、ホソクは俺がくじけるたびに急き立て、励まし、リードした。
(中略)
ホソクは、怒って急き立てることはあっても、沈黙したり、無視したりはしなかった。俺が逃げると、かなり遠回りをしてでも戻ってこられる道を作ってくれた奴だった。ところが、今度はいつもと違うようだった。何をしても挽回できるとは思えなかった。

ユンギ 22年7月28日 

花樣年華 THE NOTES1

ああ、もう、ああ………実は公式もふたりを花様年華ペアにしたかったのでは??


ユンギにとってのピアノ

「行くなら姿を消して、戻らなければいい」ホソクに突き放されたユンギは、ひとり森の奥へと入っていく。

数え切れないほど死を考えた。にわかに顔を出す恐怖と欲望から逃げたかった。どうしようもなく惹かれながらも、一方では真正面から見つめられないほど怖い対象から、その極端を行き交う苦しみから逃げたかった。今がその瞬間ではないかと思った。これでよかったのだとも思った。

ユンギ 22年7月25日

花樣年華 THE NOTES1

「どうしようもなく惹かれながらも、一方では真正面から見つめられないほど怖い対象」とはなんだったのだろう。『母親のピアノ』か、それともジョングクの存在か、、、。

雨に打たれ次第に動けなくなり絶望の底で窒息しそうなそのときだった。どこからかピアノの音が聞こえてきた。
真夜中の山中でそんなはずはないと思ったが、演奏は続いた。そしてなんとか力を振り絞りメロディーが聴こえるほうへ歩き出す。

突然、目の前に日差しがまぶしかった午後の一時が広がった。俺が作業室のピアノの前に座り、メロディーを弾いていた。
頭の中のあのメロディーだった。「兄さん。それ、本当にいいですね」ジョングクが近づきながら言い、俺は軽く笑って答えた。『お前は何でもいいって言うじゃないか』
いや、それは1つのメロディーではなかった。遠い過去にいたずらのように、遊びのようにピアノの鍵盤を叩いていた頃だった。倉庫の教室で俺のピアノに合わせて踊っていた友達との記憶であり、徹夜で作業をして迎えた朝の空気でもあった。幸せだった瞬間ごとにピアノがあった。いつも粉々に砕け散ったが、それらを否定することはできなかった。

ユンギ 22年7月25日

花樣年華 THE NOTES1

"遠い過去にいたずらのように、遊びのようにピアノの鍵盤を叩いていた頃"これはおそらくユンギの一番古い記憶なのではないだろうか。
いつも苛まれてた母親との苦しい記憶ではなく、純粋にピアノに触れていた幸せだった頃の記憶が溢れ出した。

「音楽があったから幸せだったことは一度もありませんでしたか?」
ついに答えを見つけたユンギは導かれるように日が昇る方角へ歩いていく。
まるで雨が業火を鎮めたかのように。

ホソクにとってのダンス

怪我をしてダンスもバイトも長期で休むことになったホソクは、ユンギと遭遇したあとソンジュの街を飛び出す。

生まれ育ったソンジュを離れることでなにもかも一度リセットしようとしたのかもしれない。まっさらな自分と向き合い、ダンスを見つめ直す、、しかしひとつだけ思い残すことがあった。

昨日の夜、ユンギ兄さんとばったり会ったことが浮かんだ。あの時、言ったことをじっくり思い返していたが、がばっと立ち上がり、虚空に向かって、わざと大声で言った。「どうせ兄さんは覚えてもいないさ」

ホソク 22年8月13日

花樣年華 THE NOTES1

どうせ覚えてない、そう言い聞かせながらもユンギに強くあたったことだけ気にしていた。ほんとにあなたってひとは…。

知らない街で偶然見かけたダンスチームの公演リハーサルで、ひとりの男性が踊る姿に感銘を受ける。だが彼は公演本番では現れなかった。怪我で現役を引退し、振付師として芸術監督をしていたからだ。
この男性との出会いがホソクとって転機となる。

ダンスをしている時の僕は足を地につけなくても飛び上がることができ、世界の全ての視線とあらゆる物差しから自由だった。音楽に合わせて体を動かすこと、心を体に載せること以外、大事なものはなかった。
舞台の外の僕は、多くのことに縛られていた。足を地面から離したら、ただの数秒も耐えられず、嫌でも笑い、悲しくても笑う。過ぎたことだが、必要のない薬を飲み、所構わず倒れたりもした。
本当の自分自身になれる瞬間。幸せになれるという確信を持てる瞬間。重い荷物を全て投げ捨て、高く舞い上がれる瞬間。舞台の外の僕としては、到底たどり着けなかった高みにまで飛んでいける瞬間。ダンスはそんな瞬間を可能にしてくれた。

ホソク 22年8月13日

花樣年華 THE NOTES1

ホソクもまた、自分が幸せだと感じる瞬間にダンスがあることを思い出した。

「さっき、高さの話が出ましたね、舞い上がることについて。今度は深さついて話さないわけにはいきませんね。自分自身のどん底まで落ちるべきです。それ以上、落ちる底が見えなくなるまで、絶望に窒息死するところまで。その後、そこから抜け出すんです。その動力が何なのかを見つけるのが一番大事なことでしょう。自分を奮い立たせてくれるのは何なのか。それを見つけたら、しがみついて離さないことです。人であれ、欲望であれ、悪いこと、むかつくことだとしても、あきらめずに最後までやり遂げなければなりません」
それが男性との最初で最後の会話だった。

ホソク 22年8月13日

花樣年華 THE NOTES1

ホソクはこの言葉を受けて、自分はまだどん底まで落ちるようなことは起きていなかったと気づく。そして男性の言葉をあの日のユンギの姿に重ねたのだ。

しかし、男性の話を聞いた後、繰り返し思い出す瞬間があった。『二度と連絡しません。兄さんは兄さんなりに生きてください。もう戻らないでください』もしかしたら、あの日の兄さんはどん底まで落ちていたのかもしれない。『ホソク』背を向けて横断歩道を渡っている時、兄さんが僕を呼んだ。僕は振り向かなかった。自分の絶望に窒息していく兄さんを捨てて背を向けた。逃げた。

ホソク 22年8月13日

花樣年華 THE NOTES1

ホソクはユンギに個人メッセージを送る。
『兄さん、大丈夫ですか?』
すると明け方、返事がきた。

兄さんが送ってきたのは音楽ファイルだった。イヤフォンを探して挿し、音楽を再生した。目を閉じ、ベッドに横になって兄さんの音楽を聞いた。兄さんらしくなく、とても美しい音楽だった。悲しみの中で歓喜と絶望が交差し、砂漠の向こうで青い海が波打った。花が咲いては消え、一瞬、飛び跳ねては次の瞬間、墜落した。兄さんの音楽は兄さんの生き写しだった。 

ホソク 22年8月13日

花樣年華 THE NOTES1

まさにダンスを踊る人の感性だと思う。波打って飛び跳ねて……コレオができている。ホソクはこんなふうに全身でユンギの音楽を感じることができるんだ。

タイトルは何かという僕の問いかけに、兄さんは答える代わりに聞いた。『いつ帰るんだ』 

ホソク 22年8月13日

花樣年華 THE NOTES1

これが精一杯の仲直りだったのだろう。ホソクもいつものユンギの返しにきっと安心したにちがいない。

ホソクはソンジュに戻り久しぶりにジャストダンスの練習に顔を出す。
"二度と会えなくても母親も僕も幸せならそれでいい"
ホソクもようやく母親の面影から解き放された。

音楽を完成させたのは数日前のことだった。ホソクに送ったバージョンをさらに何度か修正した。タイトルは"HOPE"にした。その曲に合うタイトルではなかった。その曲には恐怖と卑怯な性格、できそこないの俺自身の姿が全て入っていた。逃げたり、顔をそむけたり、責めたりした瞬間だった。しかし、その全てを包み込むタイトルとして他の単語が思いつかなかった。

ユンギ 22年8月30日

花樣年華 THE NOTES1


絶望の底に窒息するまで落ちたとき、聴こえてきたメロディー。そのタイトルは"HOPE"。

ふたりはそれぞれの場所で"希望"を見つけてヤンジ川花火大会の日に再会する。

プラットホームを降りて線路を横切ると、ユンギ兄さんが現れた。いつものゆっくりした足取りで地面を見ながら歩いていた兄さんが、ふと振り返った。誰かに呼ばれたようだった。後ろで、両手いっぱいに何かを持って立っているホソク兄さんのようだった。

ジョングク 22年8月30日

花樣年華 THE NOTES1

ホソクに呼ばれて振り返るユンギ。どんな言葉を交わしたのだろう。
音楽の話をしたのかな。





しかし、ソクジンと待ち合わせたヨジャがスメラルド屋のトラックに轢かれ、ループがまわる。そう、この世界線のユンギとホソクの出来事はすべて消えてなくなった。


説教の夜も、完成した"HOPE"も……………

最後にひとこといわせてください。

花様年華SOPEフォーエバー

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