吉川ひなのさん『わたしが幸せになるまで』感想

冒頭部分、芸能界で多忙を極めていた頃の話はネットで事前に読んでいた。当時は何もかもに恵まれ大衆にも愛された女の子と周囲に思われていただろうひなのさんの葛藤が記されていた。日本で芸能活動を続けていたら今も第一線で活躍していたかもしれない。でも彼女の心は悲鳴をあげた。それは人間として大切な感覚が麻痺していなかったからだと私は思う。

本の内容は今のひなのさんの暮らしが丁寧に綴られている。マスメディアは今、こんなことが素敵とされています、おしゃれです、当たり前です、と方向を指し示してくれる。ひなのさんの暮らしは自身の生活の中で感じた違和感にみてみぬふりをせず、その都度勉強し、考え自分にとっての指針を獲得していっている。そこが素敵。マスメディアの情報に寄りかかり過ぎない所、自分としっかり対話する所。ひなのさんの考えに全て賛同とは思わなかったけど、いくつか重なる部分があった。

服について。私は以前、アパレル販売員をしていた。そこで全ての服が幸せな形で存在しているわけではないことを知った。利益を出さなければ会社は存続できない。でも、受け入れ難いとゆうか長期的に誰も得をしないような仕組みに仕事に対する思いが冷めてゆくのを感じた。おしゃれとは一体どういうことだろう?改めて私が纏いたい服は代々譲りたくなるような服だと気付けたことはよかった。決して裕福ではなく、物持ちがよく小学生の時に着ていた服も直しながら着てたりもするけど大学生の時とか必死に服を買っていた。バイト代はほぼ洋服に消えた。そうないと友人関係から浮くような気がした。自分に合うものが何か分かってなかったからという部分もあったけど、今思えば、本当に必要とは感じられない物を購入する金額を稼ぐ時間を家族とゆっくり過ごしたり有益なことに費やしたかった。あと読んでいたファッション雑誌も持ってなきゃいけないアイテムや着ていたらあんまりよろしくないアイテムやらが頻繁に変わって見事に急かされてしまった。学生時代は持ち物や服でスケープゴートが決まっていったように思えた。

湯シャンプー。以前、ある作家の方がシャンプーをせず髪がふさふさと聞いて試してみたら匂いは気になるしベタベタしたり痒くなったりでやめてしまったけど、徐々に慣れさせる形で新たに試してみて今は週に2日はシャンプーを使い、あとは湯シャンプー(毛先のみトリートメントをつける→洗い流す)で調子がいい。抜け毛が減るし髪の状態もよくなった。あと超敏感肌なので洗顔もぬるま湯のみで調子がいい。乾燥している時のみクリームを塗れば大丈夫。昔は洗顔クリーム化粧水乳液美容液クリーム、時々パックと色んなことしていましたがあまり変わらなかった。私は敏感肌ゆえ合わないとすぐに赤くなってしまいますが今はちゃんと主張してくれる肌に感謝です。肌からのサインで最善の選択が出来る。

友人関係もたくさんの友人と頻繁に会うことがなくなった。昔は地元の友人大学の友人バイト先の友人と週に何度も会っていた。時間が空いていれば埋めようとしていた。楽しい時間だったけどお互いのためになっていたのかな…頻繁に会わなくても何か困っていたら力になりたいと思うし元気でいてほしいと思う。でも今は本を読んだり家庭菜園や料理をじっくり楽しみたくて各々自分の時間を大切にしてほしい。

ひなのさんは真摯に自分と向き合って文章を紡いだのだなって思った。だからこそ様々な感想を持つ人がいると思う。私は自分の生活を改めて見つめ直した。夜早めに寝たり外出時にハンカチを2枚持つようにしたり(電気の節約、飲食店の紙ナプキンの節約()ただの自己満足かもしれないけど当たり前に生活の中にある何かに改めて感謝する機会を得られたので読んでよかったと思いました。

#吉川ひなの #わたしが幸せになるまで



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