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【データで見る】IPO後に成長加速させたSaaS企業とその要因は?

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SaaS企業の成長率は年ごとに2割逓減していく

2019年、世界最大級のSaaSカンファレンスSaaStr AnnualにおいてScale Venture Partners PartnerのRory O'Driscollが「The Mendoza Line for SaaS Growth」と題したプレゼンテーションを行いました。

この中で、代表的なSaaS企業の2011年から2016年の売上高を集計し、各年の売上高成長率は翌年に「"成長率"が18%逓減する」(前年100%成長であれば、翌年は82%成長)というレコードを紹介しました。

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* The Mendoza Line for SaaS Growthより

資料中ではこの状況を「Growth Persistence(成長の持続性)」と呼んでいます。

プロダクトの規模が大きくなるにつれ、新規顧客の獲得数を加速させることは難しく、成長率の向上はおろか、前年と同様の成長率を遂げることも難易度が高いことが伺えます。

この数年で上場が相次いだ国内SaaS企業のGrowth Persistenceはどの程度か、また、成長を加速させることが出来た企業はあるのか、データを基に検証していきます。

国内SaaS企業のGrowth Persistenceは?

ここでは、SaaSをビジネスメインとする企業16社を対象に、まとまったデータの取得が可能である2017年から今期の着地見込みを含む2020年度までの売上高成長率を集計しています。

マネーフォワード、ユーザベースは toCビジネスの事業割合が一定あると共に、M&Aの影響もあることからここでは対象としていません。

国内SaaS企業のGrowth Persistenceは平均21%の逓減

以下の表中が各年における売上高成長率の推移となり、この"成長率"の変化率を集計すると、異常値排除を行った平均値で-21%,中央値で-22%が国内SaaS企業の状況となりました。

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グラフで表現すると、多くの企業の成長率が時系列で成長率が下がっていく様子が見て取れます。

グラフ

冒頭の米国数値が-18%でしたので、ほぼ同様に成長率が逓減しています。(なお、上記表とグラフは下記のエクセルファイルで利用可能)

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