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【保存版】SaaSパートナー施策攻略のための10の質問

月額有料マガジン「企業データが使えるノート」では、

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をコンセプトにSaaS企業に関するデータ・コンテンツを発信しています。
* 詳しくはこちらをご覧ください。

本記事はSaaSビジネスに取り組む方が「パートナー施策」に取り組む際に抑えておくべきポイントを質問形式でまとめたコンテンツとなります。

* * *

SaaSスタートアップによるパートナー戦略への取り組みが加速している。

従来からfreeeやマネーフォワードは税理士や会計士などをパートナーとし、製品の普及や利用促進を行うことで成長を遂げている。

業務改善プラットフォームKintoneを重点成長領域と定めるサイボウズは大規模イベントやパートナーネットワークを通じ、幅広い顧客へアプローチをかける。

今年2月に公表された同社の決算資料ではクラウド売上のパートナー比率が60%にのぼり、直販以上の重要なチャネルとなっていることが伺える。

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* サイボウズ 2021年12月期 決算・事業説明会資料


今年1月企業データが使えるノートでも取材を行った「プロダクトローンチから1年でARR20億円」の驚異的な成長をみせたオルツも主要プロダクト「AI GIJIROKU」において、売上の8割を代理店経由が占めるなど急成長の背景にはパートナー施策があった。

「SaaSと言えばThe Model型の直販体制が常識」と考えられてきた中で、なぜ今、パートナー戦略が脚光を浴びているのか。

今回の記事では、日本で唯一の代理店連携管理クラウド「PartnerSuccess」を提供するパートナーサクセス社執行役員COO 秋國史裕氏に協力を仰いだ。

同社が昨年からリリースをしたパートナーサクセスに関するホワイトペーパーはSNS上でも大きな反響を呼んでいる。

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* パートナーサクセス社 ホワイトペーパー

本記事では同社のデータを活用しながら「SaaSビジネスにおけるパートナー施策の抑えるべきポイント」を10の質問から紐解いていく。

秋國 史裕 | パートナーサクセス株式会社 執行役員COO 
新卒で不動産業界のマンションデベロッパー、その後、ITセキュリティ系のソフトウェアベンダーに就職し、10年間、パートナービジネスに携わる。2018年からChatworkにてパートナービジネスの立ち上げを行う。2021年11月よりパートナーサクセス社へ参画。執行役員COOに就任。

* パートナーサクセス社が提供するホワイトペーパーはこちらのページから必要事項を記入の上ダウンロードが可能です。

なぜSaaS企業にとってパートナー戦略は必要か?

SaaS企業にとってパートナー施策の必要性を端的に示した資料がある。

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* 中小企業庁 「中小企業の身の丈に応じた ITツールの普及促進について」

中小企業庁が公表した「中小企業の身の丈に応じた ITツールの普及促進について」と題したレポートで示された、デジタルツールを中小企業・小規模事業者に届ける主体を現したスライドだ。

注目は、中小企業・小規模事業者に対してのデジタルツールの最大の提供者は「IT関連メディア・ベンダー 43%」であり、次いで、金融機関や税理士といった「支援機関 4-26%」、「ダイレクトセールス」は24%のみとなっている点。

つまり、多くの中小企業にとってITに関する相談先は銀行や税理士、地元のITベンダーであり、直接SaaSベンダーに問い合わせを行う層はアーリーアダプターのみであることが分かる。

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* パートナーサクセス社 ホワイトペーパーより

秋國氏は「SaaS企業が直接アプローチ可能であるのは首都圏を中心とした顧客やITリテラシーが高いアーリーアダプター層であり、マジョリティの壁を超えるには直販体制とは別のチャネルを構築する必要がある」と話す。

これは、昨今注目を集めるグロース手法であるProduct Led Growth(PLG)を採用するSaaSプロダクトでも例外ではない。

実際にPLGの代表格と言われるZoomは米国での売上は90%が直販であるが、日本では70%が販売パートナー経由であること明かされている。

機能やUI・UXがどんなに明瞭であっても、日本固有の構造や商流を理解しなければ、マジョリティへのキャズムを超えることはできない。

ここからは実際にSaaSスタートアップが疑問に感じるポイントを質問形式で秋國氏にぶつけていく。

* ここではパートナー施策のメインである代理店戦略を中心に説明を行っていく。SaaSを提供する企業をベンダー、代理店をパートナー、SaaSを導入する企業をユーザーと呼ぶ。

パートナーとの組み方にはどのような種別があるか?

A. ベンダーと代理店との組み方は「①紹介」「②取次」「③卸」
SaaS発展以前から取り組まれているのは「③卸」であり、パートナー施策の基本。優良なリード獲得の観点から「①紹介」にも注目が集まっている。

SaaSやクラウド型のソフトウェアが誕生する以前から企業向けソフトウェアの販売は「卸」が基本だ。

今でこそ投資や携帯電話のイメージが強いソフトバンクだが、孫正義氏が起業した当初のビジネスはコンピュータソフトの「卸」会社であり、現在、その源流を受け継ぐのSB C&Sの売上高は5,559億円(2020年度)にのぼる。

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* パートナーサクセス社 ホワイトペーパーより

「卸」の代表的なプレイヤーは独立系の大塚商会や内田洋行、ダイワボウ情報システム株式会社、メーカ系では都築電機や日立ソリューションズ・クリエイト、複写機系ではリコージャパンやキヤノンマーケティングジャパン、また通信キャリア系ではSB C&SやKDDIなどが挙げられる。

これらの企業はソフトウェアの販売だけでなくPCやサーバといったハードウェアの提供やシステム構築や運用、社内サポート、OA機器の販売などユーザー企業のIT領域全般でサービスを提供している。

そのため「卸」はユーザー企業のIT環境やニーズに深く精通しているとともに、顧客が求めるサービスをカバーするため、日々、代理店として取り扱うSaaSプロダクトを開拓している。

「卸」が営業から契約締結、請求、サポートまでをカバーするのに対し「紹介」は見込み顧客を提供することで"紹介報酬"を、「取次」は営業から契約までを完結させることで"成功報酬"をパートナーが受け取る座組となる。

秋國氏は「この数年では紹介パートナーの重要性も増した」という。

例えば、タレントマネジメント領域のSaaSは人事部門の課題を解決するツールであるため、情報システム部門などと対面する機会の多い「卸」ではユーザーに対して価値が伝わりづらい。

そのため、課題に対して理解の深い「人材コンサルティング会社」など従来はITシステムの販売を行っていなかった企業がパートナーとなり、送客を行うケースが増えているという。

「従来はソフトウェアを利用するにあたってはサーバなどの環境構築も併せて行う必要があったため、"卸"のモデルが定着していった。一方でSaaSではそのような役割は必要がないので、ポテンシャルユーザーとの結びつきが深い企業が"紹介"を行うケースが増えてきている。例えば、八芳園がEventHubとパートナーを結ぶといった意外な事例も出始めている(秋國氏)」

パートナー施策を検討するにあたっては、これらの座組を理解したうえで、最適な組み方を構築していく必要がある。

意外と知られていない「卸」の構造とは?

A.  ディストリビューター(一次代理店)、リセラー(二次・三次代理店)といった階層構造がある。またエリアキングとも言える特定地域に強い代理店にも注目。

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* パートナーサクセス社 ホワイトペーパーより

「卸」は大塚商会やSB C&Sといったディストリビューター(一次代理店)や、そこからさらに製品提供を受けるリセラー(二次・三次代理店)といった多重構造によって成り立っている。

SaaS企業が全国で販路を広げるにあたっては、全国でリセラーとのパートナーシップを組んでいるディストリビューターと代理店契約を結ぶことで、多数の代理店を抱えることなく、一気に販路を広げられる可能性がある。

またディストリビューター以外でもローカルキング*と呼ばれる特定地域に圧倒的な存在をみせる代理店も存在する。北海道におけるHBAや秋田における渡敬が代表的な例だ(各地方の入札情報から落札業者を調べると見つかりやすい。入札情報をまとめたサービスも参考にしたい)

販売網の広さだけでなく、以下のような役割の提供を強みとする代理店も存在し、自社の商品フェーズや製品特性、戦略などに合わせて組む先を選定していく必要がある。

■ ソリューションパートナー
自社商材と組み合わせて連携提案可能な代理店

■ アライアンスパートナー
システム構築を自社で行うスキルを保有している

■ コンサルティングパートナー
カスタマーサクセスまで一貫して行うことができる

* パートナーサクセス社「サブスクリプション時代の新たな代理店戦略」より

取り組みはいつ頃から検討すればよいか?

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