見出し画像

プリティーリズム レインボーライブ 愛・夢・未来

『プリティーリズム レインボーライブ』を知っているか?


プリティーリズム レインボーライブ……

それは全人類に愛・夢・未来を教える今もっとも義務教育に組み込むべきアニメ 

以上です


補足

↓これより下は上記の補足となります。


『プリティーリズム レインボーライブ』(以下RL)はいわゆる女児向けアニメであるプリティーリズムシリーズの第3作目です。

プリズムショーというスケートと歌と踊りの全部乗せみたいな競技(注1)がある世界を舞台に、主人公の彩瀬なるちゃんを含む6人の女の子たちの成長や友情を描く……
というのがストーリーの大筋。

一見なんてことなさそうな話に見えるでしょ? 
でもね……”違った”んです(何)


まず私がこの作品に出会った流れを、順を追って説明します。

例によって(?)『キンプリ』(注2)にハマった当時高校生の私は、
キンプリの男子キャラたちを更に深く理解して楽しむために、その前日譚であるRLを見ることを決意しました。

決意という言い回しをしましたが、RLは全部で51話もありまして、
これは深夜アニメの12話完結くらいの感覚に慣れていた私にとってはとてつもなく長いものだと"見るまでは"感じていました。

だって、51話もあって、しかも子供向けで、女の子ばっかで(この言い方はどうなんだ)、『キンプリ』のキャラは数人しか出てこないし……


でもまあ、これもオバレ(『キンプリ』に登場する男性3人組ユニット)を深く理解するためだ、我慢して見るか、と"見るまでは"思っていました。
思っていたんです。つまりこのRLという作品を舐めきっていたのです。

そして、見始めてから3日後。
そこには号泣しながら最終話を見る私の姿が……

最終話でオバレが結成されるわけですが、正直最終話を見ている時点ではもう半分くらいオバレはどうでも良くなっていました。(嘘です)(athletic core大好き)

子供向けのノリでだらだらと続くんだろうと思っていた51話が、
まるでジェットコースターのように捨て回など一切なく完璧な構成と脚本の厚みで展開されていったのです。
キャラクター設定・人間ドラマ・CG技術・楽曲などどれをとっても子供向けとは思えない完成度の高さです。

つい筆がすべって「子供向けとは思えない」とか書きましたが、RLを見て思ったことは
「子供向けこそ、大人向け以上によく考えられている必要がある」ということです。

物語やメッセージを子供たちにわかりやすく伝えるために、表現や内容に真摯に向き合わなければならない。
そうやって考えて作られた子供向け作品は大人になっても絶対に楽しめる。
むしろ大人こそ、RLに忘れかけていた「大切なこと」をもう一度教え直してもらいたい。

もちろん作画が怪しい部分や、大人の感覚でいったら「え、それありなのか?」という設定もあります。(注3)

けれど家族・友人・異性間での人間ドラマの分厚さがもう本当に半端ない。
先程捨て回はないと書きましたが、51話4クールかけて様々な人間関係がそれはそれは丁寧〜〜に、構築されていくのです。

1話でも抜かしたら、登場人物たちの心の動きは見えなくなってしまいます。今流行りのクソデカ感情というやつです。
みんな好きでしょそういうの(私も好き♡)。

とにかく人間関係が分厚いんですよ〜泣けるんですよ〜深いんですよ〜と言ってもイマイチ伝わらないと思いますので、
実際に私がRLに教えてもらって再認識できた三つのことを具体的に書いていこうと思います。



1 私とあの子は違う人間、違う価値観、違う育ち方

何にも持たない私 全て持った私 (Little Wing and Beautiful Pride
彩瀬なる/蓮城寺べる(CV.加藤英美里・戸松 遥))

RLで大きく描かれているテーマの一つに「家庭」があります。

一般的な家族愛をただ賛美しただけの内容ではなく、作品のメインターゲットである子供たちに向けて、新たな視点を授けられるようなものになっている点に注目しましょう。

メインの登場人物、6人全員が中学生の女の子。
この年代の女の子にとって、"親"とは切っても切れない存在のものです。


そんなキャラクターたち一人一人の掘り下げ回では、様々な家庭にスポットが当てられます。

いかにもな頑固オヤジやバリバリ働くお母さん、
何の問題もない温かな家庭があると思えばモラハラ夫的なお父さんが支配している家庭や、
お母さんが娘に依存している家庭……
とある事故が原因で、罪滅ぼしのために別居している家庭……

今書いてて思いましたが本当に重すぎる。どんなだよ。ふざけんな。


登場人物たちの家庭事情が明らかになっていくにつれて、
「どんな人にも生まれ育った場所があるんだ」という当たり前のことを思い出していく。
そして、その家庭事情というものが子供のアイデンティティ形成(とか言ってみますけど、つまりどんな人間に育っていくか)に深く深く関わるものであるということも。

「自分とは違う家庭で育った子は、自分とは違う価値観を持っている」
という内容が登場人物たちの交流を通して、さりげなく、説教臭くならず、しかし確実に描かれています(私の文章は説教臭いです^^)


そしてRLのストーリーの特徴に、
女の子たちだけでなく親たちの成長も丁寧に描かれているという点があります。
プリズムショーと関わる中で、親たちも自分たちの教育の仕方や家族のあり方というものを考え直していく。

このことは、子どもたちに
「親がいつも正しいわけじゃない」という大切なことを教えてくれます。
先ほども書いたように、小中学生の子どもにとって親というのは世界の中心のような存在です。

しかし、その親たちも親である前に人間であり、だからこそ間違えることもある……
というメッセージをこの作品は伝えている(ような気がする)(気がするだけかい)。

2 “真剣勝負”への姿勢

I'm Queen! Get music! Masterpiece!
手に入れるわ 最高最強の気分
Forget music? NO! NO! Doubt!
ついてくれば? 本気なら ( Get music! 連城寺べる(CV.戸松 遥))


かなりざっくりしたトピックですが、主人公である彩瀬なるちゃんを中心に、
メインキャラたちの成長を通して物語全体で描かれていることかなと思います。

画像1https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/prettyrhythm2013/index2.html


なるちゃんはごく普通の中学生!という説明で登場する子です。

(余談ですが、この本人が思っている「ごく普通」が、話が進んで色々な境遇の子が出てくる中で、実はとても恵まれている環境であるとだんだんとわかってくるのもまた味わい深いんですよね〜〜〜)

とにかく元気で温厚、そしてちょっと抜けててお馬鹿な感じ。好きなものは色々あるけれど、何かに熱中したことはない

恋愛もベンキョも友情も家族も 大事で大切な宝物 でも あれ?
スキキライなしだと笑っていたけれど 一番スキなコトなんだったっけ??
(ハート イロ トリドリ~ム 彩瀬なる(CV.加藤英美里))

そんな彼女が、プリズムショーという競技に出会います。

物語の序盤ではとにかく友達とワイワイ仲良く取り組むことに喜びを覚えるなるちゃんですが、さまざまな出来事を経て、
(本当にさまざまなんですよ。紆余曲折すぎて書ききれません。本当はどういうふうに彼女が変わっていったか全部書こうとしたんですけど長すぎるのでやめました)

「競技を楽しむことと、真剣勝負をすることは両立できるんだ」と考えを変えていきます。
楽しみたいという自らの気持ちを大切にしつつも“表現者”として勝負の土俵に立っていることを忘れない。
もう全然ごく普通じゃないね。成長しすぎ。立派すぎんだろ。


もう一つ、この真剣勝負というワードで注目したいのが、森園わかなさん。
ちょっと意地悪で子猫っぽい女の子で、物語序盤ではかな〜〜〜り嫌な奴って感じです。
マジで。今でこそ私の推しキャラクターですが、初見時は本当に嫌な奴すぎてビビった。

画像2


同じく序盤悪役サイドの連城寺べるさんの腰巾着的な女の子で、プリズムショーではNo.2の実力を持ちます。しかし、彼女……自信がないんです

もう一度言いますよ。自分に自信がないんです。彼女は。
「〇〇なのかにゃ〜?^^」とか言って人をめちゃくちゃ煽る生意気で嫌な奴なのに、
本当は緊張しいで、本番に弱く、挑戦することが怖い。べるさんに「失敗しないでね」と言われるだけで頭真っ白になっちゃうくらい。

人間味。

わかりますか。
実はこれ彼女の家庭環境が影響してたりするんですが、ネタバレだし長いので書きません。でも、人間味。すごくないですか? 
普段は余裕綽々な子が、本番で失敗するのが怖くていつも冒険しないパフォーマンスになってしまう。だから、上手くてもいつまでもNo.2。
飄々とした態度の裏に隠した苦悩と緊張

こんなん気づいたら号泣しながら応援してるって!!!! ねえ?
そんな彼女もなるちゃんと同じく紆余曲折を経て、自分なりの“真剣勝負”への向き合い方を見つけます。

それがどんな形で、どんな結末なのか……マジでこればかりはご自分の目で確かめてみてほしいです。RLのトロの部分だから。大トロだから。

唯一言えるのは、私はわかなさんの最後のプリズムショーを見るだけで爆裂大号泣感激感涙できるということです。おかしくなっちゃってるから。いや、おかしくなってなくても泣けるだろうけど。
今も参考資料としてアニメ流しながら書いているのですが、全然普通に泣いてます。なんかすみません。


3 お姫様だって誰かを守れる(誰だってお姫様になれる、だけじゃなく)


小鳥遊おとはちゃんというキャラクターがいます。

R Lのメインキャラの女の子たちはそれぞれ「ラブリー・ポップ・クール・セクシー・エスニック・フェミニン」の系統をイメージしたキャラクターになっているのですが、

おとはちゃんは「フェミニン」を担当するキャラで、
物語序盤ではべるさんやわかなさんと同じ悪役サイド(?)なのですが、物語終盤では「クール」の涼野いとちゃんとペアで描かれます。(注4)
口癖は「メルヘ〜ン」で、ボーイッシュなイメージのいとちゃんと対になる、可愛らしくてふわふわした、まさにフェミニンな女の子です。

画像3

いつもおどおどして自信なさげな彼女でしたが、クールでかっこいいいとちゃんに憧れて、さまざまな苦難(これも書くと長いので割愛します。でもおとちゃん、色々頑張ったよね;;;;)を乗り越え、
次第に強く逞しく成長していきます。

そして、物語終盤では家庭の問題で悩むいとちゃんを、ペアとして友人として逆に助けて救っていくことになるのです。

いつも守られてばかりだった彼女が、大事な人を守るため頑張る姿に誰もが胸を打たれることでしょう(こればかりは主語がデカくてもいい。だって本当に誰もがだから。全員感動するからこんなん)。

ここで注目したいのは、強く逞しくなった彼女は、それでも「フェミニン」であるということ。
趣味の紅茶や可憐でふわふわした言動が変わるわけではありません。
「フェミニン(=女の子らしい)」という属性を持ったまま、強く逞しく成長するのです。

よく言うアレですが、「女の子なんだから」って言葉嫌じゃないですか?
(嫌じゃない? そうですか……)

なんで嫌なのかって考えた時、
「女の子なんだから」は「弱くありなさい」と結びつくからなんじゃないか? と私は思いました(逆も然り)。
別に女も男も弱かったり強かったりするのに、なんかどっちかを、押し付けられるから、嫌なんだよね〜〜〜簡単な話ですけど〜〜〜〜

お姫様みたいな女の子って、ぜつてぇーに弱くなきゃならないのか? 
お姫様みたいな女の子だって、あの、別に、誰かを守れるくないか!? なあ!? オイ!!(もちろん弱くありたいお姫様も、いる)

「女の子らしさ」が「弱さ」と必ずしも結びつかない世界。それが『プリティーリズムRL』なのです。

誰だってお姫様になれる。今やそれは当たり前の世界になりつつあります。
それを大前提とした上で、「お姫様だって誰かを守れる」世界を私は信じたいし、大切にしたいなと思います。

(余談ですが、『キングオブプリズム』の西園寺レオさんもまさにそうですね。可愛らしくありたい人。お花の妖精みたいな可愛い衣装を纏って、「もう自分に嘘なんてつかないって決めたから ライオンみたいに勇ましく 踏み出そう」と歌っています。可愛らしくあろうとする姿勢を「ライオンみたいに勇ましく」とは、こりゃまた、ねえ……? 泣いちゃうねえ……?


いかがでしたか?

伝わりました? 私が『プリティーリズムレインボーライブ』から学んだこと。

書いてて思ったけど、マジであの時高校生の私を『キンプリ』の応援上映に連れてってくれた友達、ありがとね。おかげで人生の教科書が一つ増えました。

他にも
なるちゃんの初恋の描かれ方とか、
キンプリでフォーカスされるオバレの三人のドロドロのち大団円とか、
ジュネ様の愛のあり方とか、
書きたいことがポロポロリあるのですが無限になっちゃうし、結局言いたいことは一つ


騙されたと思って、一度、見てみてくれ〜〜〜〜頼む〜〜〜〜〜お願い! お願いします! 気が向いたらでいいんですけど! お願いします! 何とか! 何とかなりませんかね……


↓ 全話見るのが難しい人は、私が勝手に「これってRLの全てじゃん」と思った歌詞(全然そんなことない)を一旦眺めといてください

ALIVE 迷い選び笑い強くなり
私と 私は 世界と 関わる
君は 君を 連れて生きていく 
(ALIVE  涼野いと/小鳥遊おとは(CV.小松未可子・後藤沙緒里)



注1 さらに細かくいうと、過去二作と共通しているこの歌・踊り・スケートという三つの要素に「プリズムライブ」という新要素が追加されています。その名の通り、パフォーマンス中に楽器を演奏するという要素で、主人公のなるちゃんはエレキギター。女児の皆さんが、エレキギターに憧れがあるのはちょっと意外です。

注2 ジャニーズではなく、応援上映の方。『KING OF PRISM by PrettyRhythm』という映画です。RLに登場する男子キャラにスポットを当てたスピンオフで、劇場でペンライトとかうちわとかを振り回し声援を送りながら楽しむ応援上映という形の上映スタイルが話題になった。

注3 そもそも主人公のなるちゃんがとあるお店の中学生店長になるところから物語が始まるわけですが、中学生にお店を切り盛りできるわけがない。

注4 メインの登場人物は6人(+異世界から来た謎の少女りんねちゃん)。物語の序盤は彩瀬なる・福原あん・涼野いとの3人組と、連城寺べる・森園わかな・小鳥遊おとはの3人組に分かれて対立していますが、終盤ではみんな仲良しになります。
物語後半の山場としてデュオでのプリズムショー大会があるんですが、なる+べる、あん+わか、いと+おとのペアで出場するんですね。ここでもまたペアごとの関係性の掘り下げがあったりして、本当に丁寧な構成ですこと〜〜〜〜〜
(ちなみにりんねちゃん含めた7人の名前の頭文字をとるとrainbowになります。すげ〜〜〜〜〜〜〜)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?