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夏を覗き込んで、私はむりやり遠くを見た

「夏」が気温を上げればあげるほど、人間が喜ぶと思っていたとしたら安易に暑さを責められない。
暑さを苦に感じている人間が多いことを分かった上での行動なのかもしれないが、そのように思ったら私はもっと死にたくなるだろう。

目に見えないモノは全て綺麗だと思っていたいのだ。しかし私のソレはその対象が実際どのような姿でも、どのような思考でも変わることはない。
「綺麗」だと思っていたいのだ。その感性をむりやり生み出して自分を肯定しようとしている。

勝手に作り上げたキョゾウを心から愛し、違うと感じても離れられない。実像に出逢ったら徐に手を伸ばして形を作りかえようとするだろう。
友達が作った紙粘土で出来たロボットを引きちぎり、姿形を変えようとする子供よりも醜い。

だから「夏」よ。キレイなものであってください。良心をかためた光に突き刺されながら重い体をもちあげた私に微笑んで。私にはあなたがキレイなものにしか見えないのです。

                   2022.6

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