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下駄を履かせようか?

地下鉄の階段を登る。しかし脳が痛い。
目の前の光景がどうにも脳を痛くする。

ひらりとレース付きの長い長いスカートの女性が前を歩く。ショルダーバックの持ち手にそっと手を当てている。手の感じからまだ20代の娘さんと思われる。

この娘さんが私の脳を痛くする原因だが何故?

彼女が踵を後ろに蹴り上げたので脳が痛い理由がわかった。彼女の履く、その靴が多分15センチ近くヒールのある靴だったからだ。

レオナルドダヴィンチの有名な人体図。あれを見てわかることは、極端に腕が脚より長いも無いし逆もほぼ無い事。

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娘さんは極端に背を伸ばしているのに腕がそのバランスに合わない長さだから、自分の脳がバグを起こしていたのだ。

自分も背が低いので、つい高いヒールを選びがちではあったが、腕とのバランスは無意識に思うのか、どれだけ履きやすくても8センチを超えるヒールは殆ど買わなかった。


自分はブランド物はまあまあ詳しいが、ハイブランドの物はバブル世代だがほぼ無い。唯一有るのがエルメスのスカーフのみ。バッグなんて3千円とか普通。関係ないが次買いたいスカーフはこれ。エルメスのバッテリーNY。思い出のある場所がスカーフになっているので欲しいなと。

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話を戻して、理由は簡単なのだ。

昔勤めていた職場は帰国子女やかなり裕福な家庭の人が多かった。その当時はバブル期は過ぎたものの、ブランド嗜好は分厚い女性誌の特集に幾度となく組まれる程。当然海外でブランド品を買うのが旅の醍醐味なんだが、この職場では日本で普通に買うのだ。自分がかっぱえびせんを買う様にハイブランドを買う人達の世界なのだ。

手入れをするのにクリーニングに何万も出せる人達。取れないシミを付けても、あーやっちゃったと言いながら新しい物をその場で買える事。

その当時20代の自分は高い下駄を履かせる不恰好を否応なく知る。お陰で身の丈に合わない持ち物を持とうという気は全く無くなった。それは貯金をはたいて買うのにも通じていて、長い時間をかけて貯めたお金で買う事や、その場で一括払い出来ない物は買うことが無い。

ここで間違ってもらいたくないのが、どうしてもどうしてもどうしてもさらにどうしても欲しいものなら貯金して買うのもローンを組むのもアリだ。

目の前の彼女はやたら長い脚を持つ飛騨高山の足長像の様な体型になり、新しい生命体にすら見える。

自分もこの歳になれば何を着てよいのかわからくなる。実際選択肢も無いが好みの服も果たして似合っているのかわからない。

ネットやあちこちで自分にあらゆる下駄を履かせようと必死だ。
・10歳若くみえる着回しはこれ!
・子供のお姉さんに見える大人かわいいメイク(子供は自分はいないけどね)
・ラグジュアリーな装いで大人の夏を満喫
・職場で溶け込む上を行く、きれいなお姉さん
   アイテム
・お肌はまるで20代ベストコスメ

下駄を履いてよろける自分より、
スーパーの衣料品売り場の売れ残りの赤札のスニーカーを履いていたい。
古臭くても流行りに合わなくても自分の気に入る物を持ちたい。
しわだらけでしみだらけでブヨブヨで白髪だらけでもいい。

なによりもそのままの自分を愛でたい。
自分が自分を自分のまま愛でたい。


どうでもいい話だが、昔自分が足を複雑骨折した理由が玄関に置いてあった下駄に気づかずその上に足をのせてしまったら転倒したという。

だから言わんこっちゃないんだよ。







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