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星降る夜に出掛けてきたお話

※ネタバレしかありませんのでご注意ください。

【星降る夜に出掛けよう 京都南座 2023.06.12】

京都南座。髙地が出演する舞台の初日を見に行ってきた。

FC先行も一般も全滅し、諦めかけていた5月下旬。ツイッターのフォロワーさんから突然DMが届いた。それは、「チケットぴあで少しだけリセールが出ているので、今なら取れるかもしれないです」という情報だった。
すぐさま申込画面に飛び、リロードをかけまくってようやくふっと繋がったのがたまたま初日。3階のA席だったがこの際どこでも良かった。見られるなら。

14年ぶりの京都だった。南座に行くのは初めてだ。
今にも雨が降りそうな重い曇天模様で、平日の京都は外国人観光客で溢れていた。地元秋田の、年に一度の祭りの日よりも人がいる。

開演の30分ほど前に着いたら、パンフレットを買うための大行列。1階の売り場から3階まで並んでいた。
入り口を開け放っていたせいか、中は蒸し暑く感じた。南座の雰囲気に合わせるなら、扇子を持ってくれば良かったと思った。

美しい星空が印刷されたパンフレット。思ったよりも分厚くてしっかりしている。
かっこよくキメた写真もインタビューも嬉しかったけれど、何より稽古中の様子を撮影した写真が載っていたのが嬉しかった。これぞ舞台という気がする。

キャパは1082人。初めて入った南座はとても小ぢんまりとしていた。
3階席はかなり急な傾斜になっていて、高いところが苦手な人は眩暈がするかもしれない。獲得した席は3列目で、舞台全体がよく見えた。
赤い手すりに提灯がたくさん並んでいて、どこか幽玄な異世界のよう。まるで「千と千尋」に出てくる湯屋みたいだった。

「星の王子さま」「お月さまへようこそ」が原案となっている今回の舞台。
簡単に予習はしてきたけれど、全く話を知らずに見たら、状況をつかむのに時間がかかるかもしれないと思った。以下、舞台本編の感想。


1. 星の王子さま(髙木雄也・髙地優吾)

当たり前なんだろうけど、舞台の発声って全然違うんだな。(素人の感想)
いや、今まで音楽は好きでコンサートにはいろいろ行ってきたけれど、お芝居にさほど興味がなくてあまり見てこなかったので、かなり新鮮だった。

普段の喋り方、バラエティしてる時の喋り方、歌い方。
髙地の「普段」を見聞きしているからこそ、全然違う発声とトーンの高い話し方に驚いた。
一言一句、はっきりと聞き取れる明朗快活な話し方。それは、無邪気で掴みどころのない不思議な「星の王子さま」という役どころからも来ていたんだろうか。

浮世離れした、少年のような老成しているような星の王子さま役。
髙木くん演じる普通の青年と、嚙み合っていたりいなかったりする会話。
大きな羽根を手に、髙木くんと2人で歌った「カナリア」は、歌詞の中に何度も「カナリア」という言葉が出てきて、やっぱり髙地の「A」の母音は響きが明るい……と思いながら聴いていた。

それにしても、髙木くんのプレッシャー半端ないだろうな。
まだ舞台もお客さんもあったまってない、ど頭にたった一人で出てきて、芝居を始めてソロで歌って。しかもそのソロ曲「Calling You」が、めちゃくちゃ伴奏の少ない丸裸状態の歌。
自分だったら毎公演絶対に慣れないだろうし、死ぬほど緊張すると思う。

2. 喜びの孤独な衝動(髙木雄也・中山優馬)

3つの作品中、一番コミカルで何度も客席から笑いが起きていた。
初めて演技を見たけれど、中山優馬くんめちゃくちゃ舞台向きだと思った。発声も動きも、とても伝わりやすく、でも大げさには見えない。

ボケの髙木くんとツッコミの優馬くん(語弊があるかも)、観客の笑いの反応を見つつ、テンポのいい掛け合いがとても上手だった。

3. 星降る夜に出掛けよう(中山優馬・髙地優吾)

脇を固める10人の俳優さんたちが、影に日向に大活躍。

まさか髙地が煙草を吸う姿が見られるなんて(演技です)

我が人生に悔いなし。最高に刺さった。めちゃくちゃ格好良かった。
あと、「おふくろ」って言う髙地。初めて聞いた。これもなぜか刺さった。

最初の「星の王子さま」とは違って、苦悩する男の役。優馬くんと話しているうちにだんだん希望が見えてきて、少しずつ声も表情も明るくなっていくのが分かった。
最後に髙木くんも登場し、3人で「シャンペーン!」で乾杯して、お芝居部分は終了。

かと思いきや、ソロコン状態のステージが始まってびっくりした。
今回使用された楽曲は、父親が好きな「Honesty」以外知らない曲ばかり。髙地のソロ曲「The Saga of Jenny」も初聴き。
ストーリー調の語るような歌詞、ジャズっぽいサウンド。
ダンサーさんたちを背負ってカラフルなライトを浴び、一人で丸々一曲歌い切った髙地の姿に、惜しみない拍手を送った。
前髪を上げていたせいか、普段のニコニコ髙地よりもずっと大人びていて、踊り続けても息は上がらないし新しい一面を見せてもらえたような気がした。

挨拶などはなかったけれど、鳴りやまない拍手とスタンディングオベーションに応えて、2度のカーテンコールがあった。3人とも一番上の一番遠くの席まで、笑顔で大きく手を振ってくれた。

2度目の時、髙地はどこか感動したように手を振るのを忘れて客席を見渡していた。緞帳が頭の上ぐらいまで下がってきてようやく、ハッと我に返ったみたいに慌てて両手でお手振りしたから笑いが起きていた。
あれは天然ですか計算ですか。あざと警察出動ポイントだった。

正直、お芝居に関しての上手い下手はよくわからない。でも、20年以上素人ながらに合唱をやってきて、年に数回はステージに立つこともしているから、歌のシーンはとても興味深かった。

全部見終えて一番思ったのは、「2~3人で歌うのって、やっぱり一番難しい」ということ。
一人だったら、テンポがずれようがピッチが多少揺らごうが別に誰にも迷惑かけないけれど、2人、3人の少人数だとわずかなズレも違和感になる。
逆に4人以上の人数になると、混ざり合って中和されてズレはだんだん気にならなくなってくる。そして、バラード曲ほど粗が目立つので合わせづらい。

soloよりsoliの方が難易度が高い、と個人的には思っているが、まさにそうだなと思った舞台だった。これから公演を重ねていけば、どんどん合わせやすくなっていくのかな、と期待している。

ただ、今回の3人は声そのものに変なクセがある人がいなくて、声質自体はとても調和していた。
大人っぽく落ち着いた声の髙木くん、ビシッと芯がある通る声の優馬くん、響きが優しく明るさを添えてくれる声の髙地。
1人での歌唱、2人ずつでの歌唱、それに3人での歌唱と、それぞれの声をたっぷり楽しめる一時間半だった。

これは余談だが、今回のようにマイクを使わなかったら、生声がどのくらい響く会場だったのかが気になった。どうしてもホールの響きを確認したくなってしまう合唱人の性。
建物が新しいわけではないし、反響板もなさそうだったから、よっぽどじゃないと吸収されて音が返ってこない感じのハコかなぁ。気になる……。


今回、急遽2週間で準備して行くことになった舞台。
チケットのリセールが出ていることを教えてくださったフォロワーさんには、感謝してもしきれない。可能なら京都の銘菓詰め合わせでも贈らせていただきたいぐらいだ。

以前、姪っ子と東京ドームライブに参戦した時の反響の大きさもだったが、SNSは使い方さえ間違えなければ、人と人を繋いでくれるコミュニケーションツールだと今回も思った。本当にありがとうございました。

10月の大阪公演が終わるまで緊張した日々が続くと思うけれど、出演者・舞台に関わる方々がより良い舞台をたくさんの人に届けて、最後まで無事に駆け抜けてほしいと願っている。

そして、髙地に惚れ直した髙地担でした。秋田から会いに行って本当に良かった。

頑張るあなたが大好きだ!体に気をつけて、全ての経験を良い糧にしてください。