見出し画像

まちカドまぞくの吉田優子らの1日に必要なカロリーを考える

まちカドまぞくの主人公である吉田優子の一家は、1ヶ月の生活費を4万円以内にする必要があった。このために、作中でも1巻で今月分の米が無くなったというシーンが描かれている。

一方で、以前の記事では吉田家の米の消費量を毎食1人茶碗1杯と仮定して1ヶ月の米の消費量を求め、米の値段をもとに食費について考えていた。

今回はアプローチを変え、カロリーの観点から考えていく。

1.概要

上でも述べた通り、以前の記事ですでに吉田家の食費については一度検討を行っている。上記の記事では毎食1人茶碗1杯分の米を食べるという仮定のもとに計算をしていた。しかし、実際には1食で茶碗1杯分の米では1日分のカロリーをまかなうには不足している可能性がある。

そこで、今回は吉田優子らの1日に必要なカロリーを厚生労働省の発行する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書やwikipediaに記載されている身長の情報などに基づいて考える。

2.方法

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書によれば、エネルギー必要量を推定する方法として、基礎代謝量と身体活動レベルを推定する方法があることが示されている。ここで、身体活動レベルは推定エネルギー必要量÷基礎代謝量と定義されている。

性別・年齢・身長・体重を用いた基礎代謝量の推定式としては国立健康・栄養研究所の式が18〜79歳の集団で妥当性が確認されている。しかし、これは吉田優子・吉田良子の年齢においては妥当性が確認されているとの記述はなく、また吉田清子についても体重の推定が必要となる。そこで、今回は参照体重における基礎代謝量の値を用いる。ただし、これは成長期の小児が成長に必要とするエネルギーを評価しておらず、小児の場合はエネルギー必要量を推定する際この分を加算する必要がある。上記資料p.80 表9によれば、15歳〜17歳の女児は1日あたり10 kcal,8〜9歳の女児は1日あたり30 kcalを加算する。

次に、身体活動レベルについて述べる。この数値は対象とする者の従事する仕事など、その日常生活の態様に大きく左右される。さらに、基礎代謝量同様、小児では同じような態様の生活でもその値が成人と異なる可能性もある。

具体的には、成人の場合、立位や移動の多い仕事に従事していれば身体活動レベルはⅢになるが、座位中心の仕事と家事程度なら身体活動レベルはⅡとなる。さらに、小児の場合、同じ身体活動レベルであってもその値は成人とは必ずしも一致しない。

続いて、吉田優子らの年齢、身長等を調べる。wikipediaの記述や作中の描写に基づけば、主要なキャラクターのプロフィールは以下の通りである。

吉田優子
年齢:15歳
身長:145 cm
身体活動レベル:虚弱のため運動はほとんどしておらず、レベルⅠと思われるが、作中では千代田桃の指導の元である程度習慣的なランニングや筋トレ等の運動を行っていると思われ、レベルⅡないしはⅢと思われる。ここでは吉田優子が作中でも積極的な運動を行っている描写はそれほど見受けられないためレベルⅡとする。

吉田良子
年齢:9歳
身長:125 cm
身体活動レベル:日常生活での身体活動レベルは不明だが、図書館を頻繁に利用していることから活発な運動習慣はない、レベルⅡと思われる。

吉田清子
年齢:不明だが、吉田優子が15歳であることから40代と仮定する。
身長:161 cm
身体活動レベル:家事等を行っているためレベルⅡと思われる。

結果

以上より、推定カロリー必要量は

吉田優子:2300 kcal/day
吉田良子:1710 kcal/day
吉田清子:2030 kcal/day

と算出された。なお、これより吉田家が1日に摂取するカロリーは6040 kcalであり、茶碗1杯の米はクックパッドの情報によれば235 kcalとのことなので、1ヶ月に必要なカロリーをすべて米でまかなったとすれば約770杯分となる。

冒頭で示した記事では1ヶ月の消費量を茶碗270杯としていたのでおよそ2.86倍である。米代は7000円としていたので単純に2.86を乗じれば1ヶ月の米代は19991円となる。

まとめ

吉田家の食生活をカロリーの観点から考えた場合、米のみで必要なカロリーをまかなってもほぼ2万円かかってしまうという結果が出た。作中では米以外のおかずや味噌汁も調理していたことから、1ヶ月の食費はこれを上回ってしまうおそれがある。

一方で、吉田優子・吉田良子の身長は平均よりも低く、これに伴って実際のカロリー必要量も低くなることが考えられる。さらに、吉田良子の場合学校給食がある可能性もある。実際、吉田良子が月に20日昼食で給食を食べるとすると、米のみでカロリー必要量をまかなった場合の費用は7/9倍してほぼ15000円となる。これなら残りで味の濃いおかずや漬物等を購入・調理して米をかき込むようにすれば、1ヶ月の食費を2万円程度に抑えることも不可能ではないかもしれない。よって冒頭の記事の食費1ヶ月2万円という数字は決して非現実的なものではないといえるだろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?