見出し画像

まちカドまぞくの陽夏木ミカンの実家について

まちカドまぞくの陽夏木ミカンの実家について考える。

手がかり

・実家が柑橘類を用いた食品加工メーカーを営んでいるという描写があり、陽夏木ミカン本人もうなされていた千代田桃に実家の製品のみかん饅頭を勧めている。以前は多魔市に工場があったが、千代田桃によって破壊された。

・ハミだせ!!まちカドまぞく(45話)で、中国地方(岡山県東部か兵庫県西部の沿岸)から来たと本人が述べている。

・陽夏木の部屋にゴキブリが出た際に、吉田優子がティッシュペーパーでつまもうとしたことに対し、漫画では「だぁらつまむのは止めぇ言うとろーが!!」と発言している。

以上の手がかりから考えてみよう。

工場の立地について

ウェーバーの工業立地論によれば、大都市のすぐそばに工場を建設するのは、ビールのように原料がほぼどこでも手に入る製品の特徴である。(ビールの主原料は水なので、消費地の近くで生産して輸送コストを抑えている。)多魔市に工場があったということは、それほど特殊な原料を使用しない製品を作っていたのだろう。

工場が中国地方に移っているので、岡山県と兵庫県の柑橘類の生産について調べたところ、岡山県では瀬戸内市などでみかんやレモンの栽培が行われていることがわかった。(http://www.pref.okayama.jp/page/440866.html)一方、兵庫県果樹農業振興計画書(平成28年7月策定)によれば、兵庫県では柑橘類の多くは淡路島で栽培されている。淡路島からの交通網、また大消費地である神戸や大阪への距離を考えれば、兵庫県に工場があるとすると、淡路島か神戸市やその周辺に工場が位置すると考えるのが自然である。したがって、工場は岡山県東部と考えられる。岡山に移ってからは地元の柑橘類を前面に押し出した製品も開発しているのだろう。

方言について

言語学は全くの素人であり、また岡山の方言についても同様だが、上にある「だぁらつまむのは止めぇ言うとろーが!!」について、「だぁら」は「だから」と同じと考えてよいだろう。しかし、岡山の方言ではこれは「じゃから」あるいは「じゃけぇ」となるように思われる。「だから」、「つまむのは」は共通語、「止めぇ」、「言うとろーが」は方言が出たと考えられる。陽夏木ミカンに限らず本作のキャラクターは作中では基本的に方言では会話していない。ここではいわば「ツッコミ」として咄嗟に方言が口をついて出たために、岡山弁が混じるような形になったのだと思う。なお、岡山出身の方に確認したところ、「だから〜だって言ってるでしょ」は「じゃから〜て言うとろーが」になるという回答をいただけた。ただし、同じ方からより自然なものとして「じゃけぇ〜じゃあよーろーが」という例もいただいた。

作中で陽夏木ミカンが思い出のある以前の工場が破壊されていたことを嘆く描写があったこと、また千代田桃と知り合いであることから、陽夏木ミカンは以前(この方言の出たシーンでは高1なので中学生のころまでに)多魔市に居住していた経験がある可能性が高い。とすると、共通語での会話にはかなり慣れ親しんでいるはずだ。多魔市周辺で育ち、岡山に引っ越した結果岡山弁を一部習得したのか、岡山で育ち東京に引っ越した結果共通語で会話するようになったのかはここからは不明だが、少なくとも共通語と岡山弁が会話の中で混じったと考えることには差し支えないだろう。作中では最近岡山から東京に引っ越してきたことになっていることをふまえると、陽夏木ミカンは多魔市に来てから、普段は共通語で会話していたが、岡山弁に慣れ親しんだ状態だったため、咄嗟に発した言葉に岡山弁が一部混じったと考えられる。

結論

みかんを使った食品加工を行うとなったときに愛媛や和歌山ではなく岡山に新たに進出するかというと疑問が残るので、実家が岡山で広い土地があるかすでに工場があったのだろう。陽夏木ミカンの実家は岡山県瀬戸内市で、実家ではがっつり岡山弁で会話している可能性がある。

ところで、方言について調べていた際、「〜してあげる」という意味で「〜しちゃる」と言うのも中国・北九州地方に見られる方言らしいですね。吉田優子は「〜しちゃります」という方言を使っていた。次回はここらへんを調べてみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?