まちカドまぞくと「シャミ子が悪いんだよ」について
まちカドまぞくに関するインターネットミームの一つで、まちカドまぞくの主人公の1人である千代田桃がもう1人の主人公である吉田優子(千代田桃にはシャミ子と呼ばれている)に、「シャミ子が悪いんだよ」と言っていそう、というものがある。
「シャミ子が悪いんだよ」が発言される文脈
上のリンク先にもあるが、ファンの間の二次創作が発祥であり、いわゆる百合乱暴の際に発言されていそうな言葉である。
まちカドえっち本の竿役の千代田桃が言いそうな台詞「シャミ子が悪いんだよ……」
— へび (@rarata6o) August 11, 2019
深夜のちよもも② pic.twitter.com/WeTROwJc18
— イベリコ百合豚(絶対アカン) (@iberico_yuri) August 17, 2019
脳内桃色暴走機関車、アンストッパブル百合乱暴マシーンとなった千代田桃が吉田優子に対して言っていそうというのは納得のいくものではある。理性というブレーキを失った千代田桃がモラルの赤信号を冒進しているシーンを描くならぴったりのセリフといえるだろう。ここについては異論はない。
作中の千代田桃について
しかし、作中で千代田桃が言っているのかについては議論の余地がある。たしかに千代田桃は吉田優子を丸め込んだことが何度かあるし、いちゃついているのも否定できないだろう。
しかし、少なくともアニメの作中で千代田桃が吉田優子を丸め込むシーンでは、千代田桃は(詭弁とはいえ)一応の理屈を示している。
上の記事の例なら、債権者を倒すと返済ができなくなるから倒さないほうが良いとか、飛び道具の被害者の意見も聞いた方が良い飛び道具になるといったようにである。
一方で「シャミ子が悪いんだよ」はどうか。
ふつう、「〜が悪いんだよ」という発言は、自らの行為に対する責任を他人に転嫁するものととらえられる。「シャミ子が悪いんだよ」も、まさに千代田桃が百合乱暴という有り体に行って犯罪になりかねない行為に手を染める際に、その責任を吉田優子に転嫁するものである。
しかし、「シャミ子が悪いんだよ」のみでは理屈が示されていないのである。百合乱暴の文脈なら、吉田優子が誘惑したのが悪いなどといった理屈が後につくこともあろうが、それにしても「シャミ子が悪いんだよ」のみでは理屈は示されていない。
これは、前述の、千代田桃が吉田優子を丸め込む方法と矛盾してはいないだろうか。
そもそも、作中で千代田桃が吉田優子に対して悪いとわかっていても理屈を説明せず悪事を働く様子は見られないといってよい。そんな千代田桃が吉田優子に対して「シャミ子が悪いんだよ」などと言っているのだろうか。
安直な「シャミ悪」に注意
結局、「シャミ子が悪いんだよ」、あるいはシャミ悪は、二次創作のシチュエーション次第では言っているともいえるし、作中では言っていない。しかし、それでも描写されていないだけで言っているという説も捨てきれないし、正直な話言っていた方がおいしいので言っていてほしい。
とにかく、言っている、言っていないは個人の思うところに従えば良い。しかし、原作の描写にできる限り忠実に考える立場としては、安直なシャミ悪には気を付けるべきだ。そのシャミ悪は吉田優子を丸め込めるほどの理屈があるか、今一度立ち止まって考えるべきだろう。
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