おばけはえらい
おばけは本当に偉い。死後の世界のネタバレをしないからだ。物音を立てて脅かしたり、体調不良にさせたりするおばけはいるが、もしも自分がおばけになって生きてる人の前に現れることができたら、死後の世界のネタバレをベラベラと喋ってしまうと思う。地獄の気温とか天国はフワフワだとか、輪廻で目が回って酔わないようにする方法とか。なんなら心霊スポットに後輩のおばけたちを集めて、肝試しに来たヤンチャな子に向けて「おばけが選ぶ、本当に棺桶に入れて欲しい物ベスト10〜!」とか勝手に番組みたいなことをやってしまうかもしれない。それなのにおばけは「ばぁ!」で終わる。なんてロマンチストなのだろう。おばけには何かディズニーランドのキャストのような使命感を感じる。あの世というテーマパークで働いているプロのキャストであり、おばけは皆総じて「あの世リテラシー」が高いのだ。おばけの口が軽く、あの世の情報が筒抜けになってしまったら、きっと物事の全てのバランスが崩壊してしまうと思う。今もこうして世界のバランスを保てているのはおばけの口が堅いからなのだ。
ひょっとして口が堅い人しか死んでないのだろうか?とも思うかもしれないが、新作映画のネタバレすることだけを楽しみに生きてる人も同じくらい死んでいる。死とは平等なもので、そういうものなのだ。人は死んでおばけになると口が固くなるらしい。
とはいえあの世の情報というのは喉からどころか全毛穴から手が出るほど知りたいものであり、人類(だけじゃないかも?)が気になる共通のテーマであることは間違いない。生きながらにして死後の世界の情報を知る術はないのだろうか。おばけに拷問をしてあの世についての情報を吐かせれば良いのではと考えたが、拷問というのは死というものがあるから成立してるのであって、すでに死んでいるおばけにとってはノーダメージ、時間の無駄であるということにすぐに気づいた。死後の世界というのは秘密を守るには最高の環境なのだ。(地獄の釜茹でとかって死んでるのに辛いのかな)
逆お盆みたいな感じで1週間ほどあの世に行ける期間があれば良いのになと思う。あの世には肉に割り箸を刺して作った乗り物とかあって、我々生きている人間を迎え入れて欲しい。おばけだけお盆があってずるいし、ご先祖様に毎度ご足労おかけして申し訳ないのでいつでもこちらから出向きますよ。
話は逸れるのだが、おばけに匂いとか味ってあるのだろうか?「シャネル〜おばけの香り〜」という香水が出たらぜひ首や腕に振りかけて夜の街に遊びに行きたい。おばけだと思われて他の悪いおばけが近寄らないということもありそうだ。
味に関しては「ガリガリくんおばけ味」とか出てほしい。ナポリタン味とかやってたしそのくらい簡単にやってくれそうな感じはする(するか?)
おばけに味がなかったとしても、味のおばけっているのだろうか。死んだ味のおばけ。もう味がしなくなった、そのガムの味のおばけ。2、3日前に食べ殺した目玉焼きの味のおばけ。死んだ味のおばけがフワッといきなり口の中に戻ってくる、という心霊現象があったら楽しいと思う。(話というのは逸れたまま終わることもあります)
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