2022.8
8.3
ここ数日の猛暑で箱の中の温度は約46℃まで上がっている。
怪竜丸の発芽数は22のまま、うち状態の悪かった1つはやはり死んでしまった。闘鷲玉・パロディア属は発芽無し。孤竜丸は今日までに31個中3個発芽した。発芽するものとしないものの違いは何だろう。種による発芽条件の違いか、種子の状態によるものか、あるいは同条件下における発芽率の正常な偏りなのか、はたまたもう少し待てば発芽するのか。今のところ確かめる方法はない。
発芽しない種子は生きていないように感じられるが、発芽した途端生きているように感じられるのは面白い。
8.4
7.20に蒔いたパロディア属の種子と同じもので残しておいたものを蒔いた。本当は秋に蒔くつもりだったが我慢できなくなった。
7.20に蒔いたものは屋外で管理しているが、こちらは室内南向きの窓辺に置いてみようと思う。7.20の方が発芽しないのは高温が原因であるのならば、こちらは発芽するのではないか。
8.6
孤竜丸の種子2つからカビのようなものが生えているように見えた。
この対策と、他の鉢にも予防のために、殺菌剤を散布した。今回使ったものは先週使ったものとは異なる。「薬剤耐性菌」の発生を遅らせるために、系統の異なる殺菌剤をローテーションで用いるのが望ましいらしい(参考:殺菌剤の作用性とローテーション散布の重要性 | 住友化学園芸)。
8.9
8.4に蒔いた、室内管理のパロディア属の種子複数の発芽を確認した。置き場所の部屋は、長時間空調の効いている部屋で、鉢を置いている窓辺の温度は27℃から日の当たっている時の36℃くらいを推移していた。また鉢の置き場所は、時間帯に応じて日が差し込む南向き、西向きの窓辺に移動していた。日照時間は4時間くらい、日照の強さは窓ガラスとレースカーテン越し程度だった。
一方で、7.20に蒔いた屋外管理のパロディア属は未だに発芽していない。やはり高温が発芽しない要因だったのだろうか(他の条件も異なっているので断定はできない)。試しに、こちらも室内の同じ環境で管理してみることにした。発芽数が3(うち1つは発芽直後に動かなくなった)でストップしている孤竜丸も同じ管理にしてみる。闘鷲玉もそうしたいが、一緒の鉢に蒔いた怪竜丸の生育は順調のため、置き場所を変えたくない。そこで、土を掘り返して見つかった闘鷲玉の種子2つだけを室内の鉢に移しておいた。
8.11
8.4に蒔いた室内管理のパロディア属は25個中20個発芽している。孤竜丸、闘鷲玉も室内に移してから新たにそれぞれ2個、1個発芽した。置き場を変えた効果はあるようだ。他方、7.20に蒔いたパロディア属の発芽はまだである。怪竜丸は屋外管理で累計24個発芽してそれなりに生育している。
室内で管理している鉢は、大体の種子が発芽して、少し大きくなった段階で屋外管理に戻そうと思う。種子が発芽しない環境は、発芽した苗の生育にも適していないような気がするので、発芽したばかりのものはそこに置きたくない。
8.14
孤竜丸の発芽は31個中6個となった。
怪竜丸に液肥を与え始めた。参考サイトで見た通り規定倍率よりさらに1.5~2倍程度薄めたものを、霧吹きで与えた。これも参考通りに、10~15日おきに与えていこうと思う。
最近サボテンの事ばかり考えているが、もう少し、付かず離れずというか、付いたり離れたりの関係を築きたい。あちらの様子に注意を払うのは大事だが、こちらが注意を払っていない、大部分の長大な時間の内に少しずつ変化してくれるのが、サボテンのいいところだと思う。だのに、サボテンの時間に寄り過ぎて、時間の価値を皆サボテンに押し付けてしまっては、サボテンもうっとうしくて敵わないだろう。
8.15
8.4播種のパロディア属の種子の未発芽のもの1つからカビっぽいものが生えていたので鉢から取り除いた。
孤竜丸の発芽数は8になったが、そのうちの3つは発芽直後に動きが止まっていて、死んでしまったようだ。この現象は今育てているものの中では孤竜丸に固有なのだが、何が原因だろう。
8.16
7.20に播種して、8.9に屋外から室内管理に移行したパロディア属の種子30個の発芽が1つもないのが気になる。そこで、この種子が発芽しない状態に関する諸条件を整理してみようと思う。
まず、種子の状態が初めから悪かったせいで発芽しなかった、という仮説はどうか。先達の経験則によると、播種して1カ月経っても発芽しない場合は、この可能性があるという([平尾博, 1975, 『趣味の園芸・作業12か月⑤ サボテン』, 67, NHK出版. ] 、他ブログ等)。当該の種子は7.20に蒔いたのでもうすぐ1カ月経過するわけだが、これは考えにくい。8.4に播種した、同じ果実から採取した種子25個は今日までに21個発芽しているからだ。よって、7.20に播種した30個が偶然にも全部状態の悪い種子だったと考えるのは無理があろう。
あるいはこう考えるのはどうだろう。当該の種子が播種された環境は7.20から8.8までの間発芽条件を満たしていなかったと考えられ、そして8.9以降は鉢の管理を変えたために発芽条件を満たすようになったはずである。だから、発芽の準備が始まったのは8.9からであり、もうすぐ発芽するはずだ。・・・これもどうだろう。8.4に播種した、最初から発芽に適した環境で管理していた種子たちは、5日後には発芽が確認され、6日後には一斉に発芽を開始した。故に、この仮説が正しければ、8.9の管理の移行からもう7日経っている当該の種子も1つくらいは発芽していてもいいのではなかろうか。
この推論の統計的な正当性はよくわからないが、ここでは、次のように仮定してみる。すなわち、当該の種子は一定期間発芽に不適な環境に置かれていたために、その後発芽環境を整えたとしても、発芽しない、または発芽率が低い状態に移行してしまった。では、この状態をもたらした条件は具体的には何だろうか。
例えば、管理していた場所が高温になり過ぎて、種子が煮えてダメになってしまった可能性はどうか。しかし、全く同じ環境で管理していた怪竜丸は75%くらいの発芽率であるし、標本が小さすぎるが闘鷲玉も5個の内1個は(環境を変えてから)発芽した(孤竜丸も屋外管理していたが、全く同じ環境とは言えない)。無論、サボテンの種による種子の耐熱性の違いが影響している可能性は否定できない。また他には、当該の種子が全部カビにやられてしまったとは考えられないか。だが、少なくとも私の目視ではカビを疑われる存在を確認していない。まあ、もし今挙げた2つのいずれかが要因だったなら、もう対策のしようはない。
ところで、1つ、低発芽をもたらした条件として考え得るもので、対策可能なものがある。それは、「土が湿っている」かつ「その他の発芽条件を可逆的に満たしていない」という条件である。というのも、発芽しない種子の蒔かれた鉢を一度完全に乾かして、2~3カ月、あるいは半年程経ってから再び湿らせて管理すると、発芽し始める場合があるらしいのである(平尾, 前掲書, 67)。というか、この情報ありきでここまで長々と推論してきた感は否めない。
そこで、実験してみようと思う。当該の種子30個の内16個を鉢から取り出して、無作為に8個ずつにグループ分けする。一方をB、他方をCとして、
B. 常温で乾燥させる。
C. 冷蔵庫の中で乾燥させる。
という操作をしてから播種しなおしてみる。ただし、どちらのグループも乾燥させる期間は1日とする(2~3カ月どころか、1週間も待てない)。Cグループを用意したのは、サボテンの種子ではなかったかもしれないが、冷蔵してから蒔くと発芽がいいという情報をネットで見かけたからである。そして、鉢に残した14個をAグループとして、管理はこれまで通りとする。これで違いが出るかみてみよう。
8.17
昨日の実験のBグループとCグループの種を蒔いた。1週間くらい様子を見よう。
8.18
孤竜丸が、また1つ発芽直後に死んでしまった。これで計4つである。これと別の種子も1つ発芽していたので、こちらには発芽直後を乗り切ってもらいたい。
パロディア属の苗(8.4播種)で、横を向いていたり逆さになっているものを爪楊枝で起こした。過保護な気もするが、そうするよう本にも書いてあった(平尾, 前掲書, 67)。発芽して2週間もすると、多少つついても大丈夫そうな硬さがあった。
実験の途中経過:
グループ 発芽率
A 1 / 14
B 0 / 8
C 0 / 8
8.19
以前、孤竜丸の種子でカビが生えているように見えたものを、取り除いて別に管理していたのだが、その種子が発芽していた。カビだと思っていたものはカビではなかったのだろうか。それとも、カビが生えたのは種子の表面の果肉だけで、種子の中身には影響がなかったのだろうか。
実験の途中経過: 昨日と同じ。
8.20
鉢を購入した。サボテン・多肉植物用の鉢としてネット上で定評があるものは、「プレステラ」、「FR鉢」、「ミニ蘭鉢」、「セラアート」辺りだと思うが、今回はあまり評判を聞かない鉢を買ってみた。買ったところは、植木鉢の通販で有名な所沢植木鉢センターで、買った鉢は「Q ポット」というものである。Q-202・Q-303・Q-404の3サイズを買った。
見た感じ、ちゃんと使えそうな鉢だと思う。特にQ-303とQ-404は細すぎず太すぎずで、単頭植え、小苗の寄せ植えのどちらにも使えそうだと思った。Q-202は、私の場合は使い時が限られるかもしれないが、(育てたことないが)リトープスとかを植えるのにちょうどいいかもしれない。
懸念点を挙げるとすれば、鉢の足が線状で接地面が小さいため、置き場所によってはバランスを崩しやすいかもしれないことか。しかし、大抵の場合は大丈夫だろうと思う。
実際に使ってみての感想、は大きくなった実生苗を植え替える来年以降になるだろう。
実験の途中経過: 昨日と同じ。
追記:
追記終
~
もう間もなく入試である。しかし、私にとっては5万円 + 諸経費の小旅行である。ちゃんと試験勉強しておけばよかった、とは全く思わない。それは決して起こり得ない仮定である。ただ、試験のことは無視して、ちゃんと学びたいことを学んでいればよかった、とは少し思う。
興味があるのは、試験が終わった後である。それ以降も数学を学ばないままだったなら、私が憎んでいたのは、試験ではなく、数学そのものだった、ということになる。
私は数学が得意だとは思わない。また、手放しに好き、とか、楽しい、とも言い難い。むしろ、一時的に耳の聞こえが悪くなったり、悪夢にうなされたり、息が苦しくなったりと、苦しい思い出が多い。それでも、私は3年間数学を続けてきた。数学には魅力があった。
嫌いになってしまったのなら、仕方のないことだが、寂しいことである。
~
8.21
孤竜丸の発芽数は31個中14個、うち生存数は10個となった。ここ数日でまばらに発芽数が増えている。暑さが落ち着いてきたからだろうか。
屋外管理している怪竜丸の苗の多くが茶色くなっていて、土と見分けがつきにくい。この茶色や赤に変色する症状に対しては、遮光を強くした方が良いという情報と、そのままで問題ないという情報の両方があり、どうするか迷う(参考:
・【ガーデニング】Howto サボテンの種まき 約2週間後, protoleaf.
・サボテン種まき:1週間〜1ヶ月後の育成方法【実生】, 【コバ・アミーゴ】植物チャンネル.
)。
実験の途中経過: 昨日と同じ。
8.22
カビの予防のため殺菌剤を散布した。
実験の途中経過: 昨日と同じ。
8.23
実験の途中経過: 昨日と同じ。発芽はまだだが、種子の蓋の部分が開きかけていて、もうすぐ発芽が確認できそうだ。
ところが、タイミングが悪いことに、明日は観察ができない。明後日が楽しみだ。
8.25
実験の途中経過:
グループ 発芽率
A 1 / 14
B 2 / 8
C 1 / 8
8.26
孤竜丸と8.4播種のパロディア属は発芽がひと段落して、刺座が生えるくらいに成長した。外も少し涼しくなってきたので、これらの鉢は怪竜丸と一緒に屋外で管理することにする。実験中の鉢はもう1週間くらい室内で様子を見る。
屋外で管理しているものに液肥を与えた。
8.29
孤竜丸の発芽は31個中16個、生存数10個。相変わらず発芽直後に死んでしまうものが出ているのだが、何を対策すれば良いのか見当がつかない。
土の表面に緑のコケが生え始めたが、今のところ実害はない。
8.16に始めた実験の暫定的な結論をまとめておく。
まず、7.20に蒔いたもの(A + B + C)と8.4に蒔いたものを比較する。結果は下表のようになった。
ここで、「播種の日付およびその後の管理環境と、種子の発芽という事象が独立」という仮説を立てると、χ^2検定により、この仮説は危険率0.5%で棄却できることがわかる。他の種の種子の発芽状況から類推して、8.4のほうの発芽状況が「正常」と見なせると思う。従って上の結果から、7.20のほうは管理環境の何らかの不備により発芽率が下がってしまったと考えられる。
次にAグループとB + Cグループを比較する。結果は下表のようになった。
ここで、「A(そのまま)とB+C(種子を取り出して乾燥させて蒔きなおした)の違いと、種子の発芽という事象が独立」という仮説を立てると、χ^2検定により、この仮説は有意水準10%で棄却できない。つまり、AとB+Cの違いが、種子の発芽に影響を与えたとも与えていないとも言うことができない。せいぜい言えるのは、発芽率が下がってしまった7.20のほうも、4つは発芽してくれて良かった、ということくらいである。
BとCについては、標本が小さすぎるので比較してもしょうがないと思う。
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