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Gods know...

私はクリスマスが大好きだ。

どこもかしこもキラキラして、赤や緑の飾りですごく綺麗になって、プレゼントがもらえる年齢じゃなくなっても不思議と何か楽しいことが起きそうな気がしてわくわくする。

一年間で唯一、世界中のトンマナが揃っている感じがして、どこを歩いていても気持ちがいい。

そんな大好きな季節が終わってしまった。

しかも、今年は12/1に思い立って一人アドベントカレンダーを書き始めたけれど、なんやかんや寝落ちしてしまったり、会社の先輩方と遊びに行って燃え尽きてしまったりして、完走することができなかった不完全燃焼感もあった。
(人のせいにするな)

その上さらに、私はあんまり帰りたくないけど母から「帰ってきなよ」と何回も連絡が来ていたので、根負けして年末休み初日に帰省することが決まっていた。
ほんとは自分の家でのんびり漫画を読んだり筋トレしたりして過ごしたかったんだけどな…。

そんなこんなで私はどこかジメジメした気持ちで年末休みを迎えていた。

なぜかよくわからないけど、私は高校くらいのときから毎年クリスマスが終わる時期に、困った出来事に巻き込まれたり友だちに嫌なことをされたり(これについては思い出すとつらいので詳しくは書きません)していて、何年か連続でジメジメした年末休みを送っていた。

友達からは「ダイハードみたい」と言われている。
今年もダイハード確定だ。


今日はそんなダイハード初日だった。
朝起きるとめちゃくちゃ頭が痛かった。
昨日の深夜、ムシャクシャして名古屋のC1を走り回ったせいだ。

時計を見ると、もう母と弟が家に遊びに来る約束の時間まであと一時間を切っていた。
母と弟が新居を見たいというので、一回家に来てもらってそのあと実家にみんなで帰ることになっていたのだ。

もちろん家族は私がムシャクシャするとC1を走り回ってしまうようなならず者だと知らないので、心配させないように元気に振る舞わないといけない。
初日からいきなりかなりのダイハードモードだった。

私の家族、特に母は私のことをすごく心配する。
無用な心配されること=自分の限界を決められること、と思っている私は、母のそういうところが苦手だ。

だから心配されないようにしないと!と思い、私は「うお〜!」と言いながら急いで部屋を掃除した。
※私は気合を入れたい時本当に声に出して「うお〜!」と言います


しばらくしてインターホンが鳴った。
母か?!と思ったら、ヤマトの人だった。
注文していたテーブルと椅子が届いたのだ。

これで私が段ボールの机でご飯を食べているって家族にバレなくて済むぞ、と思い、嬉しい気持ちで椅子と机を組み立てた。

ジメジメ年末休みに一条の光が差し込んだような気持ちだ。

とりあえずチョコちゃんを座らせてあげました


母と弟が家に来た。
弟はもともと半分ニートみたいな感じの生活をしていたのだけど、会わない間に髪が伸びてかなりニート感が増していて、複雑な気持ちになった。

「思ったより綺麗!」とか「ちゃんと家事してるね!」と言われてモヤモヤした。
実家にいた時から家事はちょいちょいやってたじゃんか!


実家に帰る車中、私はなんだかどっと疲れて爆睡してしまった。
気がついたら家だった。

到着したらどんな気持ちになるんかなと思っていたけど、不思議と思ったよりも懐かしく感じなかった。
昨日までも普通にここに住んでいた感覚がした。

実家に来たはいいけど、好きな漫画も鑑賞用のフィギュアもほぼ全部新居に持っていってしまっていたので、やることがない。
ゲームも、ニートもどき弟がいつも独占しているのでできない。

私は居た堪れなくなって、はじめて帰省してから30分も経たないうちに

「ちょっと高校の友達からLINE来たでカラオケ行ってくるわ!!」

と言って家を出た。
もちろんこれは嘘で、いつも通りヒトカラだ。
なんちゅう親不孝者だ。

「一人です。あ、2時間、あっ、1時間でお願いします」

カラオケのレジでちょっと家族に悪いことをしたなという気持ちが芽生えて、予定よりも1時間少なくすることにした。
高校の友達も忙しそうだったからさ〜とか言えば、早く帰ってきても怪しまれないだろう、とか考えていた。

ここのカラオケは音漏れが半端なくて、大体廊下を歩いていると「10番の部屋から髭男が聞こえるぞ」などと推定ができてしまうレベルなのだが、年末休みだからやっぱり若いグループが多いようだった。

私はヒトカラをするにはあまりにも広い部屋に当たった。
混雑していて、人数に合った部屋を割り当てている暇がなかったのかな…。

私は、ジメジメ年末休みメンタルを少しでもマシにしたいと思い、
「音漏れとか気にせず好きな曲歌うぞ!」
と意気込んだ。

いつもは簡単な曲を適当に入れてウォーミングアップするところ、今日は一時間しかないのでいきなりGLAYの「Winter, again」を入れた。

歌っている途中「TERUめっちゃ寒そうだな…(PVの映像)」などと雑念が入って、採点に87点をつけられた。
しかも「ビブラートが安定しません」とか言われた。

がんばって歌ったのに90点超えられないなんてモヤモヤする。
今日は気分を晴れさせるために来たんだぞ!

今思えば「カラオケごときでなんでだろう」という感じだけど、私はその時すごくムシャクシャした。
そして早くも「例のアレ」を発動することにした。


人に誇れる能力がこれといって特にない、つまらない私だけれど、一つだけ人に誇れる技がある。

それが、「例のアレ」。

自己肯定感がドン底まで落ちてしまったとき、自分で自分を励ますため大学時代に編み出した奥義。


それは、「T.M.Revolutionの曲を歌って90点以上取ること」だ。


やったことのない方には想像もできないかもしれないが、これをやるとすごく自分に自信が持てる。

カラオケの採点なんて正直ゲームみたいなもんだから、本当に歌が上手いのかというとそうではないのだけど、TMで90点以上は本当に自己肯定感が上がるのだ。
西川兄貴に認められたような気持ちになる。

そして、私はT.M.Revolutionの曲をヒトカラで歌うと必ず90点以上を出せるという特技を持っている。

つまり、TMを歌うと100%の確率で自己肯定感を上げることができるのだ。
(人前で歌うと緊張してしまって85点くらいになって失敗する)


アレをやるしかない。
自己肯定感と引き換えに、明日はきっと天龍源一郎だ。
でもやるしかない。
ジメジメ大晦日はもうごめんだ!

(ここからダイジェスト)

INVOKE。
ガンダムの曲。
文字数が多く、ビブラートを入れにくいのであまり得点は伸びないが、アニメ映像を選択するとガンダムの映像を見れて元気がでる。

渋めの曲に挑戦するといいらしい


WHITE BREATH。
凍えそうになるやつ。
歌詞がアレなので人前では絶対歌えないけど、この曲はすごく得意だ。
ロングトーンもちょこちょこ入って気持ちがいい。

鬼に金棒らしいよ


HEART OF SWORD。
るろ剣の曲。
るろ剣は「フタエノキワミア"ーーーーッ!」の空耳しか知らないけど、この曲は大好きでいつも歌う。
歌詞もすごくいい。

私も清々しい気持ちになった


HEART OF SWORDで94点を叩き出し満足した頃、ちょうどあと終了5分前くらいだった。
さっきまでのモヤモヤが消えて、かなり清々しい気持ちになれていた。
家族には悪いことをしたけれど、カラオケに来てよかった!と思った。

最後あと一曲は、いつも決めている。
もう歌えないよというくらい歌った後に、「God knows…」で喉を完全に破壊して退出するのが私のルーティンだった。

日本の数多くのオタクたちに元気を与え、そして今も現在進行形で与えているレジェンド級アニソン「God knows…」。
「涼宮ハルヒの憂鬱」の挿入歌だ。
私が勝手に「綾」界の神として崇めている平野綾さんが歌っている。

イントロのハイハットで一気に緊張感が走る。
この曲は大好きだけど、若干私にはキーが高めで、最後のサビを歌い切るころには確実に喉が死ぬ。

覚悟を決めて、歌い始めた。


うれしい

歌い切った。
最後のサビでやっぱり喉は死んだ。

天龍源一郎になった私は、レジでほとんど言葉を発さずお金を払って帰路についた。
お店を出ると、すっかり日が落ちて暗くなっていた。

家に帰らなきゃと思うと、すっきりしたばかりの気持ちが若干また沈んだ。
でも、これまで心配をかけたのだから帰らなくちゃな…と思い、寄り道せず帰った。


帰り道、私は本家の「God knows…」を聴いて帰った。
やっぱりハルヒが歌ってるのが一番だな、と思った。

そんでもって、歌詞がいい。

暗い未来だって
強くなって運命変えられるかもね
My Wish 叶えたいのに
すべてはGod knows

特に「強くなって運命変えられるかもね」のところがすごく好きだ。
シンプルだけど、シンプルに希望が感じられるし、勇気が湧いてくる。

私は、毎年大好きなクリスマスが終わって年末休みに入るだけで気持ちが滅入ってしまうような弱い人間だけど、これから強くなってそれを変えていけるといいな…と思った。

メンタルが弱いことは自分のコンプレックスだけど、ハルヒが「運命変えられるかもね」って言ってくれるなら頑張るよ!と思った。


ところで、この「God knows…」っていうタイトル、いつも「英語の文法的には一神教だよな」というのが気になる。

Godは単数系、knowには三単現のsが付いている。
確実にこの曲の世界には神は一人しかいない。

普通に訳せば、一人の神が、私たちの運命を知っている「神のみぞ知る」状態だということになると思う。

でも、日本はどちらかといえば多神教だ。
「涼宮ハルヒの憂鬱」も日本の話だから、本当は「Gods know…」になるのかな?というのが気になる。

私たちの周りにたくさんいる神々が、私たちの運命を知っている。

もっと言えば、私の周りにたくさんいる神々は私の運命を知っているけど、私は私の運命を知らない、ということになるのかな?

なんか、中学の時クラスの恋バナに私だけ入れてもらえなかった時のことを思い出して悲しくなった。

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