修習生の立場で最も気になることの一つが起案をどうすればいいかということであろう。
ほとんどの人は修習に入って初めて起案をするのであるから不安に思うのも仕方ない。
もっとも,全員がヨーイドンで同じ場所からのスタートだと思っていると足元をすくわれる事態になりかねない。
つまり,弁護士志望は別だとしても,任官任検志望は少しでもスタート位置を前にしようとして,修習に入る前から準備してくるのである。
また,法律の世界における学説や実務の運用が日進月歩なように,教官室の考え方も変化しうるものであり,この記事に記載されていることが古くなることも当然の時代の趨勢である。例えば,今でこそ刑事裁判起案では意味合い・重み教育がなされているが,実は割と新しい概念である。
そのため,もしこの記事と教官の教えている内容が異なっているのであれば,教官の教えている内容が正しいと思ってそれに従うこと。
また,起案は所詮相対評価なので,評価が低かったからといって必ずしも出来が悪かったとはいえないことはよく認識しておくべきである。
本当に問題の有りそうな人は,起案のコメントでその旨書かれたり,教官から面談しろと言われるので,そうでなければ,みんな優秀なんだな,みんなと一緒に無事に試験突破しようと思うぐらいで考えておくこと。
なお,ここだけの話,任官任検志望者がやっていることが多いが,修習記録のコピーを取ったり,そのコピーデータを人から受け取ることは,秘密保持義務違反であり,非違行為として懲戒の対象になり得る行為なので,絶対にやってはならない。修習記録は地名や人物名などがだいぶアレンジがされているとはいえ,実際の事件を元に作られていて,基本的な事実関係は変わってないとのことなので,関係者が見れば一発でどの事件か分かると思われる。法曹三者が守秘義務のもとで社会から信頼されて業務を行えていることを忘れてはならない。
どうしても実際の起案のイメージをしたい人は,先輩の起案や答案構成などを見せてもらうぐらいに留めること(起案や答案構成用紙,科目によっては起案要領は回収されずに手元に残る)。
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