私は,法律家の血液と髄液とリンパ液の主成分はエタノールだと思っている。それほどまでに法律家は飲み会をよく行う。
 司法修習生であってもそれは当てはまり,やれクールが始まった,やれ教官が来た,やれクールが終わったなどと理由をつけては飲み会が開催される。
 そこで,今回は法曹三者の飲み会事情について記載する。
 なお,これから飲み会事情についてズラズラと書き連ねるわけであるが,当然の前提として,話が面白かろうがつまらなかろうが,1円でも10円でも奢られたら感謝する気持ちを忘れてはならない。そして,その気持ちは必ず声に出して相手に伝えること決して「奢られて当然」という気持ちでいてはならない。そういう気持ちを持っているような人物は飲み会に参加してはならないというのは火を見るより明らかである。

1.裁判官


 ロースクールなどに実務家教員として来ているような人は置いておいて,普通に裁判所で裁判官をやっているような人は,飲み会においても良い意味でも悪い意味でも真面目な人が多い。
 そのため,飲み会に参加して面白いかというと,ためになる話は聞くことができるが,正直なところそんなに面白いものではない。
 それと,裁判官は全体的に浮世離れしているような人が多いので,何時間も一緒に飯を食いながら話したところで,充実感を得られるかというと微妙である。
 終わる時間は遅くないが,若干ダラダラとしているという印象。
 所長や部長などの偉い人はたいだい一次会で帰り,若手判事と修習生が二次会に行くことが多い。
 金払いについては,悪いものではない。だいたい一次会は傾斜をつけた上で会費を取られるが,二次会は修習生はおごってもらえることが多い。

2.検察官


 検察庁自体が伝統的というか旧態依然とした組織なので,飲み会も典型的な日本の企業の飲み会といった雰囲気である。
 検察庁から飲み会の店までどのような動線で移動するか,誰が上座に座り誰が下座に座るか,どこが修習生の席でどこが検察官の席か,司会を誰がやるか,注文を取り仕切るような幹事を誰がやるか,乾杯の挨拶・締めの挨拶を誰がやるかなど,未だにそんな飲み会あるのか,みたいな飲み会をやっている(つまり,もし司法修習生が検察庁での飲み会を開催することになったら,これらの点について決定して幹事を行わなければならない)。
 話は面白い人が多いが,なんとなく雰囲気がおっかない人が多いので,盛り上がるかはなんとも言えない。飲み会も検察庁独特の雰囲気を引きずっているため,検察庁の雰囲気に合わなければ,飲み会の場も地獄以外の何物でもない。ただ,早めの時間でパッと終わって解散になることが多いのは,飲み会が多く,毎朝の登庁時刻も早い修習生にとっては好都合である。
 検事正や次席検事などの偉い人はだいたい一次会で帰ることが多い。裁判所と同様,二次会は若手検事と修習生で行くことが多い。
 金払いについては,法曹三者の中では一番悪い。一次会は傾斜をつけた上で会費を取られ,二次会ですら一部負担させられることもある。

3.弁護士


 弁護士自体数多くいて,十人十色感があるのでなんとも言えないところはあるが,法曹三者の中では一番人間的であり,話の内容が一番欲求的である。
 その点では話しやすいといえば話しやすいかもしれないが,人間のそういう面を見るのが嫌いな人からすると,嫌悪感を覚えながらその場を過ごすことになる。
 また,なんだかんだ弁護士は法曹三者の中でも一番実入りが多そうであり,また,事務所の経費というのも存在することから,金の心配をそんなにする必要がなく,その上,自由業みたいなところがあって翌日に期日が入っていなければ出勤しようがしまいが,何時に出勤しようが関係ないので,飲み会がn次会までダラダラと続く印象がある。
 更に厄介なことに,人によっては,弁護修習の指導担当弁護士から,弁護修習でもないにもかかわらず,飲み会に参加する旨の呼び出しを食らうことがあるらしい。指導担当弁護士は成績評価も担当するため,十分パワハラになり得る行為だと思われるが,当事者になったからといって,修習生全員が全員研修所にチクれるかというとそういうわけでもないので難しい。
 弁護士は若手だろうがベテランだろうが関係なく,二次会に行きたい人は行き,一次会で帰りたい人は帰るという印象。
 金払いは良い。前述のように金の心配をする必要がないというのもあって,基本的に修習生は負担しない。

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