第1 概要

 司法試験に受かり無事に司法研修所に司法修習生として採用されると,12月の初旬からだいたいクリスマスぐらいまで,埼玉県和光市にある司法研修所に通うことになる。
 これがいわゆる導入修習というものである。
 月曜日から金曜日まで,10時くらいから17時くらいまで,1時間程度の昼休みをはさみ,以下のようなカリキュラムをこなすことになる。

第2 具体的な内容

 1.講義
  基本的には講義である。
  イメージとしてはロースクールのソクラテスメソッドみたいなのをイメ   
 ージしてもらうと分かりやすいが,あれほどゴリゴリ詰問することは少な 
 い印象である。
  講義中に舟を漕いでいるような人や,人によっては予習すらろくすっぽ
 やらないような人もいるらしいので,そこまで心配しなくてもいいと思
 う。
  ただし,クラスによって間違っても笑って済まされるようなクラスもあ
 れば,間違えると空気がピリつくような殺伐としたクラスもあるらしい。 
 どちらになるかは教官の性格というよりも,クラスの構成員の雰囲気によ
 るものと思われる。

 2.演習
  もう一つのカリキュラムの柱としては演習がある。
  だいたいは事前に検討した内容に沿ってグループワークを行ったり,グ
 ループワークの結果に基づいて実演を行うというものである。
  一応,導入修習では成績はつけないというのが公式のルールになってい
 るらしいが,任官・任検希望者は何もしないよりも,実演では積極的に手
 を挙げるなどして参加するとアピールにはなると思う。

 3.導入起案
  導入修習中に,導入起案というものが行われる。
  各科目について行われ,だいたいどれも半日で行われる。
  やることはハーフ起案(犯人性など特定の争点についてのみの起案)が多
 い。
  これも公式には成績はつけないということになっているが,どう考えて
 も各人の出来は把握しているはずなので,任官・任検希望者はちゃんと対
 策をしたほうが良いと思われる。それ以外の人は,事前課題やそれまでの
 導入修習で勉強したことが上手く再現できるかという力試し的な心意気で
 やるといいと思う。
  いずれにしても,どうせ二回試験の勉強になるので,適当にやらずにベ
 ストを尽くすのが良いと思われる。

 4.面談
  任官・任検に少しでも興味がある人は教官にアポイントメントを取って
 面談をしてもらうことになる。
  詳細については別記事を参照されたい。

 5.その他
  導入修習では昼食会なるイベントがある。
  各自が弁当などを持ち寄り,教室で昼食を食べながらクラスメートの自
 己紹介を聞く。
  当然のことながら,順番が回ってくれば自分も自己紹介をすることにな
 るので,1分ぐらいでいいから自己紹介の内容を考えておく(そもそも,司
 法修習に行くと自己紹介をする機会は何回もあるので,自己紹介のネタぐ
 らいは用意しておくのが望ましい。典型的なのは,出身地,趣味,修習地
 を希望した理由など。)。
  クラスによっては,クラスの教室以外の部屋を使って,「女子会」なる
 イベントが開かれることもあるらしい。やることは女性修習生と女性教官
 が参加する昼食会のようなものだそうだ。
  また,飲み会も非常に多い。
  修習初日にクラスの懇親会が開かれる(しかも,無言の圧力で参加せざる
 を得ない感じになる)こともあるし,それ以外の日でも同じ修習地の人たち
 で飲んだり,寮に入っている人だと寮生同士で飲む機会が頻繁にあるらし
 い。
  導入修習の最終日には導入修習の打ち上げと称してクラスの飲み会が開
 かれるので,和光駅前の居酒屋は修習生で埋まる(なので,もし打ち上げの
 幹事を引き受けてしまったら,早めに予約を取っておくべきである)。
  導入修習にしても分野別実務修習にしても,修習においては,話せる相
 手を作っておいて損はないので,長い付き合いをするかどうかは別にし
 て,なるべく飲み会に参加したほうが良いというのが私見である。ただ
 し,修習に影響しない程度にしておくこと。

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