第1 やること

 1. 講義
 修習地によると思われるが,捜査の内容や修習中にやること(捜査の心構え,捜査から終局処分までの流れなど)について講義がある修習地もあるようである。
 また,その一環として実際の取調べを行う前に模擬取調べを行うこともある。
 外部から講師を招いた講義については,感想文の提出を求められることがある。

 2. 捜査
 事件記録が警察から送られてくると,修習生に配点される。
 配点されたら,とりあえず記録を読み,捜査上の問題点,足りない部分,取調べで聞くことなどを検討し,警察と打ち合わせをしたり補充捜査の指示をしたりする。
 一通り検討が終わると,被疑者を呼び出す。呼び出す方法は電話が主だが,場合によっては郵送で行われる。
 呼び出された被疑者について,修習生が取調べを行い,調書を作る。
 その後,記録の内容や,補充捜査の結果,調書の内容等を勘案し,終局処分の内容を決定し(不起訴,起訴猶予,略式請求,公判請求など),決裁資料を起案した上で,決裁をしてもらう。
 部制庁であれば部長決裁のみだが,部制庁以外だと次席検事と検事正両方の決裁が必要になることがある。
 決裁では,事案の概要の説明,終局処分の内容と,その処分に決定した理由などを説明する。


 3.起案
 身柄事件が来ると,ほとんどの場合,弁解録取の後で勾留請求を行う。そのため,勾留請求書を起案し,場合によっては接見禁止等請求書や勾留延長請求書なども起案し,決裁を受ける。
 2.でも書いたように,決裁資料について起案をする。決裁資料についてはテンプレートが検察庁のパソコンの中に入っている場合もあり,また,「検察終局処分の考え方」や「検察講義案」などの白表紙教材に例が載っているのでそれを参考に起案する。
 終局処分が決定したら,その事件について被告人質問事項を起案したり,冒頭陳述要旨や論告について起案することもある。

 3. 全国一斉起案
 検察修習が始まって2日目とかの早い段階で研修所の起案が行われる。
 そのクールに検察修習をやっている修習生全員が受けるから「全国一斉起案」という名前らしい。
 起案は朝から夕方まで。お昼休みはあるが,庁の外部に出られない,会話禁止,お昼休み時間も起案可なので,事実上お昼休みは存在せず,起案しながら昼食を取ることになる。
 なお,検察起案は判例付き六法は使えず,判例のついていない六法が必要なので注意すること。
 具体的内容については別記事を参照されたい。
 起案実施の数週間後に研修所の教官が来て,講評が行われる。
 講評の後で教官と一対一の面談がある。

 4. 施設見学など
 修習地によっては,外部の施設の見学を行うことがある。
 タクシーに乗ることもあれば,検察庁の車で移動することもあるようだ。
 なかなか行けない施設ばかりなので,行って面白いとは思うが,行くとだいたいいつも感想文を書くことになるのが玉に瑕。
 司法解剖の見学もできることがある。司法解剖は当然のことながら司法解剖の対象となる遺体が無ければ行われない上,タイミングが合わないなどの理由で司法解剖の見学ができない場合もある。もし司法解剖の見学ができることになっても,強制ではないので,見たくないのであれば見たくない旨言えば見なくて済む。また,見ている途中で気分が悪くなっても,一言言えば解剖室の外に出ることは可能。なお,昔は「司法解剖に行った日は夜に焼肉を食べに行く」などという話があったが,現在でもその慣習が続いているかは不明。
 

第2 その他
 検察庁では,情報セキュリティの観点から,検察庁備え付けのパソコンを使うことがある。ネットにも繋がってないし,USBメモリーなどを挿すことも論外なので,情報セキュリティには気をつける。たとえ自分で用意したUSBメモリーでなかったとしても,USBメモリーを挿さなければいけないときは,挿してもよいパソコンを用意してもらう。
 

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