分野別実務修習各論(その4 刑事裁判)
第1 やること
1. 記録の閲覧
民事裁判では,手続きを傍聴する前に記録を検討することが基本である。
ところが,刑事裁判では予断排除の原則があるように,第一回公判を経ないと証拠が出てこないのが原則である。
そのため,とりあえず起訴状と書記官が作成した事案メモだけに目を通して傍聴に臨むことも少なくない。
もちろん,第一回公判を経たような事件については,記録に証拠や調書が入っているので,それを見てから傍聴をするのが望ましい。
傍聴が終わると,裁判官との議論タイムに入ることが多い。
実体法の問題から,手続きの問題,事実認定の問題に至るまで,様々な話ができるタイミングなので,積極的に話せば裁判官としては嬉しいと思う。
もっとも,裁判官はだいたいいつも忙しそうな上,話しかけづらい雰囲気の人も多い。また,話を振ると,自分の意見を言わされたり,条文について質問されたりするので,ヤブヘビではないがめんどくさい事態に陥ることも少なからずある。
2. 傍聴
公判手続や裁判員裁判に向けた打ち合わせ,公判前整理手続,裁判員裁判の評議などを傍聴する。
傍聴席で傍聴する場合と,柵の中で当事者と裁判官の間の椅子に座って傍聴する場合がある。
原則は前者だが,自分が検察修習で扱った事件など,被疑者・被告人と話した事件については,傍聴席で傍聴することになる。
傍聴する時は白表紙教材や六法,メモ帳などを持ち込むことは可能であり,柵の中で傍聴する場合は起訴状のコピーを持ち込むことが可能なときもある。
当然であるが,傍聴中は最低限のマナーを守る必要がある。寝るのはもってのほかであるし,足を組んだりするのも,本人に自覚がなかったとしても,傍から見ていればマナー違反である。
更に,裁判員裁判の評議については,裁判員に影響を与えるような行為については一切禁止される。裁判員を見て頷いたり首を振ったりするのですら禁止されるので,黙って座って動かずに見ているしかない。
裁判員裁判の評議は滅多に見られるものではないので,見られたらむしろラッキーである。事件がないと当然裁判員裁判も無いので,評議が見られない人が出てくることもある。そういった人は,選択型実務修習で刑事裁判のコースを取れば見られる可能性が上がる。
第2 その他
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