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条件計算の練習法

大平です。下半期になり秋には決定戦シーズン。決勝を配信で視聴する方も増えてきました。また、一般参加できるタイトル戦への参加者も増加傾向です。そこで、条件戦についての話に絡めて「大平が新人の頃にやっていた条件計算の練習法」を紹介します。

これを読めば、麻雀観戦の楽しみ方が広がり、もしも麻雀大会の決勝に残った時に少しの参考になるかと思います。(条件戦に慣れていない人向けです)

■条件戦とは

私がここで話す条件戦とは【半荘or局単位で、満たせば勝利が確定する条件のもと打つ麻雀】のことなので少し狭い意味です。

実際は競技麻雀においても「別卓次第の場合」とか「勝利を目指すためには選択肢が狭まってきた場合」にも条件戦という言葉を使いますし、条件を満たせばトップになるけどトップじゃなくても敗北が確定するわけではないフリー麻雀等でも使われたりします。

■勝利とは

ここでは「4人で打つ決勝戦で、優勝」として話します。次回があれば書くかもしれませんが、これも狭い意味での勝利です。

前置きが長くなりましたが【決勝の最後の半荘or局で満たせば優勝する条件の計算の練習方法】であることを踏まえて読んでみてください。

■条件戦のキモ

その1:最終半荘開始前のトータルポイント差を正確に把握し、勝利条件を理解する

その2:開始後は点棒が動くので現状のトータルを意識しつつ、条件を満たすためにがんばる

その3:オーラスは何点をどうアガれば条件を満たすのかを把握し、がんばる(実際の決勝では他家の条件や、次局に望みを繋げられるのかどうか等いろいろ考えます)

ついでに、その0:最終半荘になる前に「その1」のトータルポイントが自分に有利なものになるよう途中から意識しはじめています。

ざっくりとしております。紹介する練習方法は「その1」と「その3」の太字部分について【仮想の場数を踏んで慣れる】というものです。

■仮想の場数(開始時トータル編)

これから決勝の最終戦、として4人の現状トータルポイントを適当に作って紙に書いてみます。こんな感じです。

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かわいそうなトムです。それはさておき、最終戦の勝利条件を考えてみましょう。「自分」がいないじゃないか、と思うかもしれませんが立場を入れ替えて練習できる方が1問で何度もオトクなので、名前は適当に。ABCDでもいいです。ぱっと見、練習にちょうど良さそうなのは「中の」の立場ですが、何故か隠れ家割烹みたいに半分ひらがなにしてしまったため「田中」の勝利条件について考えてみましょう。

まず、ポイント差を計算して記入しておきます。

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田中が優勝するためには①山田を捲り、かつ②中野とトムに捲られない必要があります。ちなみに「捲る(まくる)」は逆転して上位に立つの意味ですが、私は麻雀を始めるまでこのような使い方を聞いたことがありませんでした…。おそらく競馬用語からきているのですが、よく使うので馴染みのない方はこれを機に覚えると吉だと思います。

最高位戦ルールを例に話をします。各人の半荘でのポイントは「素点(30000点を基準にした浮き沈みで1000点を1pとして計算)と順位点(トップ+30、2着+10、3着△10、4着△30)の合計です。

同点がない限り、半荘の結果には順位点で20pずつ差が付くことが確定しているので、条件計算は順位点をベースに計算します。

【対・山田】山田との差は31.3p。山田よりひとつ上の順位だと順位点で縮まる差は20p、素点で11.4p上回らなくてはいけないことが分かります。ふたつ上の順位だと順位点だけで40pの差が付くので素点は何点であれ逆転できます。

【対・中野】中野(もう漢字にします…)との差は12.4p。これは順位点で付く差、20pより小さいです。こういう場合は、この半荘の順位が上の方がトータルも上位になることが決まっているので、よく「着順勝負」といいます。つまり中野より上の着順であればOKです。

【対・トム】トムに捲られることはあまりありませんが、練習なのでぜひトムの優勝条件も考えてみてください。

最高位戦の順位点で説明しましたが、25000点持ち30000点返し(いわゆるオカがある場合)のルールの場合も、オカは別計算せず順位点の一部とするのが分かりやすいです。トップ+50、2着+10、3着△10、4着△30のように考えます。

配信で決勝を観戦するときにはこのメモを用意し、各選手の条件を自分で計算して、現状誰が優勝なのかを追いながら見ると、さらに仮想の場数を踏めます。

なお、ピンクの紙がもしかしたら見づらくて申し訳ないですが、これは大きめの付箋です。私は実際の対局でこれを使いがちです。何かのはずみで床に落ちる心配がないのと、可能な場合は卓のへりに貼るとポイントを確認したいときも卓上から目を離さなくて済むので、便利です。でも付箋を忘れてレシートの裏でも勝つときは勝つので、あまりこだわらなくてもいいです。

■仮想の場数(オーラス編)

いよいよオーラスがやってきました…。というテイで、また南3局までの仮想の点棒状況を作って、オーラスの優勝条件を計算する練習をします。

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適当にこんな感じで…。これも誰がどれとか決めない方が入れ替えて何度も練習問題として使えます。一旦左から順番に山田・田中・中野・トムとしましょうか。分かりやすいように席順もラス親をトムとします。

またも「田中」視点でいきましょう。対・山田は、1順位上で素点14.1pの差を付けているので、逆転しています。しかし着順勝負の相手だった中野に大差で上回られています。その差14.0p。つまり中野より上の順位になれば優勝なので、中野から8000点出アガリ、または3000/6000ツモが条件となります。山田やトムから出アガリするなら16000点以上です。

■アガリで変わる点差は事前に覚えておく

出アガリ&ツモアガリで変わる相手との点差は、事前に暗記しておくのがよいです。出アガリの場合は直撃した相手とは点数の倍(8000点なら16000点差)、脇とは点数のまんま(8000点差)と簡単ですが、ツモアガリの場合。2000/4000なら子とは10000点、親とは12000点、1600/3200なら子と8000点、親と9600点…といった具合で丸暗記することで脳みその容量を節約できます。まだ覚えていない人は、ぜひ。普段の麻雀でもとても便利になるはずです。

■供託・積み場は後足しがおすすめ

供託のリーチ棒や1本場の300点がある場合に変わる点差は、先ほどのアガリで変わる点差に後から足すのがやりやすいかなと思います。供託はツモでもロンでも後足しの1000点。積み場は1本につき、直撃なら600点、ツモアガリなら400点を後から足します。供託2本の3本場に子と2000/4000ツモで変わる点差は10000+2000+400×3=13200点です。

■点棒状況を変えて別の問題を作ろう

話を戻して、先ほどのトータルポイントでオーラスの持ち点だけ変えてみます。数字を変えるだけで別の条件計算問題に早変わりするところが、このやり方の楽しいところです。トータルの方を変えたり供託や本場を加えて応用したりするのもありです。

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主人公は変わらず「田中」とします。赤い字は田中と各者の点差です。着順勝負の中野より6900点下になっていますが、山田とは1順位差だと11400点差を付けなくてはならないため、満貫は山田から直撃以外だめなようです。中野やトムからの出アガリや、ツモアガリの条件は何点でしょうか。

主人公を変えて戦術を練ったり、山田からリーチ棒を出して解いてみたりすると面白いです。条件計算を練習しても戦術が身につくわけではないですが、色々やることで何か発見もあるかもしれません。仮想の場数の良いところです。

■短い時間で勉強できる

という練習を新人の頃にやっていたと申し上げましたが、最高位戦に入った当初は会社員だったので、昼休みにご飯を早めに食べて残った時間にコツコツやっていました。短い時間で少しずつ勉強できてゲーム感がある点もおすすめポイントです。

■トーナメントもこの応用

トーナメント(勝者がトータルポイント上位二人の方式)の勝利条件もこの応用で計算します。「かつ」と「または」が増える感じです。

計算練習の話以外にも条件戦について何か書けるかなと思いましたが、長くなったのでこの辺で。

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