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先ヅモ気味の気味とは何か

しばらく以前のこと。ゲスト先の雀荘でその時は出番がなく、よそ様の麻雀をノソ~と見ていると、ゆっくりツモったり素早くツモったりしている人がいるので気になった。観察を続けた結果、手が良いと先ヅモ気味になる人のようだ。

その後その卓に入ることになり、先ほどの事を思い出していた。何かの役に立つかもしれぬ。すると東1局の1巡目からものすごい速さで山に手が伸びた。まずい。すぐにリーチツモ。次の局もである。結局この人がアガりまくって終了し、私はご案内する事になった。

つまり、情報は大した役にも立たなかった。ちゃんちゃん。

私は「先ヅモ気味」が苦手である。気味とはなんだろうか。勝手にオブラートに包まれているが明らかに迷惑である。駐車違反気味とか窃盗気味について論じられたことがこれまでにあるだろうか。オブラートに包まれるのはボンタンアメだけでたくさんである。

苦手な理由はボンタンアメが好きだからばかりではない。もちろんマナー違反だからでもない。

理由①:伸びた手で今切られつつある牌が見えない

理由②:①の結果でもあるが、先ヅモられた後にポンが入り自分のツモ牌を見られてしまう

つまり実は①や②が起こらなければ特に何も思わない。が、起こる可能性は高い。さながら黒い服を着た友達が醤油がなみなみと入った茶碗を片手に白いカーペットの我が家に訪問してきた状態である。「大丈夫大丈夫ぅ~」。自分はリスク0でドキドキさせてきやがる!私は当然こうだ。「醤油を2割ほど捨てろい!」。いや、3割だ!

さて。①の問題には解決策がある。が、不十分な策なのであまり参考にしないでほしい。私はEXILE戦法と読んでいる。対面が切ろうとする→上家が気味ックを発動→着地するのが見えなくなりそうな牌の行方をチューチュートレインの動きで追う事で、確認する事ができる。

尚、動きはなるべく小さく目立たない様にした方がいい。この作戦が不十分な理由は、上家が先ヅモで牌が見えないことを指摘されたと勘違いして怒ることが稀にあるという所にある。怒られたくない。が、こっそりとやっていても数年に1度、オリンピックの聖火のように怒りは燃え上がる。

私は見えさえすれば本当に手がいつ伸びようと構わないので、指摘するつもりは心の底から無い。その上、本当に牌は見えないので勝手な怒りである。が、悪さを指摘されたら脳みそを使う前に反発したくなるのがヒューマンである。

怒ったヒューマンの言うことは毎回同じである。「ポンしたい牌があるから、そんなに河を気にするんです。バレバレですな」と皮肉たっぷりだ。ポン材がある時や闇テンの時だけ見えない牌を気にしてるとバレバレだから毎回牌を即時に確認するのである。完全にオリンピック精神を無視した不埒な発言であるが、オリンピックを勝手に引き合いに出しているのは私だった。

話は本題に入り、気味とは何か。雀荘にはルール違反をする人は話が通じないから、話が通じる一般市民に我慢してもらい丸く収めようとする性質がある。そこで「気味」とぼやかして容認を促すのだ。が、丸く収めようとすると丸は膨れ上がるばかりだ。角がないばかりが良好だろうか。暴徒を優先的におもてなすオリンピックは不服だ。

先にツモりたい人の気持ちも分かる。もっと速く!さらに速く!ひたすら次のツモを目指して!切り取りようではまさにオリンピック選手に通じるものがある。しかし、ドーピングはノンノン。しかしこのツモを求める異常な高揚感、そうだ、気味の正体は「ギブミー」ではないだろうか。ギミギミシェイクなんて歌が、若い頃にあったのを思い出す。ラブゲームで勝てる恋は遊びにもならないのだ。

ギミアブレイクという番組もあった。笑うせーるすまんは子供にはトラウマだが、笑うせーるすまん以外のパートは子供には退屈すぎるという地獄から来た地獄の番組だ。子供達は改めて藤子・F・不二雄が大好きになったものである。

迷惑行為に「気味」が付く時。それは許容の催促である。「ギブミー・ツモ!」「ギブミー・ツモ!」無邪気に次のツモを求める気持ちを踏みにじることはできますか?我々はそう問いかけられているのである。「もちろんできない。私だって雀士の端くれだ」そう言わないといけないムードは満天だし、ここまで読んでくれた皆様もボンタンアメとかオリンピックとかEXILEとか、脇のキーワードが気になって先ヅモ気味とかどうでも良くなっていることだろう。

EXILEと言えば、時を超えて人は争いを繰り返す、だ。GLAYっぽいメロディだと思ったらGLAYだったという個人的に思い出深い曲である。触れなかったが②の問題は本当に避けられない不幸なので、これからも争いは繰り返されるに違いない。

まだー終わーらないーーー(エビバリナントカカントカー)

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