【 忘れた存在 】

僕は自分自身がこの世に存在している事を忘れていた
生きていることは自覚していたが

地球という惑星で、

母の腹から産まれ

息をして

目を開け、みて

耳で聞き

鼻で嗅ぎ分け

手を使い

足を使い

歩き

食べ物を口に入れ

飲み込み

栄養に変え

1秒ずつ細胞が衰え、育つ、そのことを忘れていた

地球に自分の足跡を刻みつけている事を忘れていた

母から貰ったこの足で
地を踏み
血を流し
知を身につけ

ただ生きているだけではないことを忘れていた

本当は存在していることに気が付けていたのに
自分が居ること、有ること、が当たり前で
人と話せることが当たり前で
これからずっと死ぬまで生き続けることが当たり前で
今存在されている自分が当たり前だと思いすぎて
人間を忘れていた

人間を、存在を、育ち衰え、死にゆく事に
19年と4ヶ月でまた気づけてよかった

おかえりなさい

自分自身の血肉よ

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