1年ぶりに現場に入る

スーパーを始めとした小売企業のEC立ち上げをまるっと支援する10Xという会社に経って1年半ほど。入った当初、希望と機会がいい感じに噛み合ってパートナー企業の店舗のバックヤードで2週間、9-17時で働かせてもらっていた(体験記はこれ)。所属が経企なので以後はあんまり現場に入る機会はなかったんだけど、久しぶりに(1日だけ)また現場に入る機会があったのでその雑メモを書く。ちなみに行く、でなく入る、ことがポイント。

プロダクトに触れる


普段は店舗スタッフの方々が使うアプリケーションに触れる機会があまりないので、久しぶりにスタッフの視点で(自社の)プロダクトを使った。当時、ここがな〜〜と思っていた部分で改善された部分も多くあって、進化を感じた。リリースノートという形では耳にしていたが、実際触るといやーそうそうこの辺が気になってたんですという部分が反映されてて感動した。

他方で、まだかゆいところに手が届いてないなと感じる部分はある。現場のスタッフ視点では、なんでこれできないの?という感じることと、実際に実現する際の、技術観点や全体像との整合性にはギャップが大きいことも少なくないので、そんな簡単なもんちゃうねん!と言いたくなるけど、スタッフ視点だと素直になぜ?と思ってしまうし、自分も入ると、なぜ?と思ってしまう。

実際に紐解いていくと、そもそもパートナー企業から受領するデータの精度や頻度という部分に課題があって実現できてないということがあったりして、自社で頑張ればなんとかなるもんでもないことも多い。ソフトウェアで解決しようとするのでなく、オペレーション側で捌くのが最適な課題であることもある。でもいずれにせよ、最終的にはそのプロダクトが使われている現場の最前線だと、細かいことはわからんが今この瞬間実現できてないってことは事実だし、それをシンプルに突きつけられるのは、事業に関わる一員として健全なんじゃないかって思う。前述のように自社で頑張ればなんとかなるものでもないんだけど、あーすんませんできてないっすわ。でも解消したい。頑張ろうって思う。

需要と立ち向かう


1年前に現場に行ってたときは、繁忙店で、ひたすら多量の件数を捌くということをやっていた。なので、存在する需要に対して供給側のボトルネックをどうやって外すか(プロダクトの改善もそうだし、オペレーションももっとこうしたらいいのでは等)ということを考えさせられる時間だった。

今回は、新店の立ち上げということで、オペレーションのサポートも行いつつ、空き時間にECはじめましたよ〜を周知するビラ配りをやってた。これがなかなか良い経験だった。

正直に言えばビラ配り大好き!ヒャッホイ!というテンションではなく(※社内にそういう人もいる)、人並みにシャイなので、まーやるしかないかという感じではじめた。

子育て世代がやはり足を止めてくれるかな?と思いきや若い人はスルーな人が多かったり、意外と男性のお客様の方が足を止めてくれたり、色々発見はあった。でも総じて、「ネットスーパー」というものの知名度はまだまだまだ発展途上だなあという印象が強かった。自分はそれを事業としてやっている会社にいるから「ネットスーパー」という言葉がすっと入ってくるけど、「ネットスーパー…?(is what)」「アプリで注文..???」という声や声にならない表情を沢山見た。

自社で作っているプロダクトは(現存する他のものと比較しても)優れているなと感じているし、実際サービスとしてめちゃ便利だと客観的に感じている。でもそれを自身や周りの人で感じていることと、それを伝え、そして実際に(一度でも)使ってもらう、願わくば定着する。需要を喚起して、定着させる。そこはギャップが大きいんだな〜〜ということを改めて身を持って(声や表情で)感じた。声や表情が見えずとも、そもそも足を止めないという動きからも色々と感じられる。

声をかけた人が数百人、受け取ってくれた人が100人(くらい?)、会話した(アプリの説明したり)人が10人くらいいたけど、この人は1回使ってくれるのでは?と感じられたのはせいぜい4-5名だったんじゃないかなと思う。大体顔を思い出せる。トラッキングする方法ないのでわかんないけどね。そう、少ない、多分少ないんだけど、あーーこれが需要ね!ju-yo..?重要!と一人ごちていた。普段は事業計画作ったり、変数が組み合わされたデジタルな売上という数字を見ていることが多いけど、この積み上げなんだよなあというリアリティを感じだのは良かったと思う。あと、良きメンバーで良きメンバーで良きモノを創ってんだぜ!って言いたいけど、言いたいけどやっぱ伝えるのむずい〜てかそもそも受け取ってくれん〜という切なさと対峙するひとときは、人類にはやはり必要ではなかろうか?(誰)

なお、ずっと同じことをしていても飽きるので、色々な掛け声を試していた。上述のように、「ネットスーパーはじめました〜」だけだとあんま伝わらんな?と感じたので、「ご自宅から注文できてお届けします」(意訳)、「あなたの街にも!ネットスーパー!」(体現止め)、「今週オープン!ついにネットスーパーが!」(煽り)、とPDCAを経た結果 最終的に「こんにちは!ネットスーパーです!」(変身)となった。ちなみに最後のが一番刺さってなかった。

余談) 違う帽子をかぶる


色々兼務しているときに「今日は〇〇の役割の帽子をかぶって話すと〜」という言い方をすることがある。

今日の自分は、お客様から見たら、そのスーパーの{ネットスーパーのアプリケーションを作っている会社の経営企画の}人の{}部分は完全に省略されるので、まさにそういう経験だった。帽子かぶるというかバリバリに制服着てるけどね。

そしてその視点で相対する人(=店頭ですれ違う方々)との接点はビラ配り(及びネットスーパーになってる人) vs 素通りする人々である。自分も逆の立場だったら同じだと思うので、特段悲観しているわけではない。そういうものだ。で、(今日はそう感じることは全然なかったけど)それに対して冷たい and/or なんなら嫌悪の反応をする人もいると思う。

面白いなと思うのは、仮に嫌悪の反応をした人がいて、その同じ個人と、別の場で別の出会い方をしてたら全く別のコミュニケーションをとっていたんだろうなあと思う。お互いの人格や職業、そしておもろさ(?)が全く同じでも、出会う状況によって違うコミュニケーションになる。短期の助っ人として店舗を徘徊していたら嫌な顔をするベテランの方はいるかもしれないが、でも着替えてお客さんとして入り直したら、きっと丁寧に対応してくれると思う。おそらく近所のクリニックの受付の方かな、という方がいて、無表情&素通りだった(※そういうものなので非難とかでは全くない)が、きっとそのクリニックに患者として行ったら、(もしかしたらかなり)丁寧に接せられるのかもしれない。

そういう意味で、ある個人と個人の関係性というもは内面のフィットよりも、出会い方という外的要因に左右される部分が大きいなあと改めて感じる。なので、自分はできることなら、ある個人との関係性を最大化できる確度の高い場で出会いたいし、言葉を選ばず言えばなるべく優位な形で出会いたい。入り口がベストでなかったとしても、出会い方という外的要因をできることなら突き破りたいとも常々思う。堅苦しい立場で会うよりもカジュアルな場で(できることなら)出会いたいし、バチバチに交渉の戦をする相手も、例えば新橋の高架下の朝3時とか、また別の出会い方をすればベストフレンドになれたのかもしれない。そんな思いで今日も肝臓をレバレッジしながら次なる飲み会の場へ向かうのである。

おわりに: 論点の整理に疲れたら


今日も懲りずに脱線したが、論理の整理に疲れたら、(売り場の)棚の整理をするのもいいと思う。新しい考えや視点、実はほしかった調味料とかが見つかるかもしれない。

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