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夜明け前がいちばん暗い
情報解禁からずっとずっと楽しみにしてきた「夜明けのすべて」を観た。
期待以上の作品だった。
PMSに悩む藤沢さんの、あの一瞬で沸騰するように苛立ってしまう感じも、言いたくない言葉が口から出てしまっても止められなくて、悔しくて申し訳なくて泣けてきてしまう感じも、よくわかる。
パニック障害になったことはないから山添くんの気持ちを心から理解することは難しいけれど、今まで当たり前に出来たことが突然出来なくなるってとてつもない恐怖を感じるだろうなと思う。
人はみんな、大なり小なり悩みがあって、それを見せられる人もいれば見せられない・見せたくない人もいて。
そこに正解はないけれど、悩みを誰かと共有できたらほんの少し楽になれるかもしれない。
それこそ、3回に1回くらいは。
この物語に、劇的な展開はない。
淡々と過ぎていく日々を、丁寧に丁寧に描いている。
夜があるから、光の美しさに気づく。
顔をあげるから、太陽の眩しさに気づく。
「夜明け前が一番暗い」と知っていれば、今いる夜にも少しの希望が見える。
嫌な人が1人も出てこなくて、温かくて、じんわりと涙が出てくるような作品。
この世界のどこかで今日も生きる、山添くんと藤沢さんに思いを馳せて。
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