2023.10.18 『偶然を生きるものたち』

・大学生協に本を買えるところがあり、現在行っている勉強に関わるほんとか無いかなと物色していたら、今井龍満(いまいりゅうま)さんの『偶然を生きるものたち』という本を見つけた。

・現在非常にお金がない。だからあまり本を買っている余裕がないのだが、表紙の獅子の絵に惹かれて手に取った。中身を見たのがまずかった。買ってしまった。

・何が良かったのか。なんとなく自由な感じがしたのだ。現在勉強しているのはプログラミングなのだが、プログラミングでは規則があり、規則に則ったうえで綺麗なコードを書かないといけない。私は勉強をし始めて日が浅いので、そういうコードを書くのに力を籠めないといけない。まだ自由にコードを書けない。一方彼の絵は、色彩も、線の揺らぎも、自由な感じがした。

・また、私はストレス耐性が極度に低い。卒論、内定者研修、その他少しのストレスで参っていた。縛られている感じがするのだ。彼の絵が、私に自由を見せてくれた気がしたのも、手に取った要因だと思う。

・いろいろ言語化したけど、手に取った理由にはその他にもあるかもしれない。もともとカラフルなものが好きだから、とか。

・買って図書館で少し読み進めて驚いた。彼の技法はあまりに不自由なものだったからだ。

ポアリングとは、塗料を浸した筆から滴る塗料によって、地面に置かれたカンヴァスに描く技法である。…この技法の特徴の一つは、筆ないしはペインティングナイフから滴り落ちる塗料がカンヴァスに辿り着くまでの間、画家は塗料の運動の軌道を制御できない点にある。

『偶然を生きるものたち』今井龍満

・その後、「この技法は思い描くとおりに塗料をカンヴァスに置くことができない点で不自由」という風に続く。いや、不自由だったんかい。偶然に任せて動物の絵を描いていた、というわけである。表題は、この技法そのものを指していたらしい。

・ところで、自由とはとらわれないことである。彼の技法はかなり不自由かもしれないが、技法こそ制御するものの、その結果として生み出される結果を受け入れるというか、結果にとらわれないというか、その姿勢はまさに自由ともいえる。そういうわけで、自由な絵画が不自由な技法で作られているのが面白かった、という話でした。

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