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ヒトリエ Summer flight tour2022終了に寄せて

夏が嫌いだった。
呼吸をするのすら億劫になるくらい暑いし、汗をかきたくない。身体もそんなに強くなくて脱水になりがちだし、生命の危機を感じる。大好きなおばあちゃんが死んだのも夏だった。

私が大好きなヒトリエのシノダさんは、夏が好きだと言った。
理由を聞いてもピンと来なかった。Summer flight tour序盤、梅田クラブクアトロでの事だった。MCを聞きながら、そうなのか…と頷いて、Quit.の美しさに涙した。

翌日、初めて関西のフォロワーと会って生田神社へ行った。赤い鳥居の遥か上に白い入道雲と濃い色の青空が広がっていて、とんでもなく美しいなと思った。その日の神戸VARITでも、シノダさんは夏が好きだと言った。私も夏の風景が好きだなと思った。

金沢へ行った。生まれ故郷にほど近い土地はとても安心した。幼い頃に離れた実家を売り払い、戸籍を移し、最後に残った墓は今年の秋で東京へと移る。
この歳になって、生まれて初めて故郷を一人で歩いた。草の青い匂いを胸いっぱいに吸い込みながら信じらんねえくらい急な坂を登って、おばあちゃんの眠るお墓にお参りをした。燻る線香の煙が空に吸い込まれていくのを見ながら、この墓に来ることは人生で二度と無いんだと思ったとき、初めてシノダさんの言っている意味を理解した。

シノダさんは、夏が好きだと言った。
どんなに素晴らしい夏でも、同じ夏はもう二度と来ない。だから好きなんだと言った。


今日、ツアーファイナルのZepp HanedaでQuit.を聴きながら、この夏に起こった全てのことがフラッシュバックして息が出来ないくらい泣いてしまった。
ムロフェスで「俺たちは現在進行形のバンドだ」って言われて手がちぎれるくらい拍手したこと、梅田のPA卓後ろで見た3人のヒトリエ、神戸で友だちになりたい人がいて恐る恐る話しかけて失敗したこと、名古屋まで7時間かけてTREASUREを見に行ったこと、金沢で笹寿しにテンション上がりすぎたこと、ワイバンで日焼け止め塗り忘れて会社で笑われるくらい両腕が黒焦げになったこと、神戸で声掛け失敗した友だちと並んでファイナルを見れたこと。
本当にどれもこれも、間違いなく私に刻まれた夏だ。

シノダさんは、夏が好きだと言った。
私も生まれて初めて、夏が好きだと声に出した。
恐らくこんなに忘れられないような夏はもう二度と来ない。
だからこそ、次にくる夏はどんなことが待っているんだろうって思える。夏が好きだ。
ようやく理解出来た。マジで凄いわ、価値観変わってしまった。私は常々自分のことを頑固で強情な女だなと思っているので、こうやって考えを改める経験すら新鮮で楽しい。

ヒトリエが在り続けてくれる今に感謝します。
間違いなく人生で最高の夏になりました。
ありがとうヒトリエ。

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10年後のルームシック・ガールズエスケープやばすぎるでしょ絶対行く!!そういうとこだよ!!好き!!!お祝いしようね!!!!


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