見出し画像

磔磔の思い出とライブ、バンド




数年前、京都で大学生をしていた頃の話。



あの頃は音楽にどっぷり浸かっていた。
軽音サークルに入り、大好きな歌を歌い、下手なギターを弾いていた。
ロックバンドに嵌り、バイト代が入れば京都、大阪辺りのライブを見に行っていた。



a flood of circle、ナッシングス、DOES、ピンボールズ、ラージ、女王蜂、9mm 、WHITE ASH、ストレイテナー…

色々挙げるとキリがないが、このあたりのバンドを毎日、大学に行く途中、聴いていた。




a flood of circle、通称フラッドはよく磔磔でライブをしてくれていた。
佐々木亮介が磔磔が好きだと言ってくれていたような記憶がある。詳しくはよく覚えてない。


ワンマンであったり、対バンであったり、弾き語りであったり、色々な形でのライブに足をよく運んだ。

特に磔磔でのライブは、いつも胸が高鳴ることが多かったように思う。


数年前の朧気な記憶を思い出して見ようと思う。









ビレッジマンズストア

対バンで見るまでは存在を知らなかったバンド。事前に曲を聴かずにライブに行った。
1発目の印象は「すごい派手なバンドだなあ」だった。

みんな赤い服?スーツ?を着て、ボーカルの水野ギィさんは何やからヒラヒラした長いものを首から下げている。一体、どんな人の集まりなんだろう。そう思った。

確か、1発目の曲は逃げてくあの子にゃ聴こえないだった気がする。



突き刺すようなギターリフ、リズムに合わせメンバーが同時に、前後にヘドバンをする、そして水野ギィさんのイカれた圧倒的な歌声。





一瞬で心を奪われた。

良い意味で期待が裏切られた。




なんてカッコイイバンドなんだ。

対バンで呼んでくれてありがとう。新しいバンドを教えてくれてありがとう。

そう思った。

1発目にやった曲を今でも覚えているライブはこれだけだ。


そこからはビレッジマンズストアにもズブズブと嵌ってしまった。






女王蜂



姉が好きなバンドで、少しだけ曲を知っている程度だった。


始まる前からファンの方々が羽のいっぱいついた扇を手にしていた。
メンバーが登場し、ライブが始まるとみんな一斉に振りはじめ、羽の繊維がふわふわと磔磔の中を漂い始めた。幾らかが鼻に入ってしまい、むず痒かった。


そんな鼻のムズムズも忘れてしまうほど、女王蜂のライブは圧巻だった。

売春はアヴちゃんの声域の意味がわからなさすぎて立ち尽くして聞いてしまった。 

これまた女王蜂にズブズブと嵌ってしまった。一人でカラオケに行き、売春を歌えるか何度も試したものだ。今となっては恥ずかしい。

対バンで呼んでくれてありがとう。
フラッドはいつも、新しいバンドを教えてくれる。





a flood of circle


改めてフラッド✕磔磔のかっこよさについて語ろうと思う。


何より良いのは入場の仕方だ。
磔磔の2階にある控室から、1階にあるステージに行くには、階段を下り、客の中を通ってステージにいく必要がある。

もうそれだけでも最高だ。

人でぎゅうぎゅうな身動きのとれないフロアで、身体を最大限ひねって階段からおりてくるメンバーを見ながら拍手で出迎える。
階段を一歩一歩おりてくる佐々木亮介は最高なのだ。







「おはようございます。a flood of circleです。」




その佐々木亮介の一言ではじまるライブ。

磔磔の薄暗い空間と、フラッドの音楽の相性は抜群である。


モッシュもぐわんぐわん起きる。
女の私は男のアツいファンの方々に押し流される。

 


そして磔磔の中央付近にある柱に毎度ぶつかるのである。

モッシュが激しい時は柱にしがみついて身の安全を守る。
また運悪く柱の後ろに場所を取ってしまったらステージが見えない。


何故あんなところに柱があるのだと一瞬思うこともあるけど、あの柱を含め、磔磔が大好きだ。




コインランドリーブルースの様な、少ししっとりした落ち着いた曲の時は、佐々木亮介の歌声を聞きながらステージの両側にあるツタみたいな物を見たりしていた。

ステージとフロアの距離も近いため、佐々木亮介もしょっちゅう降って来た。
佐々木亮介が客の上に乗るために手を掴んで支えたこともある。
客と演者の近さも絶妙で最高である。




極めつけは終演後である。


興奮冷めやらぬまま磔磔を出ると、急にシンッとした夜が襲ってくるのだ。

そう、磔磔は京都の住宅街のど真ん中にある。なんとなく周りにはお高そうな家が並んでいる。気がした。


ライブが終わる頃には世の中は就寝時刻であるということを突きつけてくるのだ。

一気に現実に引き戻されるかと思いきや、逆に、興奮している自分と静かな住宅街が真反対で、非現実感に浸ることができるのだ。

すぐにイヤホンを耳にして、フラッドの曲を聞きながら市バスに乗って家まで帰る。




磔磔は最初から最後まで最高なのである。

そして、フラッドが磔磔で対バンをするときはいつも最高にカッコイイバンドを連れてきてくれていた。






今は京都から遠く離れた地元に帰っているが、また、死ぬまでに1回でいいから磔磔でフラッドのライブをみたい。


そのときは学生の時ほど体力はないだろうから、あの柱にしがみついて見ようかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?